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2019.05.04

生涯のかかりつけ歯科医院(アンカー)を目指して

 今日は晴れ間の広がる絶好の行楽日和となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
明日は更に気温が上がって、日中の最高気温は25℃を越えるようです。
豊平川マラソン(ハーフ)を明日に控え、今日は久し振りに(笑)1時間ほど軽くジョギングをしました。

今年に入り、より一層仕事が忙しくなっており 、夜12時過ぎまで病院に残ることも多く、少しずつ体も疲弊して走る
元気がなくなっていたのですが、昨日も札幌に帰省中の三男と久し振りに外食と映画(アベンジャーズ)を観に行き、
この連休で少しずつ元気を取り戻してきており(笑)、明日もゆっくり(ひとまず10kmの関門だけはクリアーして)完走
したいと思います。

完走を目指して

当院は苗穂駅に近い小さな普通の歯科医院ですが、当院のHPやこのブログをご覧になられ、地元では抜歯と言われたが、
何かもっと良い治療方法はないものかと、破折歯の保存治療や重度の歯周病治療、また欠損部のインプラント治療を希望
して、全道各地から患者さんがお見えになられています。先日の4/30にも帯広近郊から患者Kさん(40代、女性)が来院され
ました。

ネットの発信力ってすごいな~と日々実感すると共に、歯で困っている患者さんにとって福音となるような情報を、もっともっと
発信していきたいと思っているところです(なかなかいろいろな治療例をまとめて発信する時間が取れないのですが、今日も
休みを利用してこのブログをアップしています )。

前述したKさんは、地元では有名な歯科医院に1年以上通院し、治療費も結構かけたにもかかわらず3年で冠やブリッジが
だめになり(4歯が保存不可能な状態になっていました )、今回、何百万円というインプラント治療を提案されたとのこと。
医療不信となり、この先、どんどんご自身の歯がなくなっていくのではないかと大変心配され、現状でどういう治療が最適な
治療なのかを相談したいとのことでした。

アイヒナーB3ケース(Kさんの場合、奥歯のご自身の歯同士の噛み合わせが下の図と同様、左側小臼歯部に1ヵ所しか
ありませんでした)にありがちな喪失の流れを短い期間で辿っており(しかしながら、Kさんは決して咬合力の強い患者さん
というわけではありません)、B3、B4という治療の難しい欠損形態は見立てと予後予測がまず大切で、欠損を進行させない
ために鍵となる歯をいかにして守るかが、二工夫も三工夫も必要なのに(工夫が見られないな~)と、短期間で4歯も抜歯
せざるを得なくなっている現状をみて大変残念な気持ちになりました。

アイヒナーB3の一例

 アイヒナーB3ケースの一例

4/30に初診時診査を行った上で、Kさんに見ていただくための資料を夜中までかかって作成し、翌日5/1には奥様のこと
をご心配されているだんな様も同伴され(奥様思いの優しいだんな様でした)、わざわざ遠くから当院に来院してくださった
ということもあり、2時間ほど治療の患者さんをお入れせずにじっくりお話を伺った上で、
1.現状説明 2.どうしてこのような状況を辿ってしまっているのか 3.本来どのような対策(治療)をすべきであったのか 
4.現状を踏まえどういう治療が最適なのかをお話させていただきました。

また今後の治療方法として、
①インプラントによるブリッジ(残存歯は保存) ②インプラントオーバーデンチャー(義歯)(残存歯は保存しつつ、義歯の
沈下や回転防止を抑え、残存歯及び顎堤の保護に有効なところに部分的にインプラントを応用) ③インプラントを用いない
義歯の3つの治療方法を提案しました。

年齢もまだまだ若いのに歯がかなりなくなってきているのは、生まれつき歯が弱いとか虫歯になりやすい体質や遺伝が
関係していているのではないか、そうであれば今後残っている歯もこれまでと同様の経過を辿るのではないかという素朴な
疑問を持たれていましたが、そうではないということもご理解いただき、これまでの経過に関してもどうしてこの歯にトラブルが
きているのか、合点がいかれた部分が多かったのではないかと思います。

カウンセリング後即日治療方針が決定し、次回の予約を取って笑顔でお帰りになられる姿を拝見しながら、前日夜遅くまで
かかって資料を作成した甲斐があったなあ~と大変嬉しく思いました。

Kさんのように遠方から当院に来院される患者さんとは、本当に一期一会だと思いますので、この出会いを大切にして、
10年先、20年先、当院に通って本当に良かったと思っていただけるよう、Kさんの10年後、20年後の口腔健康に大きく
貢献できるよう、これから全力で治療を頑張りたいと思います。

歯で悩み、ご苦労されている患者さんに対し、スタッフ全員が笑顔で、患者さんの心に寄り添い癒せる場を提供できるよう、
また患者さんが希望されている治療にできるだけ添うことができるような臨床の引き出しを高いレベルで多く持てるよう、
まずは私自身が一医療人としてソフト、ハードの両面においてこれからも情熱を持って自己研鑽し続けなければならないと
思っています。

ここまでまた話が長くなってしまいました。次回は近日中に、4月に行われた恒例のランチ会と奥歯が全体にグラグラする、
歯ぐきが腫れる(重度の歯周病)とのことで、平成27年に来院されたNさん(50代、男性)のお話をさせていただきます。
乞うご期待ください 

円山公園の桜





Posted at 15:59 | 日常 | COM(0) | TB(0) |
2019.03.31

7本のインプラントにより咬合の再構築を行ったKさんのケース(後編)

 こんにちは、明日からいよいよ4月ですね。
本州では桜の開花が聞かれますが皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

ここ札幌も10日程前までは、日中は10℃を越える暖かさでしたので、てっきりこのまま春になると思っていたのですが、
その後の思いがけないなごり雪のため寒さが少し逆戻りしてしまい、4月の新入学シーズンを迎えて路肩にはまだ雪が
見られます。昨年11月に苗穂駅が当院から250m程札幌駅寄りに移転したため、現在直結している旧駅はひっそりと
した佇まいを呈していますが、そろそろ取り壊しが始まる予定で、明日発表される新元号に歩調を合わせるかのように、
跡地を含め周辺の再開発が進んでいくものと思われます。

さて、本日は前回のブログからの続きで、「7本のインプラントにより咬合の再構築を行ったKさんのケース(後編)」をお話し
したいと思います。Kさんは2016年11月、右下の前歯がグラグラして痛いとのことで、当院の患者さんからのご紹介で
来院されました。

Kさんの初診時のレントゲン写真と口腔内写真です(詳しくは前回の「なえぼほのぼのブログ」の前編をご一読ください)。

初診時口腔内
腫れてグラグラしていた右下前歯(犬歯)

写真左下は初診時腫れてグラグラしていた右下犬歯、上は2回目の来院時(右下犬歯は自然脱落)

右下犬歯はすでに根尖までぐるりと骨がなく、隣の前歯もその影響を受けて歯根長の3/4くらいまで骨吸収していました。
また左上大臼歯( 左上6、7)も進行した歯周病により、根分岐部でほぼ根尖近くまで骨が吸収しており、更に左下小臼歯
(左下 5)は歯根破折を起こしていました。

従って治療後の歯の残存状態は以下のレントゲンの状況が予想されました。

治療後に予想される歯の残存状態

9歯の欠損が予想されましたがKさんは入れ歯を希望されませんでしたので、まずは残っているご自身の歯の歯周治療を
しっかり行った上で、9歯の欠損部分を7本のインプラントにより再構築していく治療計画を立てました。

下は初診から4ヵ月後、歯周基本治療終了時の口腔内です。

歯周基本治療終了時の口腔内

初診時の写真と比較し、歯肉の炎症もプラークの付着もかなり改善してきております。
ここから臼歯部の噛めるところを確保しつつ、Kさんの多忙なお仕事に合わせた歯周外科処置とインプラント治療のタイム
スケジュールを立てていきました。

自然脱落した右下犬歯と進行した根分岐部病変を認めた左上6、7の抜歯後は同部に骨造成が必要であり、また右上7、6部
には前回のブログに書きましたように上顎洞瘻も認めましたので、埋入時、ドリリングにより洞瘻の粘膜を巻き込まないような
埋入位置、埋入方法を考えました。

治療終了時のレントゲン写真です。

治療終了時

左上6の予定していたドリリング部は、ちょうど既存骨主体の硬い骨と主にGBRにより造った骨の境にあり、ドリリング時、
軟らかい造成骨の方に流れていきやすかったこと、加えて左上5(手前の歯)に近い位置は10mmの長さのインプラントを
埋入するには骨の高さが少し足りず、ソケットリフトが必要であったことから、結果として考えていた位置より2mmほど遠心に
埋入となってしまい、最終補綴がカンチレバー(延長ブリッジ)になってしまったことは大きな反省点です。

ソケットリフトを行ってでももう少し手前の歯に近い位置に6部のインプラントを埋入できていれば、右側と同じ連結冠にする
ことができ、7部のインプラントもよりブラッシングがしやすい手前の位置に埋入できたと思います(幸い現状でも同部のブラッ
シングはしっかりできていますが )。

治療終了後年明けの2月、Kさんが来院された時に撮らせていただいた口腔内写真です。

2019.2 メインテナンス時

年末から年始にかけて多忙を極めていたのかもしれませんが、ファインダー越しに歯肉を見ると明らかに以前よりブラッシング
が落ちており、プラークの付着と歯肉の発赤、腫脹を認めました 

Kさんのタイムスケジュールを重視しながら治療を進めてきたことも良し悪しで、その日に確実に行わなければならない処置
内容(術式等の技術的なハード部分)にとらわれ過ぎて、一番大切な患者さん自身の日常生活、プラークコントロールやモチ
ベーションというソフト面を見逃していたことに、ファインダーを通して初めて気づかされました。

もう少し余裕を持って、今日行う処置部位にばかり気持ちを向けずに、患者さんという人、口腔内全体、歯肉を俯瞰して、
どこかで足りない現状に気づいて立ち止まり、落ち着いてゆっくり、患者さんと共に長期的な口腔健康の維持について考える
時間が必要であったと反省させられました(今日は反省することばかりですね)。

ブログではお馴染みの歯科衛生士 I さん(現在Kさんの担当)と話し合い、Kさんの2ヵ月先のお約束をお電話にて1ヵ月後に
取り直した上で、その日に合わせて以前の歯肉の状態が良かった頃の口腔内写真と2月の口腔内写真を比べて見てもらえる
よう資料を準備し、当日Kさんに口腔内の現状説明を行いました。

先日、現状説明2週間後に来院された際には、プラークの付着量も少し減り(まだまだ不十分ではありますが)、歯肉の赤みも
改善されつつありました。 I さんから優しいブラッシング指導とKさんのブラッシングが更に良くなるようなモチベーションを
行って 、次回は2週間後にお約束を取ったようです。Kさんにこちらの熱意がうまく伝わることを願っています。

ブラッシングの威力

歯周病は、コントロールされていない糖尿病のような治癒能力に問題を生じる全身疾患さえなければ(喫煙もあまり本数が
多いと、歯周組織の治癒を阻害しますし、再発しやすくなりますが)、プラークコントロールを徹底することで、長期に治癒、
安定が可能な慢性疾患です。

当院では歯周基本治療を重視し、確定処置として歯周外科処置を行った上で、歯肉縁下の起炎物質の徹底除去とプラーク
コントロールしやすい歯周環境を整備していますが、それは歯周病が治ったということではなく、獲得した口腔健康を長期に
維持、増進していく主体は患者さんであり、我々はそれをお手伝いするサポーターにすぎません(適切にサポートするため
には勿論、専門的な知識や技術が必要なのですが)。

歯周病のような生活習慣病は、医科における外科処置のように外科処置をしたら治るというわけではなく、歯周治療の本質は
1年、2年かけて行う動的治療よりも、むしろその後の長いメインナンス治療にあるのです(動的治療の質、メインテナンス治療
の質は、将来的に患者さんの歯が現状を維持して残っていくかどうかを大きく左右します)。

またインプラント周囲組織は天然歯と比べて歯根膜がないことから、歯肉とは接触しているだけであり(付着部分のバリアー
が弱い)、血液供給の面でも創傷治癒や免疫には不利な構造となっており、更には歯と違い一旦インプラント周囲炎に罹患
すると治療が難しいという現状もありますので、インプラントはより注意深いメインテナンスの継続が必要になってきます。

また話が長くなってきました。こういう話はつい熱くなってしまいます
今回行った治療が再治療となることなく、歯もインプラントも長期に良好な状態で維持されていくことを願って止みません。
Kさん、今後も末永く大切なメインテナンスにご来院ください。お待ちしています。

上野恩賜公園の桜




2019.02.26

7本のインプラントにより咬合の再構築を行ったKさんのケース(前編)

 3月まであともう少しですね。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
最近札幌も春を感じさせる穏やかな日が多くなり雪解けが進んできました。春が待ち遠しい今日この頃です。

ところで先週21日の夜は、病院でいつものように仕事をしていたところ突然大きな揺れが~~
本当にびっくりしました。
震度4程度だったと思うのですが、札幌にきて40年、昨年の震度5弱を経験するまでは、 2003年の釧路沖で発生した
地震(M8.0)による震度4が過去最大でしたので、大きな揺れは本当に恐怖です。
今回は昨年9月に起きた北海道胆振東部地震(北海道で初めて震度7を記録)の余震とのことですが、もう半年近く経っている
のにまだ予断を許さないのでしょうかね~。

さて皆様、今、北海道胆振東部地震に関連してCCSが密かに話題になっていることをご存知でしょうか?
CCSって何?と思われる方もおられると思いますが、私も実は今回初めて知りました。
CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略であり、二酸化炭素(CO2)の回収、貯留を意味しています。
即ち、CCSは工場や発電所などから発生するCO2を大気放散する前に回収し、地中貯留に適した地層まで運び、長期間に
わたり安定的に貯留する技術で、CO2の早期大規模削減が期待できる地球温暖化対策の切り札なのです(日本CCS調査
株式会社HPより)。

実は、今回の震源地の近くに苫小牧CCS(2016年4月から開始)があり、以前から一部の研究者の間では、苫小牧近くで
地震が起きる可能性が懸念されていたことを知りました。                                                     
米国スタンフォード大学でも2012年にCCSは地震発生につながる可能性が高いという論文を出しており、国内で最初の
実証実験場となった新潟県長岡市においても、圧入開始から1年を過ぎた2004年10月、新潟県中越地震(M6.8)が発生。
その後2007年7月にも新潟県中越沖地震(M6.8)が発生しており、震源地はいずれも長岡市の実験場から約20kmと
近い場所でした(圧入期間は2003年~2005年にかけての18ヵ月)。

苫小牧市においても圧入開始から2年5ヵ月で北海道胆振東部地震が発生し(震源地から30km)、その後中止していた
実験を2月19日から開始したばかりの21日に再び今回の地震ですので、ますます信憑性がありますよね。

地震は怖~い

ちなみにこれまで日本において、新潟県長岡市、秋田県湯沢市(旧雄勝町)、福島県いわき市、北海道苫小牧市、北九州市で
CCSの圧入実験が行われているようで、最後の北九州市以外はすべて地震が起きています。東北大震災の後、いわき市での
圧入が中止されたことはこれまでほとんど報道されておりません。その後、実験場は苫小牧市に移り、今回、一部の研究者の
予言通り、北海道胆振東部地震が起こりました。

北九州市でも現在本格事業が進行中とのこと、一部の噂で次の地震は北九州市と言われているとのことです。
もしかしたらCCSは日本のような地震国(地震が多い国ランキングで世界第二位)には不向きなのかもしれません。

勿論、科学的な調査も行われており、昨年の北海道胆振東部地震においても、日本CCS調査株式会社では「地震の震源は
貯留地点より水平距離で約31km離れた胆振地方中東部の深度37kmで発生しております(深さを考慮した直線距離で
約47km)。実際の二酸化炭素が圧入された地層と地震の震源が位置する地層とは連続性がなく、二酸化炭素の圧入による
影響が本地震の震源まで及んだとは考えられません」と発表していますが、実際のところどうなのでしょうか。

地球温暖化防止に向けて、このCCS調査株式会社の事業は経産省お墨付きの国家的プロジェクトですので、願わくば原発の
安全神話が間違いであったような轍は二度と踏まないでいただきたいものです。CCSと地震との関連性に関しては、今後の
続報が待たれるところです。

さて、話がようやく本題にきました(前置きが長くてすいません)。
今回は2016年11月、右下の前歯がグラグラして痛いとのことで、当院の患者さんからのご紹介で来院されたKさんの
治療経過を2回にわけてお話しさせていただきます。

Kさんの初診時のレントゲン写真と主訴であった右下犬歯の状態です。
2016.11 初診時

腫れてグラグラしていた右下前歯(犬歯)

適切な歯周治療がなされないまま隣接歯と固定されており、レントゲンをお撮りしたところすでに根尖までぐるりと
骨がなくなっていました
固定している隣接歯にまでその影響が波及しており、右下前歯(2番)も歯根長の3/4くらいまで骨吸収していました
(写真上のレントゲン参照)。

ひとまず固定を除去、グラグラの犬歯の歯冠部をカット(自然挺出)して、犬歯部分を人工歯にて補修しました。
Kさんには犬歯の現状を説明し、自然脱落してくる可能性が高いことをお伝えした上で、歯肉がかなり腫れていました
ので抗生剤の投薬を行いました。

次回来院時に撮影した口腔内の状態です。右下犬歯は予想した通り自然脱落していました。

初診時口腔内

歯肉の腫れが強く、プラークの付着も多く見られ、左上(向かって右上)の犬歯、小臼歯歯頚部に見られる楔状欠損(右上小臼歯
歯頚部にも見られます)、犬歯切縁部の咬耗、右下犬歯の自然脱落、左下5の歯根破折、左上大臼歯部の根分岐部病変の
状態を考えますと、プラークによる歯周病の進行に咬合力(咬合性外傷)がリスク因子として影響している口腔内と思われました。

左上下臼歯部の口腔内と左上大臼歯部のCTです。

初診時、左上下臼歯部の状態

左下5は歯根破折を起こしており(初診時のレントゲンで根尖に至る歯周ポケットを認める)、頬側歯肉の赤矢印部分に瘻孔
(膿の排出路)を認めました。

左上6、7の状態

また初診時デンタルレントゲン写真で根分岐部病変が進行していた左上大臼歯部をCTで詳しく診たところ、ほとんど根の先端
部に骨支持が残っていないことがわかりました。

従って治療後の歯の残存状態は以下のレントゲンの状況が予想されました。

治療後に予想される歯の残存状態

9歯の欠損が予想されましたがKさんは入れ歯を希望されませんでしたので、まずは残っているご自身の歯の歯周治療を
しっかり行った上で、9歯の欠損部分を7本のインプラントにより再構築していく治療計画を立てました(Kさんの場合は、
左下5の歯根破折歯を接着保存して6、7にインプラントではなく、抜歯して5、7にインプラントによるブリッジを考えました)。

これまで歯周治療のご経験がなく、ブラッシングもササっとしか磨いてこられなかったKさんですが、担当衛生士の働きかけ
により、ブラッシング時間も長くかけられるようになりました。
初診から4ヵ月後、歯周基本治療終了時の口腔内です。
初診時の写真と比較し、歯肉の炎症もプラークの付着もかなり改善してきております。

歯周基本治療終了時の口腔内

ここからようやく歯周外科処置とインプラント治療を行うこととしました。
この時点で左上下の奥歯はまだ抜歯処置を行っておらず、臼歯部の噛めるところを確保しながら、Kさんのお仕事の
スケジュールに合わせて綿密にインプラントの治療計画を立てていきました。自然脱落した右下犬歯部には骨がありません
でしたので、ここはまずGBRにて確実に骨造成を行った後、インプラントの埋入をと考えました(根分岐部病変がかなり
進行していた左上6、7部にも骨造成が必要でした)。

更にインプラントの埋入を予定していた右上7、6間に上顎洞瘻(骨の中央部に上顎洞と交通している骨欠損部を認める)が
あることがわかり、これも埋入時にはやっかいな存在となりました。

上顎洞瘻
右上7、6欠損中央部に見られた上顎洞瘻

ちなみにこの上顎洞瘻ですが、私の親友で某大学歯科口腔外科教授のAくんの話では、元々Kさんに生まれつき存在していた
というより、同部の大臼歯を抜歯した際、上顎洞底の粘膜が引っ張られた可能性があるのではないかということでした。
単純抜歯でこういうことも起こり得るのか~と(おそらくKさんの右上大臼歯は左上のように歯根が長く、一部の歯根が上顎洞
粘膜と接していたのではないかと推測)あらためて思いました。

自院の患者さんの口腔外科的な専門性を要する治療等に関しては、何人かの口腔外科の専門医とタイアップしており、
診断や処置方針に悩む時、口腔内写真やレントゲン写真をメールに添えて相談することもあります。特にAくんの存在は大きく、
教授職で多忙にもかかわらず、何かと細かな相談をさせてもらっています(細かくこだわるのは、患者さんに対して自己のできる
ことは最善を尽くすというのが担当医としての責務だと考えているからです)。

ちなみに先週、堀ちえみさんが11時間に渡る舌ガン(ステージ4)のオペを無事終了したというニュースが流れました。
頚部リンパ節と舌の60%を切除し、大腿皮弁による再建手術を行ったとのこと、東大もしくは順天堂大学での手術という話も
ありますが、30年も診療をしておりますと稀に悪性腫瘍を疑う粘膜病変に遭遇することがあります(口腔癌は癌全体から
みると4%程度と少ないのですが)。

前癌病変としての舌の白板症、歯肉の紅板症(私が遭遇したケースは完全に癌化していました)、舌、硬口蓋、下顎歯肉の
扁平上皮癌、肺癌の顎骨転移。また前日飲みすぎたら翌日下あごが腫れたとのことで来院され、歯とは全く関係がなかった
ので顎下型ラヌーラ(ガマ腫)もしくは側頚嚢胞を疑って口腔外科を紹介したところ、悪性リンパ腫であったこともありました。

堀ちえみさんも夏頃、小さな口内炎を自覚し、9月にはかかりつけの歯科医院さんを受診したにもかかわらず、担当歯科医師は
口内炎を疑わず薬を出した挙句、なかなか治らないということでその後レーザー治療まで行い、結果、初発症状から半年、
舌ガンは放置されてしまいました。どうして口腔外科の専門病院をもっと早く紹介できなかったのか、その責任は重いと思い
ます。

また話がそれて長くなってしましました
今日はここまでとさせていただき、次回この続きをお話ししたいと思います。ご期待ください




















2019.02.18

中等度~重度歯周炎に罹患していたYさんとの20年(後編)(歯根外部吸収)

 皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

2月12日、競泳の池江璃花子選手が白血病であることを公表し、世界中に衝撃が走りました。私自身も東京オリンピック
を大いに期待され、健康を絵に書いたようなあの池江選手が白血病って・・・、と本当に驚きました。

些か身内の話になるのですが、今から50年前、充(たかし)伯父様(長兄)が41才の若さで、急性白血病で亡くなりました。
当時、東大理学部の助教授をしており、原子分子物理の研究で、東海村の原子力研究所や東大原子核研究所の大型装置を
使って実験を重ねていたそうです。現在、次兄の平(ひとし)伯父貴以下、父方の兄弟4人は皆健在で、年齢も85才を越えて
きましたので、当時、実験中の被爆であるとか、何かあったのではないかな~と、今なら助かっていたのではないか、そして
日本の物理学会に大きな業績を残されたのではないかと甥として大変残念な思いです。

50年前は不治の病と言われ手の施しようがなかった白血病ですが、その後医学は発達し、近年の急速な治療法の進歩
により、現在、若い世代の白血病は7割以上が治っているとの報告も聞きます。

俳優の渡辺謙さんも1989年、急性骨髄性白血病を発症し、再起はおろか生命も危ぶまれたことがありました。1年間の
闘病生活の後、治療を続けながら復帰され、定期的に入院治療を続けながら経過も良好に見えたのですが、5年後の
1994年に再発。しかしながら、再び俳優として復帰し、その後「ラストサムライ」(2003年)でハリウッドスターの仲間入り
をされ、現在、最初の発病から30年になりますが、お元気でご活躍されています。

池江選手もまずはしっかり治療に専念し、日本の最高の医療スタッフチームの元、一日も早く元気な姿を見せてくれること
を祈っております。そして病気を克服した暁には、やはり競泳選手として復帰し、オリンピックで活躍する姿を見せていただけ
たらな~と切に願っています。

さて本日は、「中等度~重度歯周炎に罹患していたYさんとの20年(後編)(歯根外部吸収)」ということで前回の続きを
お話しさせていただきます。

Yさんは今から20年前の1999年(当時49才)に初診来院され、歯根外部吸収を認めた右上奥の治療を行いました。
「将来的に外部吸収が進んでくると7番は保存できなくなりますが、下に8番がありますので、この歯をうまく利用することが
できます」とお伝えした上で、翌月ブリッジを装着しました。

1999年初診時のレントゲン写真

その後、2015年(65才)までの16年間、前回のブログでお話ししたとおり、その間、何度か歯周病の現状と治療の
必要性をお伝えしたのですが、歯周治療を行わないまま経過してしまい、奥歯でしっかり噛めなくなるまでに重症化して
しまいました。

2015年再来時レントゲン写真

右下最後臼歯(向かって左下の一番奥の歯)と左上最後臼歯は噛むと垂直的にかなり動揺しており、全体に9~10mmと
深い歯周ポケットを認めました。また左上の奥2歯はぐるっとⅢ度の根分岐部病変を認め、この3歯は保存が危ぶまれる
状態でした。

またYさんは関節リウマチの治療を受けており、主治医に照会したところ、できるだけ休薬は避けてほしいとの要請があり
ましたので、臼歯部は重度の歯周炎でしたが、歯周外科処置は行わず、歯周基本治療のみにて対応していこうと考えました。

16年前にセットした右上奥のブリッジは、49才から65才までの16年間維持されていましたが、7番の外部吸収は進み、
8番(親知らず)は写真にありますように外側に歯冠を出しておりました。

右上奥、ブリッジセット16年後

平成27年(2015年)9月から、歯周治療を開始しました。
歯周治療の成功とは、健康な歯周組織を長期に維持することだと考えていますので、そのための大切なポイントが
あります。
① 患者さんご自身による良好なプラークコントロール
   歯と歯の間、歯と歯ぐきの間のプラーク(歯垢)を日々きれいに除去すること
   私は特に「ブラッシング時間を長く」ということを必ず最初にお話ししています (おおよその目安は1日1回は15分以上)
   時間をかけて磨き込まれた歯ぐきは経年的に硬い抵抗性のある歯ぐきへと変化していきます
   磨き込まれた硬い歯ぐきはちょっとやそっとのプラークくらいではビクともしません
② 患者さんご自身によるメインテナンスの継続
   これも最初のモチベーション時に必ずお話しし、治療中の節目、メインテナンス中にも何度も繰り返し
   お話しします
   大切な話は最初にできるだけシンプルに伝える、大切な話は繰り返し伝えるということが重要だと
   考えているからです  
③ 医療側による歯肉縁下の起炎物質の徹底除去
  患者さんがどんなにブラッシングを頑張っても、またメインテナンスを継続しても、ここが徹底除去されないと
   メインテナンスに通いながら歯周病で歯がなくなっていくということになってしまいます(メインテナンスを継続
   したからここまで持ったというのは詭弁です)
④ 医療側による質の高いメインテナンス治療
  10年くらいは全く再治療なく経過する患者さんも少なくないのですが、何らかのご事情でメインテナンスの空白期が
  生じたり、ブラッシングレベルも皆ピカピカというわけではありませんので、経過の中で歯、歯周組織に悪化が見られた
  時(どこが悪化しやすいかという予測と悪化に早く気づくことが大切)、適切な対応によりリカバリーさせなければ
  なりません。そこに医療側のレベルの差がはっきり出ます。
yjimage_201902201243480b6.jpg
歯周病は歳を取ったらなるものではありませんし(白髪になったり、髪が薄くなったりするような加齢変化ではない)、
歳を取ったら歯はなくなっていくものでも決してありません。歯周病は治癒、安定、維持が可能な病気なのです。

1999年の初診来院から2015年までの経過の中で、何度か歯周治療の必要性をご説明してもなかなか歯周治療に
踏み切らなかったYさんでしたが、担当歯科衛生士 I さんの指導の下、まずは時間をかけたブラッシングに励まれ、
その後、I さんによる歯肉縁下の起炎物質(歯石、プラーク、感染セメント質)の除去がなされていったことで、
再来時、歯肉辺縁に見られた赤み(赤いところは歯ぐきに炎症の見られるところです)は少しずつ改善していきました。

2015年再来時の口腔内写真

                  2015年再来時の口腔内

あらためて口腔内写真を見てみますと、再来時、Yさんはまずまずのブラッシングであったことがわかります
(プラークはそれ程付いていません)。これまでの歯周治療におけるモチベーション(働きかけ)の効果があったのかも
しれません。しかしながら歯周病は進行し深い歯周ポケットが見られたのは、歯肉縁下の起炎物質が原因と思われます。

Yさんのような進行した歯周病、特に臼歯部の複雑な根分岐部内の徹底除去は、歯周基本治療のみでは困難であるため、
再評価後、確定処置として当院では歯周外科処置を行っています。
しかしながらYさんは前述したように歯周外科処置ができませんでしたので、より時間をかけた丁寧な歯周基本治療を
心掛け、8ヵ月後メインテナンスに移行しました。
2016年5月メインテナンス移行時には、まだ13歯に5~6mmの歯周ポケットが残存していました。

歯周病の進行が著しかった右下奥と左上奥、歯根外部吸収を起こしていた右上奥の治療経過です。

右下、左上奥の治療経過

右上奥の治療経過

右上奥の矯正的挺出(矯正力で引っぱる処置)は、固定源を同側の手前の歯に持っていくことも考えたのですが、
時間がかかりそうでしたので、対側にアンカースクリューを入れそこを固定源にして挺出させ、おおよそ2ヵ月で手前に少し
寄せながら歯軸を修正しました。その後、7ヵ月間固定を行った後、ブリッジとしました。

ブラケット除去時、歯根周囲の骨は心もとない状態に見えますが、1年8ヵ月後のレントゲンでわかりますように
歯根膜の存在するところまできれいに回復しています。

現在のレントゲン写真です。

2019年現在の状態

残念ながら口腔内写真が撮影されておらず 、次回3月来院時に撮らせていただいたらアップしたいと思います。

メインテナンスの経過の中で、適時、担当衛生士の I さんが歯肉縁下の起炎物質の徹底除去に努めた結果、Yさんの
ブラッシングと相俟って、現在左上奥に2ヵ所、5mmの歯周ポケットを認めるのみとなりました。
またⅢ度の根分岐部病変に罹患していた左上奥2歯は、抜根せず良好に維持されています。

world standard(世界水準、この言葉は私は嫌いなのですが  )において、上顎大臼歯部のⅢ度根分岐部病変は
抜歯してインプラントもしくは保存する場合においても、支えの少ない歯根の抜根(部分的に歯根を抜歯する処置)なのですが、
Yさんの場合は抜根せずそのままメインテナンスできる状態にまで改善しました(そもそも抜根する場合には、再度内科で
休薬しないと処置ができないのですが)。

その理由としては、① 根分岐部内の処置( I さんが行っています)が徹底されていること ②根分岐部における骨欠損
の形(水平的な骨欠損に近いこと、但しYさんの場合は9~10mmの歯周ポケットがありましたので、必ずしも水平的とは
言えないのですが) ③患者さんのブラッシングレベルとメインテナンスの頻度(質も関係) ④歯肉の質(線維性の厚い
歯肉は歯周基本治療に反応が悪く、歯周ポケットが浅くなりにくい)が考えられ、これらの条件が重なった結果と考えています。

1999年、右上奥の歯はかなり歯根外部吸収を起こしていましたので、その時点で抜歯し、矯正治療を提案される先生も
おられるかと思います(抜歯して終わりの場合がほとんどかな )。
しかしながらその後2015年まで16年間この歯が持ったこと、その間歯周治療はされなかったこと(もしかしたらかなり
歯周病が進行してしまっていたかも)、右上奥のブリッジは結果として65才からの装着となりましたので、ここからの15年、
20年維持できると考えますと、寿命を全うできる可能性も十分あると思います。

この歯は文字通り、持つところまで持たせる歯ではありましたが、Yさんの49才から65才までの16年間、機能してくれました
(結局、20年間で抜歯はこの歯だけです)。

今後もご自身の歯を大切にしながら、勿論お体具合にも十分留意され(歯の健康維持の前提として、お体の健康がしっかり
維持されなければなりませんし、「歯周病は万病の元」と言われるように、あらゆる病気との関連性が示唆されていますので、
歯の健康維持は全身の健康維持にも少なからず貢献するものと思っています)、今後も末永く健康な状態でメインテナンス
にご来院いただけることを願っております。

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Posted at 14:12 | 歯周治療 | COM(0) | TB(0) |
2019.02.11

中等度~重度歯周炎に罹患していたYさんとの20年(前編)(歯根外部吸収)

 こんにちは、毎日寒いですね、なえぼ駅前歯科の大村です。
本日は三連休の最終日、朝からニュースでやっていましたが、最強寒波により関東の至る所で雪が降っており、
交通機関にも障害が出ているようです。
皆さん、くれぐれも滑ってけがをしないよう、足元には細心の注意を払って外出してくださいネ

北海道でも先日9日の早朝、十勝(足寄郡)の陸別町で-31.8℃を記録しましたし、札幌も8日には1日中-10℃を
下回るという40年ぶりの寒さとなっており、さっぽろ雪まつりで海外や本州から訪れた観光客も、きっと北海道の寒さを
実感されているのではないかと思います。本日いよいよ最終日。

昨日は、先日6/2(日)に開催される千歳JAL国際マラソンハーフにエントリーしましたので、早速スポーツジムにて
最近さぼっていたランニング&筋トレを行いました。

50才まではあまり衰えを感じなかった筋力も、50才を過ぎてから少しずつ衰えを感じるようになりました。
昔は10kgの米袋も左右の肩にそれぞれひょいひょいっと持ち上げて運んだものでしたが、最近は10kgでも重く感じる
ようになりました。年始には23才になる三男と久しぶりに腕相撲をしたところはじめて負けてしまいました 
 (尤も私は左利きですが)。

やはり常日頃から、ストレッチをする、筋トレをする、階段の上り下りをする(平地にくらべると登れなくなってきました~ )、
そしてジムや外で走ることを心掛けないと、これから10年以上先、健康な70才を迎えられないな~と思います。
今年は(今年こそ?)体をしっかり絞って走り込み、40代の頃のようにハーフを2時間くらいで走れるようにしたいと思います。

さて本日お話させていただく患者Yさん(初診時49才、女性)は、今から20年前、右上奥のブリッジが外れたとのことで
来院されました。
初診時のレントゲン写真です。

1999年初診時のレントゲン写真

右上奥の歯(7番)の下から親知らず(8番)が頭を出しそうになっており、7番の遠心頬側根の根尖(赤矢印)はすでに外部
吸収による歯根吸収を生じていました。

「将来的に外部吸収が進んでくると7番は保存できなくなりますが、下に8番がありますので、この歯をうまく利用することが
できます」とお伝えした上で、翌月ブリッジを装着しました。その時はここだけの治療を希望されていましたので、歯肉に
腫脹を認めた左上臼歯部だけレントゲン写真を撮影し、歯周病の現状を伝えました。

それから2年後。

2001年再来時

今度は左上の前歯が取れたとのことで来院、取れたのは2回目とのこと。根管内には虫歯を認め、金属ポストの適合も
ルーズでしたので再製を勧めました。
またその際、歯周ポケットの深い左右下奥のレントゲン写真も撮影し、再び歯周病の現状を説明しましたが、自覚症状も
なかったため上の前歯の治療のみで治療は終了してしまいました。

その後はしばらく来院がありませんでしたが、2010年、前回来院から10年ぶりに左上奥の歯ぐきが腫れて痛いとの
ことで来院されました。

2010年再来時レントゲン写真

全顎レントゲン撮影を行ったところ、臼歯部を中心に中等度以上の歯周炎を認めましたので、現状と歯周治療の
必要性をお伝えしましたが、その時も1回のみでの来院で中断となってしまいました。

そこから更に5年後の2015年の来院時には、奥歯でしっかりものが噛めなくなるまでに歯周病は進行しており、
ご自身の歯の将来に不安を感じて歯周治療を希望されました。
下が再来時のレントゲン写真と歯周ポケット検査7mm以上(歯周病が重度)の部位です。

2015年再来時レントゲン写真

初診から16年が経過し、49才であったYさんは65才となり、歯周病もかなり進行していました。
右下最後臼歯(向かって左下の一番奥の歯)と左上最後臼歯は噛むと垂直的にかなり動揺しており、全体に9~10mm
と深い歯周ポケットを認めました。また左上の奥2歯はぐるっとⅢ度の根分岐部病変を認め、この3歯は保存が危ぶまれる
状態でした。

またYさんは関節リウマチの治療を受けており、主治医に照会したところ、できるだけ休薬は避けてほしいとの要請が
ありましたので、臼歯部は重度の歯周炎でしたが、歯周外科処置は行わず、歯周基本治療のみにて対応していこうと
考えました。

16年前にセットした右上奥のブリッジは、49才から65才までの16年間維持されていましたが、7番の外部吸収は進み、
8番(親知らず)は写真にありますように挺出し、外側に歯が出てきておりました。

右上奥、ブリッジセット16年後

さてその後どのように治療が行われ、初診から20年後の現在、Yさんの口腔内はどのようになっているのか。
この続きはまた次回にさせていただきたいと思います。

本日の札幌は久しぶりに穏やかな冬晴れの天気ですので、これから午後はぶらっ~と出かけようと思っています
(いつも仕事に追われているので  、仕事が溜まっていないのは久し振りかな~)。
あ、今日は北海道歯科医師会館で北海道歯科産業さんのデンタルショーがある日でした
常日頃お世話になっている営業の I さんも1日仕事で出ていると言っていたので、まずは顔を出さなければ(笑)。


Posted at 11:05 | 歯周治療 | COM(0) | TB(0) |