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2017.08.19

HP掲載症例Part1 : 重度歯周病患者Aさん(治療例2)の初診から15年後の現在

 こんにちは、今日の札幌はとても良い天気ですね。
皆様連休中はいかがお過ごしでしたか、なえぼ駅前歯科の大村です。

あっという間のお盆休みでしたが、私は家族としばしゆったりとした時間を過ごすことができました。
例年のようにお墓参りをし、おいしいものを食べ、また映画や温泉にも行き、家族皆健康で当たり前の日常を過ごせることに
あらためて感謝した日々でした。

さて前回のブログでお伝えしましたように、当院HPの重度歯周病治療例として平成20年に掲載した治療例1、2、7の
更に7年後の現在を、3回に渡ってアップしたいと思います。

本日第1回目として、治療例2(50代、男性)のAさんのお話をさせていただきます。
Aさんは平成14年に来院されましたので、現在初診から15年(治療終了から13年)経過しています。
下は初診時のレントゲン写真です。

初診時レントゲン

臼歯部の骨吸収が著しく、左上(向かって右上)、右下(同左下)、右上(同左上)の計8歯に、8~10mm以上の重度の歯周
ポケットと著明な動揺、進行した根分岐部病変を認めました。

初診時、Aさんは抜歯になってしまうくらい悪化している歯があるにもかかわらず、自分が進行した歯周病に罹っていると
いう自覚はありませんでした。歯周病は「静かなる病気(Silent disease)」と言われ、かなり重症化するまで自覚症状なく
進行します。また「糖尿病」「心筋梗塞」「脳梗塞」「誤嚥性肺炎」等とも関係しており、本当は怖い病気なのです。

右下奥はすでに2本歯がない上に残っている2本も重症で(赤矢印)、噛む力に対して支えが足りないことで、歯周病が更に
悪化していました。また左下奥も2本歯がない状態(赤矢印)でしたので、ますます右下奥に負担がかかっていました。
左上と右上の親知らず(青矢印)は歯周病に罹ってはいましたが、移植のドナー歯となり得るため、歯周病治療を進めて
いきながら、この2歯を右下、左下奥に有効活用できないかと考えました。

治療終了時のレントゲンと口腔内写真です。

治療終了時レントゲン

右下奥と左上奥の歯()は、エムドゲインを使った歯周組織再生療法により骨の再生が得られ、無事保存することが
できました。更に左上、右上の親知らずをそれぞれ右下、左下に移植し()、どちらもブリッジで対応しました。

下は初診時(上段)と治療終了時(下段)の左右上下臼歯部の口腔内写真です。

初診時歯周病が進行していた左下を除く3箇所は、いずれも炎症のある赤みの強い歯肉でしたが、治療終了時には
やや白みがかった薄いピンク色に変わっていることがわかるかと思います。

初診時、治療終了時口腔内写真

2年ぶりに再来された最近のレントゲンです。初診から15年、治療終了から13年経過しています。

平成29年現在
歯周ポケットは少し深くなっている部位もありましたが、53才から68才の現在まで1本の歯を失うことなくお入れしたブリッジも
長期に維持されています。

再来時の口腔内写真です。1回のブラッシングは10分というAさんの口腔内ですが、プラークが結構付着しています(赤矢印)。

再来時口腔内写真

時間のかけ方は変わっておらず、ご自身ではきちっとプラークを除去できているつもりでも、2年もメインテナンスが空いて
しまうとこういう状況になりがちです。幸い今回は今後の歯周病治療で回復できるレベルの悪化でしたが、再来院された時
には取り返しのつかない状況になっていることも珍しくありません。

当院で長期にメインテナンスしている患者さんは、歯周病で抜歯になることがほとんどありません。
しかしながら3ヶ月毎のメインテナンスが5ヶ月、6ヶ月と延びがちになったり、途中1年以上来院されない期間があると、
その間に残念ながら歯周病が進行してしまうことがあります。

歯周病治療(メインテナンス治療も含む)は、「歯肉縁上、縁下の徹底的なプラークコントロール」に尽きます。
これは医療側の技術や見立て、歯周病、歯周病治療に対する知識、理解の深さは勿論ですが、「一生自分の歯で生活して
いきたい」「1本たりとも自分の歯を失いたくない」という患者さんの強い思い、そのために日々時間をかけた丁寧なブラッシング
と医療側の適切なメインテナンス治療の継続が何より大切で、口腔健康の長期維持は文字通り医患の協同作業により達成
されるのです。

Aさんが今回2年もの長期間来院されなかったことは、決して患者さんが悪いのではなく、私自身が伝え切れていない、
まだまだ力不足であることの結果だと受け止めています。患者さんがHPやご紹介等で、多くの歯科医院の中から当院を
選んで来てくださることは、本当にご縁だと思います。このご縁を大切にし、当院の患者さんが長期に渡り1本の歯も失う
ことのないよう、健康な口腔内を維持できるよう、これからもスタッフと共に研鑽、努力していきたいと思います。

image.jpg

次回は初診時20代で重度の歯周病に罹患していた I さん(当院HP重度歯周病治療例、治療例1)のお話をさせていただきます。
現在初診から17年経過し、40代になった I さんですが、遠く道北にお住まいということもあり、今回3年ぶりの来院となりました。
前述したAさんも元々ブラッシングレベルは高かったのですが、 I さんは1回のブラッシング時間が20分と長く、その磨き込まれ
鍛え上げられた歯肉と共に、ほとんどプラークの付着していない完璧に近いブラッシングレベルにより、3年ぶりにもかかわらず
1箇所の悪化も見られませんでした。
まさに歯周病治療において何が一番大切なのかを教えてくれるお手本となる患者さんです。
この続きは次回のブログであらためて 
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Posted at 21:37 | 歯周治療 | COM(0) | TB(0) |
2017.08.11

大きな根尖病変や外科処置の難しい臼歯の歯根端切除術、意図的再植術(根管治療完結編)

 毎日暑いですね。
もうすぐお盆、すでにお休みに入られた方も多いと思いますが皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
本日は根管治療Part 3 (完結編)ということで、大きな根尖病変や外科処置の難しい臼歯の歯根端切除術、意図的再植術
ケースを4ケースご紹介させていただきます。

1ケース目は苫小牧から来院されているKさんのケースで、平成20年に根管治療を行いましたが、治療終了4年後に
初診時の根尖病変が更に大きくなっていることがわかり、歯根端切除術を行いました。

 初診時

治療終了4年後

歯肉を開けてみると、レントゲンで予想していたよりはるかに大きな根尖病変となっておりましたが、歯根端切除を行い
スーパーボンドにて逆根充しました。

オペ後1年

上は術後1年の状態です。
術前のレントゲン写真と比べますと、根尖周囲に骨の再生を認めます(黒い骨の吸収像が小さくなっています)。

Kさんのお父様は、まだ札幌にご勤務されていた平成9年から、苫小牧に引っ越された現在まで20年近く当院に通院されて
おり、Kさんご自身も治療終了から8年、3~4ヶ月ごとのメインテナンス治療を継続されています。
ご家族皆さんとてもブラッシング熱心で本当に嬉しい限りです。

平成9年当時は私も30代半ばと若く、すべての患者さんにブラッシングの重要性を一生懸命伝えていたあの頃の熱意が、
15年、20年経ってこうやって芽を出し、実を結んでいることに、歯科医師としていろいろ苦労もしてきたけれど、開業時から
自分の目指した「プラークコントロールを基盤とした患者さんの長期的な口腔健康に貢献できる歯科医院」という方向性は
間違っていなかったという思いです。

2ケース目は右上大臼歯(7番)の症例で、初診時頬側歯肉に腫れと瘻孔(排膿路)を認めました。
根管治療を行いましたが、根尖が閉鎖されている根管もあり、その後経過を見るも2年後に症状が再発しました。
CTを撮影したところすべての根尖にまたがった大きな根尖病変を有していたため、外科処置のとても苦手なTさんでしたが
歯を残したいという思いは強く持っておられ、CTの結果も見ていただき、ようやく外科の了承をいただいて意図的再植術を
行いました。
右上奥初診時、根管治療終了時

右上奥治療終了2年後及びCT画像
現在再植7ヶ月が経過しており、術後瘻孔はすみやかに消失し現在までのところ再発は認めておりません。
しかしながらレントゲンでの改善はまだ十分でないことから、引き続き経過を見ているところです。

再植7ヵ月後

Tさんのように何とか歯を残してほしいと願う患者さんに対しては、うまくその歯を残せるよう、長年歯を残すことにこだわり
臨床を積み重ねてきた、自分の知識と技術を駆使して保存に努めたいと考え、正確な診査と最善の治療方針、治療手順を
十分検討した上で、1本1本丹精を込めて処置を行っています。

3ケース目は下顎大臼歯(6番)の歯根端切除術ケースで、この歯は根充後6ヶ月経過をみた後、病変部の改善が思わしく
ないため再度根管治療を行い、計1年くらい保存治療に時間をかけて、一度は根尖病変が改善したかに見えた再発例で、
6年後のオペ時には嚢胞がかなり大きくなっており、掻爬時、遠心部では隣の6番遠心根が大きく露出、底部では下顎管に
かなり近接していたことに加え、逆根充も難しい狭い口腔内でしたが、うまく処置を行うことで改善したケースです。

この患者さん(Nさん)は以前ブログでご紹介したことがありますが、当院に来院される15年も前から、寒い冬の季節に
なると突然上下のあご、歯ぐきが痛むようになり、長い時には20分以上持続するため、恐怖で冬場の外出時には必ず
マスクを装着。痛み止めはいつも持ち歩いているという主訴を持っておられ、非定型歯痛、三叉神経痛等も疑いましたが、
全顎再根管治療を行ったところ、治療終了1年を経過した頃からピタッと症状がなくなりました。Nさんは長年痛みに
悩まれていたと思うのですが、おそらくどうしたら良くなるのか、どこを受診したらよいのかがわからなかったのだと思います。

だんな様に先立たれお一人で札幌に住んでおられましたが、平成23年、娘さんの住む千葉県に引っ越されることと
なったため、当地で開業されているK先生をご紹介しました。ちなみに下のレントゲンは、千葉に引っ越す前の検診時に
撮影したもので、治療終了後6年経ってこの歯の根尖病変が再発していることが判明し、急ぎ歯根端切除術を行いました。

再発時

歯根端切除術1年後

向こうでの生活も落ち着かれ、K先生のところに来院された後、K先生からは今回の紹介に対するお礼のメールに添えて、
術後の経過が良好であるという証拠写真(笑)も送っていただきました。現在Nさんとは年に1回、年賀状のみのやり取りと
なりましたが、お元気でK先生のところにメインテナンス通院されていることと思います。

最後の4ケース目は左上大臼歯(7番)の歯根端切除術のケースで、この歯は大きなブリッジの支台歯に組み込む予定で
いました。根管治療後も消えない瘻孔の原因歯として、写真中央の7番(◎)近心頬側根を疑ってはいたのですが、向かって
左の6番(○)遠心頬側根の可能性もあり(どちらの根管も閉鎖されていました)、意図的再植術で7番を抜去してしまうと
6番が万一原因歯であった場合、医療過誤となるリスクもあり、かなり奥の難しい処置でしたが、歯肉を開けて両歯の根尖を
よく観察し、結局予定通り7番頬側根の歯根端切除、スーパーボンドによる逆根充を行ったところ、瘻孔はすみやかに消失
しました。

左初診時、右オペ前

治療終了時(上顎)

今、あらためて治療終了時(上顎)のレントゲン写真を見ますと、当時はまだすべての歯にi-TFCファイバーコアを使用して
おらず、金属コア(土台)も混在していた時期でした。

ここにご紹介した治療例はすべて自分のその時のベストであり、自分にとっては作品のようでもあります。
長く快適にトラブルなく使っていただきたいという願いを込めて治療を行っていますので、その後のメインテナンスの継続に
つい厳しくなるのは、もし当院の患者さんでこの記事をお読みになり思い当たる方がおられましたらご容赦、ご理解ください。

当院でのメインテナンスが途切れた結果、悪くなって再来された時には手遅れとならないよう、適切な診査、診断、指導、
処置を行うためのもので、結局は患者さんご自身のためなのです。

また長い文章となってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。

3回に渡ってお話させていただいた根管治療編はひとまずここまでとし、次回以降は、当院HPの重度歯周病治療例
(治療例1、2、7)の患者さんの、更に7年後(HP掲載7年後)の現在を重度歯周病治療例の三部作としてご紹介させて
いただきます。

まずは次回第1回目として、平成14年に来院されたAさん(治療例2)のお話をさせていただきます。初診時保存は困難と
思われた歯もありましたが、1本の抜歯もなく、エムドゲインを用いた歯周組織再生療法、上顎左右親知らずの歯牙移植を
有効に活用し、初診から15年経過しています。

先ほど長期メインテナンスの継続という話をしましたが、実はAさんは治療終了後11年メインテナンスを継続されていたにも
かかわらず、「調子が良いので」という理由で2年ほどメインテナンスが途切れており、つい先日再来院されました。
本当の中断理由はもしかしたら何か別のご事情があるのかもしれませんが、まずは久し振りにお元気な姿で来院された
ことに感謝し、やや悪化した歯周病の治療をAさんと共に進めていく予定です。

平成15年当時の自分としては持てるべストを尽くした治療ですので、次回のブログも楽しみにしていただければ幸いです。









Posted at 13:31 | 根管治療 | COM(0) | TB(0) |
2017.08.05

破折リーマー(根管治療の器具)が問題となっていた2症例

  こんにちは、なえぼ駅前歯科の大村です。
札幌も日中はかなり暑くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今朝は、琴似の自宅を出発し、線路下をひたすら走り手稲駅を越えて右折、新川通りを右に折り返し、
前田森林公園、コーチャンフォーを横目に、最後は北24条宮の森通りで折り返して自宅に到着。
概ね22kmのハーフコースを3時間位かけてゆっくり走りました。やはり自然の中で体を動かすって気持ち良い
ですね。しばらく休診日の土曜日は続けてみようと思います。

さて前回、歯根端切除術、意図的再植という通常の根管治療で治らないケースの外科的歯内療法という
お話をさせていただきました。
本日は根管治療Part2ということで、症状のある根管にリーマー破折(根管治療の用いる器具の破折)を認めた
症例の中から2ケースをご紹介させていただきます。

また前回同様、大きな根尖病変や外科処置の難しい大臼歯部の歯根端切除術、意図的再植術ケースも誌面が
許せば(長いと読むのも大変ですので  )供覧させていただきます。

私自身、歯周病治療は専門ですが、歯内療法(根管治療)は決して専門ではありませんので、一般開業医の話、
治療例として読んでいただければ幸いです。

最初の患者さんはYさん(20代、女性)で、平成13年、左上奥の歯が痛いということで来院されました。
レントゲンで確認したところ、矢印部分に器具(リーマー)の破折と根尖病変を認めました。

初診時①

                 初診時

上顎の最後臼歯は口が大きく開き、口腔前庭が広いなどの条件が良くないと歯根端切除術は難しく、華奢なYさんの
お口では到底無理でした。

リーマーを除去できなければこの根管だけは抜去せざるを得ませんが、3つの根でカメラの三脚のように
しっかり支えられている大臼歯の1根を除去してしまうと、残り2根に当然負担がかかって将来的に歯根破折→抜歯
となるリスクが高くなりますし、そもそも1根だけ抜去すること自体が難しい場合もあります。
何とか破折リーマーを除去しこの歯を救おうと考え、少し時間はかかりましたが、最終的には無事除去することが
でき治療は終了しました。

10年後、久し振りの再来時に撮らせていただいた左上奥の状態です。

10年後
                   10年後

経過良好でYさんのお口の中でしっかり機能していました。

若かったYさんも10年経って母になっていましたが、その後は現在まで6年程来院されていません。
30代のこの時期は子育てに追われ、どうしてもご自分の口腔内、歯のケアが疎かになりがちですが(子供を産むと
カルシウムを取られて歯が悪くなると言われていますが、お口の中ですでに完成している歯からカルシウムが溶けて
子供の栄養になることは絶対にありません)、歳を取っても自分の歯で噛めるよう、ぜひご自分の将来のために
時間を確保してメインテナンス来院していただきたいと思います。

2ケース目は、平成15年、当時テニススクールで知り合った方からのご紹介で、日本語がほとんど話せない
スウェーデン人Sさん(20代、女性)のお話をさせていただきます。
右下奥の歯が痛いということでしたが、さすがは歯科医療先進国スウェーデンの方、痛いという歯を除く27本は
全く治療されていない健全歯でした。

レントゲンを撮らせていただくと、何と!唯一の処置歯に根尖病変を認め、その根管には破折リーマーが
残っているではありませんか 
しかもその根管が痛みの原因(リーマーがあることで根の先端まできれいにすることができない)となっていました。

初診時②
                初診時

初診時、現状をありのままに説明してしまうと、もし私が保存的にうまく治療できなかった場合、母国でリーマー破折が
問題になっては大変とも思い、リーマーが折れていることは説明せず、「少し治療が難しいので時間はかかります」
とだけ説明して治療を開始しました。

治療3回目に無事破折リーマーを除去することができ、冠を被せて治療は終了となりました。

根管治療終了時

                   根管治療終了時

ちなみにSさんは保険証を持っておらず、すべての治療が自由診療でした。
当時は私自身自由診療が全く解らず、確か根管治療代として保険診療の10割(5000円~1万円位)、冠は(当然
のことながら白物を希望)できるだけ健全歯を削らず、ハイブリッドセラミックの部分被覆冠をご提案し(当時はまだ
プレスセラミックが世に出ていない時代でした)、料金として3万円位とお話ししたように思います。

*ハイブリッドセラミックはセラミック(陶材)とレジン(プラスチック)のハイブリッド素材で、 セラミックよりも軟らかく
  粘りがあるため歯に優しく、料金もセラミックの中では安価である反面、減りやすく、経年的に変色するのが欠点です。
 
そうしたところ、Sさんに「そんな安い治療費で良いのか?」(英語で何と言われたかは覚えていません
と言われてしまいました。
欧米では大臼歯の根管治療代が10~20万円、セラミックは10~15万円くらいが相場だったようで(後で知りました)、
そのためSさんにはとても安く感じられたのだと思います(破折リーマーも除去したのですから、もっといただいても
良かったですね(笑))。

ちなみにリーマー(根管治療の器具)は消耗品ですので、使い続ければ無理な力を加えなくても破折することは
正直あります。先端の彎曲している難しい根管を一生懸命きれいにしようと頑張るほどリスクも高くなります。
患者ごとに新品を揃えられればベストですが、日本の根管治療(保険診療)代は欧米の1/20ですので、それは
正直なところ無理というのも現場の本音です。

そのためそのような偶発症を絶対に(この世の中、絶対ということは絶対にないのですが  )避けたい方は、
歯内療法(根管治療)のみを自由診療で専門に行っている医療機関での治療をお勧めします。
費用は欧米並みにかかりますが、その道のプロですので確実に治療をしてくれるはずです。

またリーマーが折れていても問題にならず良好に治癒していれば、当然ですがリーマーは除去しません。
除去することによるリスクもありますし、高額な機器であるマイクロスコープを使って、更に時間と手間をかけなければ
ならない治療であることもご理解ください。

富田ファーム


話は戻ります 
私、英会話は正直それ程得意ではないのですが、不思議とその後も何かのご縁で、欧米の方が患者さんでお見えに
なられています。そしてある時気づいたのですが、どの方も初診時に必ずチャージを聞いてこられます。
おそらく患者負担が非常に少ない日本の歯科保険診療と違い、欧米ではその10~20倍の治療費がかかるからだと
思います。

ちなみにアメリカでは人気職種 NO1 が歯科医師です。
また歯科治療の方針を決める上で大前提となるのが「rich or poor?」なのです。
実際に日本の歯科保険診療であれば残せる歯も、アメリカではお金がなければすべて抜歯され総義歯となってしまう
こともあります。

但し、最善の歯科医療を受けられるのはお金のある人だけというアメリカ人でさえ、日本人よりも80才ではるかに
多くの歯が残っているのは皮肉です(平成17年頃のデータでは、アメリカ人18本、日本人9本でした)。

①「治療よりも予防(できるだけ治療しない)」 → 治療費が高ければ必然的に予防しようとする意識が強く働き、
  結果、歯は残っていく(日本は未だに悪くなったら歯医者に行けばよいという悪しき習慣があります)

②「安くても治療の質が担保されなければ、結局治療は繰り返されて歯はなくなっていく」 → 日本の歯科保険診療
  にはさまざまな制約、限界があり、決して患者さんにとって最善の治療とはならないこと

がデータから読み取れると思います。

話がだいぶ脱線してしまいましたので本日はここまでとし、次回は歯根端切除、意図的再植術 Part2を近日中に
アップさせたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました 


Posted at 19:54 | 根管治療 | COM(0) | TB(0) |