2017.01.20
歯の移植、再植、破折歯接着保存、矯正、インプラント(スプリットクレスト)を用いたNさんのケース
毎日寒い日が続きますね(*´∀`*)
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
昨年は多くの方にご来院いただき、またいつも献身的に私をサポートしてくれるスタッフにも
助けられ、大変充実した一年を過ごすことができました。今年も当院に来院される患者様の
歯を1本でも多く守り、救うことができるよう研鑽に努めてまいりますので、どうぞよろしく
お願い致します。
さて今年最初のブログは、昨年当院に来院されたNさんのお話をさせていただきます。
Nさんは札幌から車で2時間弱の遠方から、当院HPをご覧になられて来院されました。
主訴は右下奥と左下奥の治療を希望とのことでした。
歯はできるだけ抜かずにブリッジでの治療を希望されていましたが、奥歯はすでに歯の
ないところも多く、また残っている歯も歯根破折や著しい虫歯、不適切な根管治療、
歯周病など、多くの問題を抱えていました。
図1.はNさんの初診時の右下、左下奥のレントゲンと口腔内写真です。

口腔内(歯)の正確な現状把握、1歯ごとの診査、診断、処置方針と治療全体の見立ては
非常に大切で、いろいろなケースに対応できる多くの治療の引き出しを持ちつつ、その患者さん
にとってどのような治療が最善で、且つ患者さんの望む治療なのかを決める歯科医師としての
力量とバランス感覚が大いに問われるところです。
歯根破折を起こしている右下犬歯(向かって左側の3の歯)は感染も大きく保存は不可能な
状態で、上顎に移植のドナーとなり得る智歯がありましたが、3部の骨幅が狭いため同部には
収まりませんでした。
また右下小臼歯(向かって左側の5の歯)は歯周病もしくは歯根破折によると思われる骨の
吸収像があり、診断と処置方針が難しい状態でした。
図2は初診から4ヶ月後、右下にブリッジが装着された状態です。
何とかうまく処置を完了することができました。

図2 右下ブリッジ装着時
次に左下ですが、左下大臼歯(向かって右側の7の歯)は歯根の1/2まで虫歯が進行しており
保存は難しい状態でしたが、矯正治療により歯を上に引っ張り上げることで保存することができました。

虫歯を除去、矯正治療前の状態
また左下小臼歯(向かって右側の5の歯)は根尖病変を有していましたが、根管治療の器具が
根管内に折れ込んでいるため根管治療が難しい状態で、更に歯が割れており
この歯は意図的再植術という外科処置で対応しました。
図3は術中、術後の写真です。

図3 意図的再植術の術中(左:根尖と破折線の
感染部を除去、sealing後)、術後レントゲン(右)
図4は初診から4ヶ月後、左下にブリッジが装着された状態です。

図4 左下ブリッジ装着時
意図的再植後、2ヶ月足らずでブリッジを装着しているため、まだ左下小臼歯根尖には骨吸収像を
認めますが、確実に原因を除去しておりますので必ず改善治癒してくるものと考えています。
右下は5番目までの2本の奥歯、左下は8番目までの5本の奥歯がブリッジにより回復されましたが、
当然のことながら噛みやすい側は左側に偏りますので、できるだけ左右均等に噛むことができて
負担が平均的に分散されるよう、右下6番目の位置にここに至ってようやくインプラントを埋入しました。
同部の骨幅は非常に狭く3mmしかないため、3.7mm(長さ10mm)のインプラントをうまく埋入
できるよう、スプリットクレストという骨を切って広げる方法により6mmまで骨幅を広げました。
下顎大臼歯部で骨密度が高く、幅も3mmと狭いうえに下顎管までの距離が12mmしかないため
難易度の高いケースでしたが、無事問題なく埋入することができました。
図5は術前のCTと術後のデンタルレントゲン写真です。


スプリット(切れ目)が骨頂部(クレスト)とインプラントの前後に縦に入っているのがわかるかと思います。
初診から5ヶ月経過し、もうすぐインプラントに冠が装着されるとようやく自由診療が終了となります。
歯の移植、再植(破折リーマー除去、逆根充と破折歯接着修復)、矯正的挺出(著しい虫歯に罹患
した歯の救済処置)、インプラント(スプリットクレスト)を駆使し、何とかNさんが初診時に望んだ
治療を完了することができました。
今後は長いメインテナンス治療が始まります。長くトラブルなくメインテナンス出来てこそ、ようやく
治療の成功と言えますので、ここからが新たなスタートだと考え、末永くお付き合い下さいますよう
よろしくお願いします
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
昨年は多くの方にご来院いただき、またいつも献身的に私をサポートしてくれるスタッフにも
助けられ、大変充実した一年を過ごすことができました。今年も当院に来院される患者様の
歯を1本でも多く守り、救うことができるよう研鑽に努めてまいりますので、どうぞよろしく
お願い致します。
さて今年最初のブログは、昨年当院に来院されたNさんのお話をさせていただきます。
Nさんは札幌から車で2時間弱の遠方から、当院HPをご覧になられて来院されました。
主訴は右下奥と左下奥の治療を希望とのことでした。
歯はできるだけ抜かずにブリッジでの治療を希望されていましたが、奥歯はすでに歯の
ないところも多く、また残っている歯も歯根破折や著しい虫歯、不適切な根管治療、
歯周病など、多くの問題を抱えていました。
図1.はNさんの初診時の右下、左下奥のレントゲンと口腔内写真です。

口腔内(歯)の正確な現状把握、1歯ごとの診査、診断、処置方針と治療全体の見立ては
非常に大切で、いろいろなケースに対応できる多くの治療の引き出しを持ちつつ、その患者さん
にとってどのような治療が最善で、且つ患者さんの望む治療なのかを決める歯科医師としての
力量とバランス感覚が大いに問われるところです。
歯根破折を起こしている右下犬歯(向かって左側の3の歯)は感染も大きく保存は不可能な
状態で、上顎に移植のドナーとなり得る智歯がありましたが、3部の骨幅が狭いため同部には
収まりませんでした。
また右下小臼歯(向かって左側の5の歯)は歯周病もしくは歯根破折によると思われる骨の
吸収像があり、診断と処置方針が難しい状態でした。
図2は初診から4ヶ月後、右下にブリッジが装着された状態です。
何とかうまく処置を完了することができました。

図2 右下ブリッジ装着時
次に左下ですが、左下大臼歯(向かって右側の7の歯)は歯根の1/2まで虫歯が進行しており
保存は難しい状態でしたが、矯正治療により歯を上に引っ張り上げることで保存することができました。

虫歯を除去、矯正治療前の状態
また左下小臼歯(向かって右側の5の歯)は根尖病変を有していましたが、根管治療の器具が
根管内に折れ込んでいるため根管治療が難しい状態で、更に歯が割れており

この歯は意図的再植術という外科処置で対応しました。
図3は術中、術後の写真です。

図3 意図的再植術の術中(左:根尖と破折線の
感染部を除去、sealing後)、術後レントゲン(右)
図4は初診から4ヶ月後、左下にブリッジが装着された状態です。

図4 左下ブリッジ装着時
意図的再植後、2ヶ月足らずでブリッジを装着しているため、まだ左下小臼歯根尖には骨吸収像を
認めますが、確実に原因を除去しておりますので必ず改善治癒してくるものと考えています。
右下は5番目までの2本の奥歯、左下は8番目までの5本の奥歯がブリッジにより回復されましたが、
当然のことながら噛みやすい側は左側に偏りますので、できるだけ左右均等に噛むことができて
負担が平均的に分散されるよう、右下6番目の位置にここに至ってようやくインプラントを埋入しました。
同部の骨幅は非常に狭く3mmしかないため、3.7mm(長さ10mm)のインプラントをうまく埋入
できるよう、スプリットクレストという骨を切って広げる方法により6mmまで骨幅を広げました。
下顎大臼歯部で骨密度が高く、幅も3mmと狭いうえに下顎管までの距離が12mmしかないため
難易度の高いケースでしたが、無事問題なく埋入することができました。
図5は術前のCTと術後のデンタルレントゲン写真です。


スプリット(切れ目)が骨頂部(クレスト)とインプラントの前後に縦に入っているのがわかるかと思います。
初診から5ヶ月経過し、もうすぐインプラントに冠が装着されるとようやく自由診療が終了となります。
歯の移植、再植(破折リーマー除去、逆根充と破折歯接着修復)、矯正的挺出(著しい虫歯に罹患
した歯の救済処置)、インプラント(スプリットクレスト)を駆使し、何とかNさんが初診時に望んだ
治療を完了することができました。
今後は長いメインテナンス治療が始まります。長くトラブルなくメインテナンス出来てこそ、ようやく
治療の成功と言えますので、ここからが新たなスタートだと考え、末永くお付き合い下さいますよう
よろしくお願いします

スポンサーサイト
| HOME |