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2018.03.18

「破折歯の保存治療にインプラントを併用した3症例」

 こんにちは、なえぼ駅前歯科の大村です。
春間近、5月の豊平川マラソン、6月の千歳国際マラソンに向けて少しずつ走り始めなければならない
今日この頃ですが、あいかわらず仕事が忙しく(と毎年言い訳しているな~ )、更に冬場の除雪で痛めた
腰の調子がなかなか良くならず、この2ヵ月ほど毎週昼休みを利用して当法人のステラはり・灸整骨院で、
はり、電気、マッサージの治療を受けています。

先日も昼休みに抜けて治療に行っていたところ、患者Ⅿさんが屋久島のお土産としてタンカンを持って来て
くださいました(不在にしていて申し訳ありません)。
タンカンという果物は私も初めて頂きましたが、関西に住んでいた頃食べたポンカンに味が似ていると思い
調べたところ(そう言えば北海道に来てからは食べていないな~)、ポンカンとネーブルオレンジの自然交配種
とのこと(納得  )。早速スタッフ、家族共々おいしくいただきました。そのお心遣いに感謝申し上げます。

私より10才年上のⅯさんとは、私が開業する前の勤務医時代から患者さんとして25年お付き合いをさせて
いただいています。開業後しばらくしてから、私の開業場所を前勤務先から聞いて来てくださいました。
担当して以来25年間1歯も抜歯になっていないのが私の密かな自慢でもあります(笑)。
聡明なⅯさんは登山サークルに所属されており健康にも抜かりはなく、今回の縄文杉ツアーもサークルのお仲間と
ご一緒、とお聞きしていました。往復10時間以上、距離にして22kmのアップダウンですからなかなかのものです。

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さて本日は「破折歯の保存治療にインプラントを併用した3症例」ということでお話させていただきます。
患者さんはいずれも女性、年齢は40代後半~60才と歯が失われていき始める年代で、この時期に受けた治療と
その後のメインテナンスの良否が、歳と共に歯がなくなっていくか維持されていくかの一つの分岐点になると考えて
います。

歯根破折を起こした歯には、割れるに至った様々な原因があります。
「フェルールがない(健全歯質が少ない)」「内側性修復物」という「歯」「歯冠修復物」という局所の原因以外にも、
「咬合力(咀嚼力、ブラキシズム)が強い」「欠損歯列の咬合支持歯」「歯列不正やガイドの喪失」「偏咀嚼」という
そもそもその歯に負担がかかっていたという問題が多く見受けられます。

その場合、割れた歯を適切に接着させるだけではなく、その原因を分析して適切に対応することが、破折歯の
長期維持につながっていきます。その対応の一つとしてインプラントをうまく利用することを考えています。

ちょっと話が専門的過ぎるのですが 、治療例をみていただきながらもう少し具体的にお話させていただきます。

(治療例1)
40代、女性
右下奥の割れた歯の治療相談ということで、札幌市内の開業医さんのご紹介で来院されました。

右下奥(向かって左側)にはブリッジが装着されており、〇印の最後臼歯で歯が割れていました。
ブリッジ手前の支台歯(△)には太い金属ポストが装着されていましたが、すでに脱離し虫歯になっており
フェルールもない状態でした。
また反対側の左上大臼歯が2歯欠損(×)したままになっており、右側でばかり噛んでいた(偏咀嚼の問題)
ことが破折の一因であると考えました。

症例1 初診時
       初診時右下         初診時左上

-以下補足解説-
歯冠修復物は、歯肉縁上に高さ1~2mm以上、厚さ1mm以上の健全な残存歯質をしっかり抱え込むことで
(フェルール効果)、冠の脱離や歯根破折を防止する効果があります。
フェルール=冠が残存歯質を抱え込む部分=タガ(をはめる)
フェルールのない歯は単にファイバーコアを装着するだけでは不十分で、歯冠長延長術という外科処置を
行うことでフェルールが確保されます。
 
 歯冠長延長術(術前、術後)
参考例ですが、左側はオペ前の状態でM部(近心側)の歯質は歯肉縁下4mmでしたが、右側のオペ後には
同じM部で健全な1mmの歯質を歯肉縁上に確保できています。
また歯根破折の大きな原因となっている失活歯の内側性修復物は、噛む力が歯に対してくさびとして働きますので
当院では最低限被覆しています(タガをはめる)。歯を少しでも削りたくないからということで、インレーで対応した結果
抜歯になってしまっては全くの本末転倒です(以上補足解説終了)。

さて話をまた元に戻しますが、割れていた最後臼歯は保存治療を行い(破折片は虫歯でほとんど使い物にならず、
除去した後、前述した歯冠長延長術にて対応)、手前の歯の太い金属ポストはファイバーコアに治療し直して
同じく歯冠長延長術を行いました。真ん中の欠損部はインプラントで対応すると共に、左側でもしっかり噛めるよう
左上奥にもソケットリフトによるインプラントを2本埋入しました。

症例1 インプラント埋入後
              インプラント埋入後

こうすることで右下奥の2本の歯の負担を軽減させ、歯根破折のリスクを極力低くできるようにしました。

(治療例2)
60才、女性
ネットをみて当院来院、左下奥の歯が割れており治療の相談をしたいとのことでした。
右下、左下ともそれぞれ大臼歯2歯が欠損しており、通常奥歯は左右計8歯で噛む力を支えているところを
半分の4歯で支えており(前述した欠損歯列の咬合支持歯という問題)、一番負担のかかりやすい最後臼歯
(割れた左側は失活歯でした。右側の最後臼歯は生活歯)に歯根破折を生じていました。
まずは割れている歯の接着保存治療を行い、

症例2 初診時
       初診時          接着再植後

症例2 接着再植術中

3ヵ月後に骨の改善を確認後、その奥に1本インプラントを更には反対側の右側にもインプラントを追加しました。

症例2 インプラント埋入後
 インプラント埋入後(破折歯は接着再植3ヵ月後)

その結果、左右の奥歯は初診時の4歯からインプラントオペ後は6歯で支えることができるようになり、歯根破折歯
を含めた残存歯への負担は軽減されました。

(治療例3)
50才、女性
日高からネットをみて当院来院
歯が割れて痛い、歯ぐきが腫れている、頻繁に仮歯が脱離するとのこと、歯根破折のみならず、いろいろな問題が
複合的に絡んでいました。

その主なものは、
①顎位の低下(噛み合わせが低くなっている)とそれに起因する前歯部の突き上げ、適切なガイドの喪失
②健全な残存歯質が少ない(フェルールがない)
③咬合力が強い(特に咀嚼力)
上記①~③はすべて仮歯の頻回脱離、歯根破折と関係
④歯が割れている(3歯)
⑤上顎は欠損歯列(初診時すでに5歯欠損、地元ではすぐ抜歯されてしまう)

全顎治療の詳細は割愛し、2歯が破折していた右下奥に絞って今回はお話をさせていただきます。

初診時ブリッジが装着されていましたが、支台となっている2歯はいずれも残存歯質が少なく歯根破折していました
(青の矢印部分)。

症例3 初診時
         初診時

コア除去時(左)、 術中(右)

どちらも接着保存治療を行い、真ん中の欠損部は治療例1と同様、インプラントで対応しました。

症例3 インプラント埋入後
  インプラント埋入後(補綴終了後)

向かって右側の歯の幅の広い骨欠損部には、再植時再生療法を併用しており、術後骨頂部は平坦に改善しています。

現在すべての歯を保存したうえで下顎は治療を終了。上顎はフェル-ルのない失活歯に対して根築1回法、歯冠長
延長術を行った後、適正な顎位、咬合を付与した最終的なブリッジの仮歯を装着し、ナイトガードによるブラキシズム
の診断と咬合力のコントロールを行っています。

治療例1~3のように、保存可能な歯は患者さんの希望を伺った上でできるだけ保存に努め、更に残存歯を守る
ためインプラント(ドナーとなる歯が存在する場合は歯牙移植も検討)を初診時欠損している部位に必要最小限活用
するというのが当院の治療の特長と言えると思います。

インプラントは適切に行いメインテナンスを継続すれば、長期に良好な結果を得ることができる治療と考えて
いますが、患者さんご自身の歯とインプラントの予知性(長期予後)を同等に比較することはできません。
患者さんとの長いお付き合いの中、その時々の年齢や全身状態、生活環境に応じて、患者さんの望む治療を
できるだけ実践していくことが大切なのではないかと考えています。

幸福






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2018.03.17

40才で局所的に重度の歯周病に罹患していたHさんの16年後(フルブリッジケース)

 3月も後半に入りようやく雪も解け始め春もう少しと思っていたら、昨日今日の雪でまた一面雪の冬に逆戻り。
なかなか春遠い札幌ですが皆様はいかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

春と言えば移動の時期。
現在育休を取得している歯科衛生士のOさんがだんな様の突然の移動で4月から札幌を離れることになりました。
6月には復帰してくれると思っていましたので、唯々涙

昨年暮れに長男が生まれて家族が一人増え、母親として妻として札幌から遠く離れた道南の小さな町という慣れない
環境の中、いろいろ苦労もあるとは思いますが、だんな様と仲良く協力し合って楽しい家庭を築いていってほしいと思います。
いつかだんな様の転勤で再び札幌に戻り、一緒に仕事ができる日を待っています

さて本日は平成14年に当院の患者さんのご紹介で、歯周病の治療を希望して来院されたHさんのお話をさせていただきます。
主訴は上の左右の奥歯がグラグラし、歯ぐきが腫れているとのことでした。
レントゲン写真を撮らせていただいたところ、下は右下奥の親知らずとの間で歯周病が進行していましたが、14歯すべて
残っていて歯周病もそれ程進行しておらず、一方上はすでに14歯中5歯が抜歯となっており、更に〇印の3歯は根の先
まで骨がない状態でした。上のブリッジは2年前、近隣の歯科医院で入れたとのことでした。

平成14年初診時レントゲン

40才という年齢にもかかわらず歯周病が局所的にかなり進行しており、上の4番(犬歯の1本奥の歯)、7番(最後臼歯)
という噛む力の影響を受けやすい歯が喪失していることから歯ぎしりやくいしばり等の関与も疑われ、厳密なプラーク
コントロールと共に咬合力のコントロールが必要なケースと考えました。

〇印の3歯は自然挺出、根管治療を先行させできるだけ保存を試みましたが、歯周基本治療に反応せず、やむなく
右上の前歯と左の奥歯は抜歯させていただきました

左上奥(向かって右上奥)は大臼歯1歯しか残っておらず、しかもその歯の根分岐部病変は進行しており(Ⅲ度根分岐部病変)、
右上奥も保存の難しい4番を抜歯してしまうと1歯のみの残存となり、歯周病のみならず歯根破折のリスクも大きく固定性の
ブリッジは困難と考えました。

今なら右上奥にサイナースリフトによる骨造成を行い、2本インプラントを埋入することで右上奥の残存歯を守ろうと考えると
思いますが、当時サイナースリフトは考えていませんでした。
最終的に、右上4番は歯周再生療法を行って保存を試み、上顎のすべての歯を連結固定してブリッジで対応しました。

Hさんご自身による良好なブラッシングレベルの維持、メインテナンスの継続(1~3ヵ月毎)、また日中の噛みしめや
食事時の噛み方(強く噛み切らない)を常に意識していただきながら夜間はナイトガードの装着と、炎症のコントロールを
行うと共に咬合力のコントロールも医患協同で厳密に行いました。

治療終了から14年経過した現在のレントゲン写真です。

初診から16年後の現在

再生療法前には根尖まで骨の喪失を認めましたが、

右上4番再生療法前

15年後の現在は骨のボリュームもアップした状態で維持されており、14年間1歯も抜歯にならず上顎のフルブリッジも
しっかり維持されています。

Hさんには「当院に来るまでは治療の繰り返しで歯がなくなっていたが、多少の初期投資をしてでも長く自分の歯を失わずに
済む治療が受けられて本当に良かった」と言っていただけ嬉しい限りです。正直このケースの長期予後はなかなか難しいと
考えていましたので、当時の自分としては最善と思う治療を行って、メインテナンス中はプラークコントロールと力のコント
ロールを繰り返し訴え続けました。

左上奥(向かって右上奥)の大臼歯(根分岐部病変Ⅲ度)が現状維持できているのは、治療の質、メインテナンスの質のみ
ならず、患者さんご自身が当院を信頼して長くメインテナンスを継続されているということが何よりも大きいと思っています。
私と同世代のHさんですが、この先も60才、70才とできるだけ長く現状を維持していただけたらと願っています。




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