2018.12.17
治療方針に悩んだ重度慢性歯周炎患者さんの治療例(再生療法、歯牙移植)
札幌もすっかり寒くなりましたね。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
12月8、9日の両日は仕事で東京に行っておりました。
9日(日)には東京に住む長男たちと丸の内ビルでランチを予定していたのですが、待ち合わせ時間まで1時間以上
時間があったので、皇居を散策してきました。ちょうど皇居敷地内の乾通りが一般開放されており、多くの人が皇居を
訪れていました。当日は10℃と東京としては寒かったようなのですが、札幌と比べると別世界!札幌の10月上旬の
気候でまだ紅葉が見られました。

京橋、日本橋、銀座方面はたまに仕事で行くことがあり八重洲口は利用するのですが、東京駅の顔とも言うべき丸の内側は
2012年10月の保存・復原工事が完了してからは初めてでした。一番下の娘がくまモンの大ファンで(笑)、いつも銀座の
くまモン館でお土産を買うのが我が家の恒例となっており、時間があれば上野美術館のフェルメール展や湯島天神にも
行きたかったのですが今回はお預けとなりました
今年も残すところあと2週間。新年をきれいな歯で迎えていただくため、年末いつも以上に忙しくしていますが
(加えて週末は忘年会のはしごですが、笑)、本日は2016年に冠が外れたとのことで来院されたNさんのお話をさせて
いただきます。
下はNさんの初診時の状態です。

Nさんの初診時の状態
詳しく診査を行った結果、右下奥(向かって左下奥)のブリッジが外れているだけではなく、上の左右5番の歯(いずれも延長
ブリッジの支台歯)が歯根破折、左下奥のインプラントが重度のインプラント周囲炎に罹患していました。更に右上奥(6番)も
ブリッジを外してみると3つの根がバラバラに割れてしまっており、一部の根には破折線も認めました。
Nさんは固定性のブリッジを希望していましたが、上の支えが足りないためインプラントによる増員を考えました。

インプラントによるブリッジ設計①です(〇、△のところがインプラント予定部位)。インプラントは左右臼歯部に4本埋入。

次にインプラントによるブリッジ設計②を考えてみました。この案だとインプラントは右上奥の2本で済みます。

しかしながら前歯部だけのブリッジだと、いずれの場合も右上犬歯(3番)の負担が大きいと思われ、万一この歯が
歯根破折で抜歯となった場合、2番も抜歯となって更に2~3本(計4~5本のインプラント)の追加が必要になりますが、
そのインプラント自体が前歯の骨の幅がかなりないため埋入が難しく、万一の時の次の一手はインプラントでリカバリー
が困難という事態が想像されました。
私も歯を守るため欠損部分にインプラント治療を勧めることがありますが、Nさんの場合はインプラントをうまく活用する
ことが難しいケースと判断しました。


現在初診から2年経過し、治療は終了しています。
初診時重度であった歯周炎もきれいに改善し、健康な歯周組織を取り戻しています。

治療終了時レントゲン写真
結局、インプラントを使って上の受け止める側を増員するのではなく、歯牙移植を応用し、上下左右で受け止める側の
バランスを整え、上顎はすべての残存歯を連結固定しました。

治療終了時口腔内写真
また受け止める側を強化するだけでなく、加える側、咬合力のコントロールも併せて行っています。
Nさんの歯周病原性細菌に関しては、前回、前々回のブログでお話ししたPCR細菌検査を行った結果、
Aa菌、Pg菌とも感染しておらず、他のred complex(Pg菌に次ぐ歯周病原性の強い細菌と位置付けられている菌)
2菌種も數が少なく、結局除菌療法は行いませんでした。
これまで歯周病治療を受けたことがないとは言っても、プラークに対する感受性が高くなければ50代でここまで
歯周病は進行しません。仮に細菌に問題がないとすれば、体質とか遺伝によるものなのか、上顎は欠損歯列である
ため咬合性外傷の影響を受けて進行が早かったのか、疑問は尽きませんが、今後も注意深くメインテナンスを継続
していかなければならないことを再認識しました。
炎症と咬合力のコントロールを地道に継続し、Nさんには10年、15年とトラブルなく、良い状態を維持していって
ほしいと願っています。Nさん、今後も末永く当院に来院してくださいね
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
12月8、9日の両日は仕事で東京に行っておりました。
9日(日)には東京に住む長男たちと丸の内ビルでランチを予定していたのですが、待ち合わせ時間まで1時間以上
時間があったので、皇居を散策してきました。ちょうど皇居敷地内の乾通りが一般開放されており、多くの人が皇居を
訪れていました。当日は10℃と東京としては寒かったようなのですが、札幌と比べると別世界!札幌の10月上旬の
気候でまだ紅葉が見られました。

京橋、日本橋、銀座方面はたまに仕事で行くことがあり八重洲口は利用するのですが、東京駅の顔とも言うべき丸の内側は
2012年10月の保存・復原工事が完了してからは初めてでした。一番下の娘がくまモンの大ファンで(笑)、いつも銀座の
くまモン館でお土産を買うのが我が家の恒例となっており、時間があれば上野美術館のフェルメール展や湯島天神にも
行きたかったのですが今回はお預けとなりました

今年も残すところあと2週間。新年をきれいな歯で迎えていただくため、年末いつも以上に忙しくしていますが
(加えて週末は忘年会のはしごですが、笑)、本日は2016年に冠が外れたとのことで来院されたNさんのお話をさせて
いただきます。
下はNさんの初診時の状態です。

Nさんの初診時の状態
詳しく診査を行った結果、右下奥(向かって左下奥)のブリッジが外れているだけではなく、上の左右5番の歯(いずれも延長
ブリッジの支台歯)が歯根破折、左下奥のインプラントが重度のインプラント周囲炎に罹患していました。更に右上奥(6番)も
ブリッジを外してみると3つの根がバラバラに割れてしまっており、一部の根には破折線も認めました。
Nさんは固定性のブリッジを希望していましたが、上の支えが足りないためインプラントによる増員を考えました。

インプラントによるブリッジ設計①です(〇、△のところがインプラント予定部位)。インプラントは左右臼歯部に4本埋入。

次にインプラントによるブリッジ設計②を考えてみました。この案だとインプラントは右上奥の2本で済みます。

しかしながら前歯部だけのブリッジだと、いずれの場合も右上犬歯(3番)の負担が大きいと思われ、万一この歯が
歯根破折で抜歯となった場合、2番も抜歯となって更に2~3本(計4~5本のインプラント)の追加が必要になりますが、
そのインプラント自体が前歯の骨の幅がかなりないため埋入が難しく、万一の時の次の一手はインプラントでリカバリー
が困難という事態が想像されました。
私も歯を守るため欠損部分にインプラント治療を勧めることがありますが、Nさんの場合はインプラントをうまく活用する
ことが難しいケースと判断しました。


現在初診から2年経過し、治療は終了しています。
初診時重度であった歯周炎もきれいに改善し、健康な歯周組織を取り戻しています。

治療終了時レントゲン写真
結局、インプラントを使って上の受け止める側を増員するのではなく、歯牙移植を応用し、上下左右で受け止める側の
バランスを整え、上顎はすべての残存歯を連結固定しました。

治療終了時口腔内写真
また受け止める側を強化するだけでなく、加える側、咬合力のコントロールも併せて行っています。
Nさんの歯周病原性細菌に関しては、前回、前々回のブログでお話ししたPCR細菌検査を行った結果、
Aa菌、Pg菌とも感染しておらず、他のred complex(Pg菌に次ぐ歯周病原性の強い細菌と位置付けられている菌)
2菌種も數が少なく、結局除菌療法は行いませんでした。
これまで歯周病治療を受けたことがないとは言っても、プラークに対する感受性が高くなければ50代でここまで
歯周病は進行しません。仮に細菌に問題がないとすれば、体質とか遺伝によるものなのか、上顎は欠損歯列である
ため咬合性外傷の影響を受けて進行が早かったのか、疑問は尽きませんが、今後も注意深くメインテナンスを継続
していかなければならないことを再認識しました。
炎症と咬合力のコントロールを地道に継続し、Nさんには10年、15年とトラブルなく、良い状態を維持していって
ほしいと願っています。Nさん、今後も末永く当院に来院してくださいね

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