2018.06.24

再生療法、意図的再植にて抜歯を回避したYさんの初診から10年後

 もうすぐ7月。札幌はまだまだ夏を感じさせない涼しい毎日ですが皆様いかがお過ごしでしょうか、
なえぼ駅前歯科の大村です。
最近本当に忙しくなかなかブログを更新することができずにいましたが、今日は久しぶりの完全オフ、
朝から診療室に籠ってブログを作成中です(笑)。

本日は先週メインテナンスで来院されたYさんのお話をさせていただきます。
Yさんは平成20年、普段から歯のぐらつきを自覚しており、歯周病治療を希望しての来院でした。

初診時のレントゲン写真です。

山本美鈴様 初診時レントゲン

レントゲン所見から臼歯部を中心に歯根長の1/2以上の骨吸収と上下左右の大臼歯部には6~10mm以上
の深い歯周ポケットを認め、全体に歯周病が進行していました。
左上奥から2番目(向かって右上奥から2番目、歯周ポケット10mm以上)の歯は初診時すでに外側に全く骨が
残っていなかったため、内側の根のみを保存しました。同年11月に全顎治療が終了し、メインテナンスに
入りました。

2年ほど良好にメインテナンスしていたのですが、右上最後臼歯の遠心根分岐部にしみる症状が出始めました。
サホライド(知覚過敏薬)を塗って対応していたのですが、遠方からのメインテナンス来院であったこともあり、
症状が強く出た時に近隣の歯科医院を受診されたようで、次回メインテナンス来院時にはすでに冠が装着されて
いました。冠の状態をみて、正直「どうしてうちに来てくれなかったかな~」と思いましたが、Yさんを責めることの
ないよう対応しました

案の定1年も経たずにこの歯の頬側の歯肉が腫れたためレントゲン写真を撮影した時の状態です(中央上)。
不適切な根管治療、不適切な冠形態(遠心根分岐部が全くブラッッシングできないオーバーな形になっていました)
による歯周-歯内病変の悪化により、頬側遠心根(頬側2根はほとんど分岐していない)は完全に骨がない状態
になっていました。

現状を説明し、まずは根管治療を行い、根管治療終了後治癒期間を待って再生療法(エムドゲイン+移植骨
(自家骨+バイオオス))を行いました。オペ時歯肉弁を開けると、頬側遠心根根尖は露出していました。
再生療法6年後の現在の右上奥の状態です。
レントゲン所見において再生療法による骨の再生と浅い歯周ポケットは維持されています

右上最後臼歯の経過

                    右上最後臼歯の治療経過

保険診療ではできない治療もありますが、適切な根管治療、保存の難しい高度歯周病罹患歯に対する再生療法、
その後のブラッシングしやすい冠形態とメインテナンスの質。どれ一つ欠けてもこの歯の保存、維持は難しかった
のではないかなと思います(勿論、患者さんの良好なプラークコントロールが前提です)。

初診から10年後の現在です。

 初診から10年後の現在

現在の上下左右臼歯部の状態

現在Yさんは3ヵ月ごとのメインテナンス来院を継続され、ひとまず初診から10年、右上奥に再治療はありましたが、
メインテナンスから1歯も抜歯になることなく健康な口腔内を維持しています。

実は左上奥の歯も根管治療が奏功せず、意図的再植(根管内からのアプローチで改善しない場合、
歯根端切除術の適応外の歯に対し、一度抜歯し、口腔外で根尖部の処置を行う方法)を行っています。
再植時、根尖の感染部と上顎洞との間に骨の裏打ちがありませんでしたが、適切に処置すると歯はしっかりと
保存されていきます。

左上臼歯の治療経過

              左上臼歯(奥から2番目の歯)の治療経過

最近、歯科医師の知人が歯周治療を希望して当院に来院しました。
医者の不養生と言っておりましたが 、当院に来院する直前に2歯、根管治療の予後不良で抜歯したとのこと
(元々リーマー(根管治療の器具)の破折から根尖病変が大きくなり、前医では結局対応できず知人も同意の上
で抜歯したとのこと)。
当院の歯周治療を信頼しての来院でしたので嬉しい反面、抜歯する前にどうしてうちに来てくれなかったかな~と、
救えたのに と正直思いましたが、すでに抜歯されてしまっているので、そこはやんわり伝えるのみにとどめ、
現在歯周治療を進めているところです。

この「なえぼほのぼのブログ」のブログカテゴリー「破折歯保存」、「根管治療」に掲載した多くの治療例のように、
破折リーマーはまず除去を試み、また根管治療での対応が難しいケースは、歯根端切除術や意図的再植による
外科的歯内療法、更に外科処置においても予後不良となる典型例としての根尖部での歯根破折に対しては、
破折歯の接着保存治療がありますので、このブログを読んでいただいている方は、知人のように簡単に自分の歯を
あきらめずぜひセカンドオピニオンにご来院ください。

当院は現在あるいは生涯に渡り、自分の歯を失いたくないと思っておられる患者さんのご来院を心からお待ちしています。


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