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2019.02.26

7本のインプラントにより咬合の再構築を行ったKさんのケース(前編)

 3月まであともう少しですね。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
最近札幌も春を感じさせる穏やかな日が多くなり雪解けが進んできました。春が待ち遠しい今日この頃です。

ところで先週21日の夜は、病院でいつものように仕事をしていたところ突然大きな揺れが~~
本当にびっくりしました。
震度4程度だったと思うのですが、札幌にきて40年、昨年の震度5弱を経験するまでは、 2003年の釧路沖で発生した
地震(M8.0)による震度4が過去最大でしたので、大きな揺れは本当に恐怖です。
今回は昨年9月に起きた北海道胆振東部地震(北海道で初めて震度7を記録)の余震とのことですが、もう半年近く経っている
のにまだ予断を許さないのでしょうかね~。

さて皆様、今、北海道胆振東部地震に関連してCCSが密かに話題になっていることをご存知でしょうか?
CCSって何?と思われる方もおられると思いますが、私も実は今回初めて知りました。
CCSとはCarbon dioxide Capture and Storageの略であり、二酸化炭素(CO2)の回収、貯留を意味しています。
即ち、CCSは工場や発電所などから発生するCO2を大気放散する前に回収し、地中貯留に適した地層まで運び、長期間に
わたり安定的に貯留する技術で、CO2の早期大規模削減が期待できる地球温暖化対策の切り札なのです(日本CCS調査
株式会社HPより)。

実は、今回の震源地の近くに苫小牧CCS(2016年4月から開始)があり、以前から一部の研究者の間では、苫小牧近くで
地震が起きる可能性が懸念されていたことを知りました。                                                     
米国スタンフォード大学でも2012年にCCSは地震発生につながる可能性が高いという論文を出しており、国内で最初の
実証実験場となった新潟県長岡市においても、圧入開始から1年を過ぎた2004年10月、新潟県中越地震(M6.8)が発生。
その後2007年7月にも新潟県中越沖地震(M6.8)が発生しており、震源地はいずれも長岡市の実験場から約20kmと
近い場所でした(圧入期間は2003年~2005年にかけての18ヵ月)。

苫小牧市においても圧入開始から2年5ヵ月で北海道胆振東部地震が発生し(震源地から30km)、その後中止していた
実験を2月19日から開始したばかりの21日に再び今回の地震ですので、ますます信憑性がありますよね。

地震は怖~い

ちなみにこれまで日本において、新潟県長岡市、秋田県湯沢市(旧雄勝町)、福島県いわき市、北海道苫小牧市、北九州市で
CCSの圧入実験が行われているようで、最後の北九州市以外はすべて地震が起きています。東北大震災の後、いわき市での
圧入が中止されたことはこれまでほとんど報道されておりません。その後、実験場は苫小牧市に移り、今回、一部の研究者の
予言通り、北海道胆振東部地震が起こりました。

北九州市でも現在本格事業が進行中とのこと、一部の噂で次の地震は北九州市と言われているとのことです。
もしかしたらCCSは日本のような地震国(地震が多い国ランキングで世界第二位)には不向きなのかもしれません。

勿論、科学的な調査も行われており、昨年の北海道胆振東部地震においても、日本CCS調査株式会社では「地震の震源は
貯留地点より水平距離で約31km離れた胆振地方中東部の深度37kmで発生しております(深さを考慮した直線距離で
約47km)。実際の二酸化炭素が圧入された地層と地震の震源が位置する地層とは連続性がなく、二酸化炭素の圧入による
影響が本地震の震源まで及んだとは考えられません」と発表していますが、実際のところどうなのでしょうか。

地球温暖化防止に向けて、このCCS調査株式会社の事業は経産省お墨付きの国家的プロジェクトですので、願わくば原発の
安全神話が間違いであったような轍は二度と踏まないでいただきたいものです。CCSと地震との関連性に関しては、今後の
続報が待たれるところです。

さて、話がようやく本題にきました(前置きが長くてすいません)。
今回は2016年11月、右下の前歯がグラグラして痛いとのことで、当院の患者さんからのご紹介で来院されたKさんの
治療経過を2回にわけてお話しさせていただきます。

Kさんの初診時のレントゲン写真と主訴であった右下犬歯の状態です。
2016.11 初診時

腫れてグラグラしていた右下前歯(犬歯)

適切な歯周治療がなされないまま隣接歯と固定されており、レントゲンをお撮りしたところすでに根尖までぐるりと
骨がなくなっていました
固定している隣接歯にまでその影響が波及しており、右下前歯(2番)も歯根長の3/4くらいまで骨吸収していました
(写真上のレントゲン参照)。

ひとまず固定を除去、グラグラの犬歯の歯冠部をカット(自然挺出)して、犬歯部分を人工歯にて補修しました。
Kさんには犬歯の現状を説明し、自然脱落してくる可能性が高いことをお伝えした上で、歯肉がかなり腫れていました
ので抗生剤の投薬を行いました。

次回来院時に撮影した口腔内の状態です。右下犬歯は予想した通り自然脱落していました。

初診時口腔内

歯肉の腫れが強く、プラークの付着も多く見られ、左上(向かって右上)の犬歯、小臼歯歯頚部に見られる楔状欠損(右上小臼歯
歯頚部にも見られます)、犬歯切縁部の咬耗、右下犬歯の自然脱落、左下5の歯根破折、左上大臼歯部の根分岐部病変の
状態を考えますと、プラークによる歯周病の進行に咬合力(咬合性外傷)がリスク因子として影響している口腔内と思われました。

左上下臼歯部の口腔内と左上大臼歯部のCTです。

初診時、左上下臼歯部の状態

左下5は歯根破折を起こしており(初診時のレントゲンで根尖に至る歯周ポケットを認める)、頬側歯肉の赤矢印部分に瘻孔
(膿の排出路)を認めました。

左上6、7の状態

また初診時デンタルレントゲン写真で根分岐部病変が進行していた左上大臼歯部をCTで詳しく診たところ、ほとんど根の先端
部に骨支持が残っていないことがわかりました。

従って治療後の歯の残存状態は以下のレントゲンの状況が予想されました。

治療後に予想される歯の残存状態

9歯の欠損が予想されましたがKさんは入れ歯を希望されませんでしたので、まずは残っているご自身の歯の歯周治療を
しっかり行った上で、9歯の欠損部分を7本のインプラントにより再構築していく治療計画を立てました(Kさんの場合は、
左下5の歯根破折歯を接着保存して6、7にインプラントではなく、抜歯して5、7にインプラントによるブリッジを考えました)。

これまで歯周治療のご経験がなく、ブラッシングもササっとしか磨いてこられなかったKさんですが、担当衛生士の働きかけ
により、ブラッシング時間も長くかけられるようになりました。
初診から4ヵ月後、歯周基本治療終了時の口腔内です。
初診時の写真と比較し、歯肉の炎症もプラークの付着もかなり改善してきております。

歯周基本治療終了時の口腔内

ここからようやく歯周外科処置とインプラント治療を行うこととしました。
この時点で左上下の奥歯はまだ抜歯処置を行っておらず、臼歯部の噛めるところを確保しながら、Kさんのお仕事の
スケジュールに合わせて綿密にインプラントの治療計画を立てていきました。自然脱落した右下犬歯部には骨がありません
でしたので、ここはまずGBRにて確実に骨造成を行った後、インプラントの埋入をと考えました(根分岐部病変がかなり
進行していた左上6、7部にも骨造成が必要でした)。

更にインプラントの埋入を予定していた右上7、6間に上顎洞瘻(骨の中央部に上顎洞と交通している骨欠損部を認める)が
あることがわかり、これも埋入時にはやっかいな存在となりました。

上顎洞瘻
右上7、6欠損中央部に見られた上顎洞瘻

ちなみにこの上顎洞瘻ですが、私の親友で某大学歯科口腔外科教授のAくんの話では、元々Kさんに生まれつき存在していた
というより、同部の大臼歯を抜歯した際、上顎洞底の粘膜が引っ張られた可能性があるのではないかということでした。
単純抜歯でこういうことも起こり得るのか~と(おそらくKさんの右上大臼歯は左上のように歯根が長く、一部の歯根が上顎洞
粘膜と接していたのではないかと推測)あらためて思いました。

自院の患者さんの口腔外科的な専門性を要する治療等に関しては、何人かの口腔外科の専門医とタイアップしており、
診断や処置方針に悩む時、口腔内写真やレントゲン写真をメールに添えて相談することもあります。特にAくんの存在は大きく、
教授職で多忙にもかかわらず、何かと細かな相談をさせてもらっています(細かくこだわるのは、患者さんに対して自己のできる
ことは最善を尽くすというのが担当医としての責務だと考えているからです)。

ちなみに先週、堀ちえみさんが11時間に渡る舌ガン(ステージ4)のオペを無事終了したというニュースが流れました。
頚部リンパ節と舌の60%を切除し、大腿皮弁による再建手術を行ったとのこと、東大もしくは順天堂大学での手術という話も
ありますが、30年も診療をしておりますと稀に悪性腫瘍を疑う粘膜病変に遭遇することがあります(口腔癌は癌全体から
みると4%程度と少ないのですが)。

前癌病変としての舌の白板症、歯肉の紅板症(私が遭遇したケースは完全に癌化していました)、舌、硬口蓋、下顎歯肉の
扁平上皮癌、肺癌の顎骨転移。また前日飲みすぎたら翌日下あごが腫れたとのことで来院され、歯とは全く関係がなかった
ので顎下型ラヌーラ(ガマ腫)もしくは側頚嚢胞を疑って口腔外科を紹介したところ、悪性リンパ腫であったこともありました。

堀ちえみさんも夏頃、小さな口内炎を自覚し、9月にはかかりつけの歯科医院さんを受診したにもかかわらず、担当歯科医師は
口内炎を疑わず薬を出した挙句、なかなか治らないということでその後レーザー治療まで行い、結果、初発症状から半年、
舌ガンは放置されてしまいました。どうして口腔外科の専門病院をもっと早く紹介できなかったのか、その責任は重いと思い
ます。

また話がそれて長くなってしましました
今日はここまでとさせていただき、次回この続きをお話ししたいと思います。ご期待ください



















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