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2014.01.26

インプラント治療に矯正治療を併用したケース(Part1)

 例年になく降雪量の多い日が続く今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
なえぼ駅前歯科の大村です。さて今年のブログ第一話は、インプラント治療に矯正治療を
併用した患者Iさんのお話をさせていただきます。
今年もなえぼ ほのぼのブログ、よろしくお付き合い下さい。

振り返ってみますと、これまで一度もインプラント治療の紹介はしていなかったようで、
ブログでは初登場ですが、今年はいろいろなインプラント治療例をアップしたいと思います。

私の場合、まずは重度歯周病罹患歯の再生療法や破折歯の接着再植法など、できるだけ
歯を残す治療や歯牙移植によるご自分の歯を有効に活用する治療をご提案することが
多いのですが、本日ご紹介するケースはさすがに保存治療は困難で、インプラント治療を
ご提案したケースです。

冬の富士
             冬の富士

 歯を喪失してしまうにはそれなりの理由があります。
例えば、ある特定の部位、歯の詰め物が取れやすい、冠が脱離する、歯が割れてしまうなど。
これらのトラブルは、単に治療技術の問題だけではないことも多く、この原因をしっかり
分析し対策を講じないと、結果、トラブルの連鎖から更なる歯の喪失を起こしてしまう
ことになります。

その原因はさまざまですが、一つは本ケースのように上下の歯並びの悪さや噛み合わせの
不具合があげられます。即ち、すべての歯にバランス良く噛む力がかからず、
ある特定の歯に大きな負担がかかってしまっているケースです。
本日お話させていただく患者 I さんは、この歯並びの悪さ、噛み合わせの不具合が
歯の喪失に大きく関与していました。
そのためインプラント治療と並行して矯正治療も行っています。
 
 患者 I さんは今から14年前、当院に来院されました。
主訴は右上前歯の冠が脱離したとのことでした。
歯根が短く保存は困難と思われたのですが、何とか残せないかとのご希望があり、
矯正治療にて歯を引っ張った(矯正的挺出)後、冠を被せました

初診時、矯正的挺出中
矯正的挺出中の当該歯

非常に短い根であったため、定期的な噛み合わせ(咬合)のチェックと調整は
必須とお伝えし、しばらくは定期的に来院されていたのですが、
その後来院が途絶えてしまい 平成22年、5年ぶりに再び冠脱離で来院されました。
来院された際には、咬合調整してあった冠は、下の前歯に大きく突き上げられる状態に
なってしまっており、調整後、一旦は I さんのご希望通り付け直したのですが、

初診から11年後、抜歯前
抜歯前の当該歯

再来時にすでにひびが入っていたため短期間で再度脱落し、現状を再度お伝えしたところ
インプラントでの治療をご希望されました。

抜歯後の冠と歯
抜歯した歯と冠

非常に短い歯根であり、5年間メインテナンスにも来院されていませんでしたが
11年間保存、維持することができました。

インプラントオペ時

インプラントオペ終了時の写真です。埋入部位の骨を拡げながらできるだけご自分の
骨を温存しつつ、GBRによる骨の再生処置も併用しました。
歯のないところの向かって左側の下の前歯が歯列不正により、前に出ているのがわかると
思います。この歯によって突き上げられた噛み合せになっていたことが、結局この歯と
噛み合っている上の前歯を失う原因となりました。

オペ2週間後、抜糸時

オペ後2週間、抜糸時の状態です。
歯ぐきはきれいに治癒しているのがわかると思います。

ブラケット装着時

ここから上下の矯正治療を行いました。

オペ後 7ヶ月
 埋入後7ヶ月

セラミック 装着後
インプラントにセラミックが装着された状態

セラミック装着時の写真ですが、歯列不正を改善したことにより、下顎前歯の歯ぐきの
ラインが術前に比べるときれいに揃っていることがわかると思います。
矯正治療を行うことで、以前のようにインプラントのところにだけ噛む力が集中する
ことなく、全体にバランス良く噛むことができるようになっています。

保険診療では両隣のきれいな前歯を削って被せるブリッジの治療しかできません。
また下の前歯の歯列不正がそのまま放置されますので、今度は装着されたブリッジに
トラブルを生じ、長期的には冒頭で述べたトラブルの連鎖から更なる歯の喪失を起こして
しまうことが想像されます。

I さんはまだまだお若く、これから50年くらいご自分の歯を大切にして長く付き合って
いかなければなりません。インプラントはご自分の歯と同様、あるいはそれ以上に
メインテナンスが非常に大切です。今後も末永く当院にメインテナンス来院され、
ご自分の歯もインプラントも大切にケアしていただきたいと思います 






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