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2017.08.05

破折リーマー(根管治療の器具)が問題となっていた2症例

  こんにちは、なえぼ駅前歯科の大村です。
札幌も日中はかなり暑くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今朝は、琴似の自宅を出発し、線路下をひたすら走り手稲駅を越えて右折、新川通りを右に折り返し、
前田森林公園、コーチャンフォーを横目に、最後は北24条宮の森通りで折り返して自宅に到着。
概ね22kmのハーフコースを3時間位かけてゆっくり走りました。やはり自然の中で体を動かすって気持ち良い
ですね。しばらく休診日の土曜日は続けてみようと思います。

さて前回、歯根端切除術、意図的再植という通常の根管治療で治らないケースの外科的歯内療法という
お話をさせていただきました。
本日は根管治療Part2ということで、症状のある根管にリーマー破折(根管治療の用いる器具の破折)を認めた
症例の中から2ケースをご紹介させていただきます。

また前回同様、大きな根尖病変や外科処置の難しい大臼歯部の歯根端切除術、意図的再植術ケースも誌面が
許せば(長いと読むのも大変ですので  )供覧させていただきます。

私自身、歯周病治療は専門ですが、歯内療法(根管治療)は決して専門ではありませんので、一般開業医の話、
治療例として読んでいただければ幸いです。

最初の患者さんはYさん(20代、女性)で、平成13年、左上奥の歯が痛いということで来院されました。
レントゲンで確認したところ、矢印部分に器具(リーマー)の破折と根尖病変を認めました。

初診時①

                 初診時

上顎の最後臼歯は口が大きく開き、口腔前庭が広いなどの条件が良くないと歯根端切除術は難しく、華奢なYさんの
お口では到底無理でした。

リーマーを除去できなければこの根管だけは抜去せざるを得ませんが、3つの根でカメラの三脚のように
しっかり支えられている大臼歯の1根を除去してしまうと、残り2根に当然負担がかかって将来的に歯根破折→抜歯
となるリスクが高くなりますし、そもそも1根だけ抜去すること自体が難しい場合もあります。
何とか破折リーマーを除去しこの歯を救おうと考え、少し時間はかかりましたが、最終的には無事除去することが
でき治療は終了しました。

10年後、久し振りの再来時に撮らせていただいた左上奥の状態です。

10年後
                   10年後

経過良好でYさんのお口の中でしっかり機能していました。

若かったYさんも10年経って母になっていましたが、その後は現在まで6年程来院されていません。
30代のこの時期は子育てに追われ、どうしてもご自分の口腔内、歯のケアが疎かになりがちですが(子供を産むと
カルシウムを取られて歯が悪くなると言われていますが、お口の中ですでに完成している歯からカルシウムが溶けて
子供の栄養になることは絶対にありません)、歳を取っても自分の歯で噛めるよう、ぜひご自分の将来のために
時間を確保してメインテナンス来院していただきたいと思います。

2ケース目は、平成15年、当時テニススクールで知り合った方からのご紹介で、日本語がほとんど話せない
スウェーデン人Sさん(20代、女性)のお話をさせていただきます。
右下奥の歯が痛いということでしたが、さすがは歯科医療先進国スウェーデンの方、痛いという歯を除く27本は
全く治療されていない健全歯でした。

レントゲンを撮らせていただくと、何と!唯一の処置歯に根尖病変を認め、その根管には破折リーマーが
残っているではありませんか 
しかもその根管が痛みの原因(リーマーがあることで根の先端まできれいにすることができない)となっていました。

初診時②
                初診時

初診時、現状をありのままに説明してしまうと、もし私が保存的にうまく治療できなかった場合、母国でリーマー破折が
問題になっては大変とも思い、リーマーが折れていることは説明せず、「少し治療が難しいので時間はかかります」
とだけ説明して治療を開始しました。

治療3回目に無事破折リーマーを除去することができ、冠を被せて治療は終了となりました。

根管治療終了時

                   根管治療終了時

ちなみにSさんは保険証を持っておらず、すべての治療が自由診療でした。
当時は私自身自由診療が全く解らず、確か根管治療代として保険診療の10割(5000円~1万円位)、冠は(当然
のことながら白物を希望)できるだけ健全歯を削らず、ハイブリッドセラミックの部分被覆冠をご提案し(当時はまだ
プレスセラミックが世に出ていない時代でした)、料金として3万円位とお話ししたように思います。

*ハイブリッドセラミックはセラミック(陶材)とレジン(プラスチック)のハイブリッド素材で、 セラミックよりも軟らかく
  粘りがあるため歯に優しく、料金もセラミックの中では安価である反面、減りやすく、経年的に変色するのが欠点です。
 
そうしたところ、Sさんに「そんな安い治療費で良いのか?」(英語で何と言われたかは覚えていません
と言われてしまいました。
欧米では大臼歯の根管治療代が10~20万円、セラミックは10~15万円くらいが相場だったようで(後で知りました)、
そのためSさんにはとても安く感じられたのだと思います(破折リーマーも除去したのですから、もっといただいても
良かったですね(笑))。

ちなみにリーマー(根管治療の器具)は消耗品ですので、使い続ければ無理な力を加えなくても破折することは
正直あります。先端の彎曲している難しい根管を一生懸命きれいにしようと頑張るほどリスクも高くなります。
患者ごとに新品を揃えられればベストですが、日本の根管治療(保険診療)代は欧米の1/20ですので、それは
正直なところ無理というのも現場の本音です。

そのためそのような偶発症を絶対に(この世の中、絶対ということは絶対にないのですが  )避けたい方は、
歯内療法(根管治療)のみを自由診療で専門に行っている医療機関での治療をお勧めします。
費用は欧米並みにかかりますが、その道のプロですので確実に治療をしてくれるはずです。

またリーマーが折れていても問題にならず良好に治癒していれば、当然ですがリーマーは除去しません。
除去することによるリスクもありますし、高額な機器であるマイクロスコープを使って、更に時間と手間をかけなければ
ならない治療であることもご理解ください。

富田ファーム


話は戻ります 
私、英会話は正直それ程得意ではないのですが、不思議とその後も何かのご縁で、欧米の方が患者さんでお見えに
なられています。そしてある時気づいたのですが、どの方も初診時に必ずチャージを聞いてこられます。
おそらく患者負担が非常に少ない日本の歯科保険診療と違い、欧米ではその10~20倍の治療費がかかるからだと
思います。

ちなみにアメリカでは人気職種 NO1 が歯科医師です。
また歯科治療の方針を決める上で大前提となるのが「rich or poor?」なのです。
実際に日本の歯科保険診療であれば残せる歯も、アメリカではお金がなければすべて抜歯され総義歯となってしまう
こともあります。

但し、最善の歯科医療を受けられるのはお金のある人だけというアメリカ人でさえ、日本人よりも80才ではるかに
多くの歯が残っているのは皮肉です(平成17年頃のデータでは、アメリカ人18本、日本人9本でした)。

①「治療よりも予防(できるだけ治療しない)」 → 治療費が高ければ必然的に予防しようとする意識が強く働き、
  結果、歯は残っていく(日本は未だに悪くなったら歯医者に行けばよいという悪しき習慣があります)

②「安くても治療の質が担保されなければ、結局治療は繰り返されて歯はなくなっていく」 → 日本の歯科保険診療
  にはさまざまな制約、限界があり、決して患者さんにとって最善の治療とはならないこと

がデータから読み取れると思います。

話がだいぶ脱線してしまいましたので本日はここまでとし、次回は歯根端切除、意図的再植術 Part2を近日中に
アップさせたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました 

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