2017.09.21
HP掲載症例Part2 : 重度歯周病患者 I さん(治療例1)の初診から17年後の現在
台風一過。ようやくここ札幌も朝から気持ちの良い秋晴れの空が広がっています。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
10月1日はいよいよ札幌マラソンです。
一応ハーフにエントリーしているので、1ヶ月ぶりくらいになりますが先週からゆっくり走り始めました。
大会までまだ1ヶ月弱あるように思っていましたが(開催日は8日か9日だと思っていました)、残りはわずか2週間(笑)。
ランニング後、久しぶりの体重計、己が重さに(MAX?)愕然としてしまいました。
2~3kgは体重を落とし(もっと?? (^_^;))、少しでも軽くして本番に望まねばと思うところです。
さて本日は初診時20代で重度の歯周病に罹患していた I さん(当院HP重度歯周病治療例、治療例1)のお話を
させていただきます。

平成12年初診時レントゲン写真

I さんとの初診からの話の詳細は2013年5月25日の「なえぼほのぼのブログ」
http://naebohonobono.blog.fc2.com/blog-entry-41.html に掲載しておりますので、まずはぜひこちらのブログを
お読みください。
現在初診から17年経過し、40代になった I さんですが、遠く道北にお住まいということもあり、先月3年ぶりの
来院となりました。
1回のブラッシング時間は20分と長く、その磨き込まれ鍛え上げられた歯肉と共に、ほとんどプラークの付着していない
完璧に近いブラッシングレベルにより、今回3年ぶりにもかかわらず1箇所の悪化も見られませんでした。
まさに歯周病治療において患者さんが日々行うブラッシングの質と量が何よりも一番大切であることを私に教えてくれる
お手本となる患者さんだと思います(勿論、メインテナンス治療を含めた歯周病治療の質も大切ですが (^_^;))。
I さんが初診来院された当時は開業して3年目で、これまで勤務医時代には他院からのご紹介で同様の患者さんを
何人か見たことはありましたが、実際に担当するのは初めての経験でした。私が所属している日本臨床歯周病学会の
支部例会で、初診時10代の患者さんが20~25年くらいの長期経過の中で最後には総義歯になってしまったケース
プレも見たことがありました。
初診時すでに口腔内はきれいに清掃されており、1日4~5回、1回2~3分のブラッシングを行っているにもかかわらず
短期間でここまで急激に歯周病が進行してしまっているギャップの大きさに、また上顎前歯部は根尖近くまで骨吸収して
いるにもかかわらず見た目の歯肉はほとんど正常なそのギャップの大きさに、果たして I さんの歯周病を私の力で治す
ことができるのだろうかとも思いました。

初診から17年後の現在のレントゲン写真

初診から17年後の現在の口腔内写真
初診から17年経って今思うことは、I さんは数千人に1人と言われる「広汎性早期発症型歯周炎」(現在は年齢に
因らない「侵襲性歯周炎」という分類に変更されている)の患者で、歯周病原性の強いA.a.菌の感染を認めたため
除菌療法を行ってはいるものの、どのようなタイプの歯周病であっても、歯周病治療の基本はやはり「歯肉縁上、縁下の
プラークコントロールの徹底」に尽きるということです。
I さんの右上奥、右下奥は初診時の口腔内写真(青矢印)に見られるよう歯肉は大きく腫脹し、根分岐部病変(根と根の
股の部分の歯周病変)がかなり進行していたため、神経を取る治療が必要ではないかとか、上顎前歯や右下臼歯は
支える骨がかなり少ないので、歯を削って連結すべきではないかとか、あるいは審美的な観点からも、予後の難しい
上顎前歯2歯は抜歯し、6歯でブリッジにした方が良いのではないかというご意見、ご質問を、研究会、学会、講演会等
での発表時に聴講された先生方からいただきました。
どれも一理あるご意見だと思いましたが、I さんは年齢も若くこの先の人生、50年以上はこの歯とうまく付き合っていか
なければなりません。神経を取った歯は経年的に歯根破折というリスクを必ず抱えますし、根管治療も100%成功する
という保証はありません。歯は削って連結冠を装着すれば、それに伴う2次う蝕や脱離等のリスクは必ず生じてきますし、
抜歯すれば解決するわけではなく、歯列の連続性は途切れブリッジの支台となる隣接歯の負担は確実に増加します。
天然歯の保存に勝るものはなく、若いからこそ不可逆的な処置はより慎重にと経過観察した結果、初診から17年1歯も
抜歯になることなく、すべての歯の歯周組織は健康な状態で維持され、それらの処置を行う必要なく今に至っています。
今後加齢変化として少しずつ臼歯部の近心傾斜、前歯部の叢生が進み、そのことが歯周病の憎悪因子となるのでは
ないかと少し懸念していますが、現在遠く道北にお住まいで、また子育ての真っ最中ということもあり、矯正治療に関して
は今後も長期に経過観察していく中で必要が出てくれば治療のご提案を行うつもりです。
歯科医師として一番大切なことは、治療後も患者さんとの信頼関係を大切にしながら、生涯かかりつけ医として責任を
持ってメインテナンスし続けることではないかと考えています。
そのために歯の大切さを訴え続け、患者さんが自分の歯を守るためにメインテナンスに来てくださるよう、これからも
熱意を持って働きかけていくつもりです
I さん、今後もお互い健康で末永くご来院くださいますことを心より願っております。

皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
10月1日はいよいよ札幌マラソンです。
一応ハーフにエントリーしているので、1ヶ月ぶりくらいになりますが先週からゆっくり走り始めました。
大会までまだ1ヶ月弱あるように思っていましたが(開催日は8日か9日だと思っていました)、残りはわずか2週間(笑)。
ランニング後、久しぶりの体重計、己が重さに(MAX?)愕然としてしまいました。
2~3kgは体重を落とし(もっと?? (^_^;))、少しでも軽くして本番に望まねばと思うところです。
さて本日は初診時20代で重度の歯周病に罹患していた I さん(当院HP重度歯周病治療例、治療例1)のお話を
させていただきます。

平成12年初診時レントゲン写真

I さんとの初診からの話の詳細は2013年5月25日の「なえぼほのぼのブログ」
http://naebohonobono.blog.fc2.com/blog-entry-41.html に掲載しておりますので、まずはぜひこちらのブログを
お読みください。
現在初診から17年経過し、40代になった I さんですが、遠く道北にお住まいということもあり、先月3年ぶりの
来院となりました。
1回のブラッシング時間は20分と長く、その磨き込まれ鍛え上げられた歯肉と共に、ほとんどプラークの付着していない
完璧に近いブラッシングレベルにより、今回3年ぶりにもかかわらず1箇所の悪化も見られませんでした。
まさに歯周病治療において患者さんが日々行うブラッシングの質と量が何よりも一番大切であることを私に教えてくれる
お手本となる患者さんだと思います(勿論、メインテナンス治療を含めた歯周病治療の質も大切ですが (^_^;))。
I さんが初診来院された当時は開業して3年目で、これまで勤務医時代には他院からのご紹介で同様の患者さんを
何人か見たことはありましたが、実際に担当するのは初めての経験でした。私が所属している日本臨床歯周病学会の
支部例会で、初診時10代の患者さんが20~25年くらいの長期経過の中で最後には総義歯になってしまったケース
プレも見たことがありました。
初診時すでに口腔内はきれいに清掃されており、1日4~5回、1回2~3分のブラッシングを行っているにもかかわらず
短期間でここまで急激に歯周病が進行してしまっているギャップの大きさに、また上顎前歯部は根尖近くまで骨吸収して
いるにもかかわらず見た目の歯肉はほとんど正常なそのギャップの大きさに、果たして I さんの歯周病を私の力で治す
ことができるのだろうかとも思いました。

初診から17年後の現在のレントゲン写真

初診から17年後の現在の口腔内写真
初診から17年経って今思うことは、I さんは数千人に1人と言われる「広汎性早期発症型歯周炎」(現在は年齢に
因らない「侵襲性歯周炎」という分類に変更されている)の患者で、歯周病原性の強いA.a.菌の感染を認めたため
除菌療法を行ってはいるものの、どのようなタイプの歯周病であっても、歯周病治療の基本はやはり「歯肉縁上、縁下の
プラークコントロールの徹底」に尽きるということです。
I さんの右上奥、右下奥は初診時の口腔内写真(青矢印)に見られるよう歯肉は大きく腫脹し、根分岐部病変(根と根の
股の部分の歯周病変)がかなり進行していたため、神経を取る治療が必要ではないかとか、上顎前歯や右下臼歯は
支える骨がかなり少ないので、歯を削って連結すべきではないかとか、あるいは審美的な観点からも、予後の難しい
上顎前歯2歯は抜歯し、6歯でブリッジにした方が良いのではないかというご意見、ご質問を、研究会、学会、講演会等
での発表時に聴講された先生方からいただきました。
どれも一理あるご意見だと思いましたが、I さんは年齢も若くこの先の人生、50年以上はこの歯とうまく付き合っていか
なければなりません。神経を取った歯は経年的に歯根破折というリスクを必ず抱えますし、根管治療も100%成功する
という保証はありません。歯は削って連結冠を装着すれば、それに伴う2次う蝕や脱離等のリスクは必ず生じてきますし、
抜歯すれば解決するわけではなく、歯列の連続性は途切れブリッジの支台となる隣接歯の負担は確実に増加します。
天然歯の保存に勝るものはなく、若いからこそ不可逆的な処置はより慎重にと経過観察した結果、初診から17年1歯も
抜歯になることなく、すべての歯の歯周組織は健康な状態で維持され、それらの処置を行う必要なく今に至っています。
今後加齢変化として少しずつ臼歯部の近心傾斜、前歯部の叢生が進み、そのことが歯周病の憎悪因子となるのでは
ないかと少し懸念していますが、現在遠く道北にお住まいで、また子育ての真っ最中ということもあり、矯正治療に関して
は今後も長期に経過観察していく中で必要が出てくれば治療のご提案を行うつもりです。
歯科医師として一番大切なことは、治療後も患者さんとの信頼関係を大切にしながら、生涯かかりつけ医として責任を
持ってメインテナンスし続けることではないかと考えています。
そのために歯の大切さを訴え続け、患者さんが自分の歯を守るためにメインテナンスに来てくださるよう、これからも
熱意を持って働きかけていくつもりです

I さん、今後もお互い健康で末永くご来院くださいますことを心より願っております。

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