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2018.08.22

上下左右最後臼歯部遠心に歯周病による著しい骨吸収を認めた一例(歯周再生療法)

  お盆前から続く長雨ですっかり朝晩は肌寒さを感じるようになり、暑かった夏が早、懐かしく感じる
今日この頃です。皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

今年のブログは近況やイベントの報告、日常の一コマが多く、あまり治療例のアップをしていませんでしたので、
これから年末にかけて少しずつ最近の症例を整理し、「へ~、そうなんだ~」とか、「こういう治療もできるんだ」と、
何か皆様の参考になるようなアップ記事を掲載していきたいと思います。

本日は左上奥の歯ぐきが腫れたため歯科医院を受診したところ抜歯と言われたとのことで、平成28年当院に来院
されたTさんのお話をさせていただきます。下は初診来院時のTさんのレントゲン写真です。 

平成28年初診時レントゲン写真

               平成28年初診時レントゲン写真

主訴である左上の最後方歯(◎)は歯周病が高度に進行しており、また元々親知らず(以下、智歯と記載)があったと
思われる隣接部で大きく虫歯も進行していました。精査したところ外側から奥側にかけてすべて根の先まで骨がない
状態でした。

初診時の左上7

           初診時の左上奥

全体的には軽度~中等度の歯周炎でしたが、左上奥以外にも左下奥、右上下奥(〇)のすべて奥側で、局所的に重度の
歯周炎に進行していました。

右上下、左下奥の初診時

話をお聞きしたところ、今から15年程前の20代後半に上下左右の智歯を抜歯して矯正治療を行ったのこと。
おそらく元々歯周病の罹患度(なりやすさ)がやや高いところに、智歯との間は磨くことが困難な状態になっていたため、
その部で特に歯周病が進行していたのではないかと思われました。

智歯を抜歯した後(矯正治療前)もしくは矯正治療後に歯周病治療を行えば良かったのですが、残念ながら歯周病に
罹患しているという現状説明も歯周病治療もなされないまま静かに進行し、無症状に15年が経過したのではないかと
想像されました

ダリア

左上奥は外側、内側に骨の支えがあって奥のみが根尖まで進行したのであれば再生療法で保存を試みたのですが、
囲みのある骨がなく再生できる見込みがなかったため私も残念ながら残せないこと、また今一番問題なのは
特に左上奥、右上下奥の歯であり、このまま放置しておくと数年のうちに左上奥のように根の先まで骨がなくなって
しまう可能性があることをお伝えしました。

数回歯周病治療に通院された後半年ほど未来院となり、その後左上奥が更に欠けてしまったとのことで再来された時の
左上奥の状態です。

再来時の左上奥

           再来時の左上奥

わずかな歯根を残してほとんど歯は脱落しており、レントゲンをご覧になられてさすがにTさんも保存は不可能と
観念されたようで、やむなく抜歯させていただきました。

左上奥、右上下奥の奥側は根尖もしくは根尖近くまでの骨吸収を認めており、この3ヵ所は通常の歯周外科処置では
深い歯周ポケットが残る可能性が高く、骨の再生も不十分になると思われました。
まだ40代のTさんが一生涯この歯を維持していくための最善の治療として、GTR法(再生療法)をご提案したところ、
Tさんは治療を希望されました。

初診来院から半年の未来院期間を経て再来された時に、左下奥の歯周炎は更に進行(根尖まで骨吸収)していたため
根管治療を行いました。

再来時(再生療法前)の左下奥

             再来時の左下奥

再生療法後8ヵ月~2年の現在のレントゲン写真です。

右上下、左下奥の現在

再生療法後の経過期間が一番短い左下奥だけはまだ十分な再生が得られていませんが、抜歯は回避することが
でき、今後は右上奥、右下奥同様、骨の再生状態を観察していく予定です。
初診時根尖までの骨吸収を認めていた右上奥は、歯髄診断を行ったところすでに失活していた(神経が死んでしまって
いた)ため根管治療を行った後、冠を装着しています。

萌出するスペースがなく十分に生えてこない(例えば横向きに生えている)智歯を、単に痛みがないからとか
抜歯するのはひとまず避けたいからという理由で放置されている患者さんは結構多いのですが、結果、Tさんのように
智歯の前方にある大切な歯が歯周病や虫歯になり、歯の寿命を縮めてしまうということが往々にしてありますので
注意が必要です。

但し、口腔内にすでに失活歯がある場合、失活歯は常に歯根破折のリスクを抱えていますので、割れが入ると突然
抜歯宣告されてしまいます。そういう場合の救済処置の一つとして智歯があれば歯牙移植が可能な場合もありますので、
私は年齢、口腔内全体(歯、歯周組織)の状態、智歯周囲の状態等を総合的に判断して、今抜歯した方が良いかどうか
を患者さんにお話しするようにしています。

Tさんの奥歯のように、局所的に根尖もしくは根尖近くまで重度垂直性に骨吸収してしまっている場合、骨欠損の状態
等により、エムドゲイン、GTR膜、自家骨等の移植骨を用いた再生療法が有効と考えており、当院では本当に必要と
思われる症例を選んでご提案するようにしています。

ひまわり

本日メインテナンスに来られたTさんから「再生されたところは再発や悪化がないというわけではないんですよね?」
とご質問をいただきました。
「そうなんです(笑)」
再生療法は根尖近くまで骨のなくなっていた歯周組織をより良好に治癒させ、メインテナンスできる歯周環境を整えた
ということであって、決してブラッシングやメインテナンスが不十分でも悪くなりにくいということではないんです。

歯周病治療に精通した歯科医院を選ぶことができれば、あとは健康な歯周組織を獲得し、長期に維持するための
鍵は実は患者さんご自身にあるのです。
Tさん、これからもスタッフ一同しっかりサポートしていきますので、末永くよろしくお願いしますネ

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