2016.09.06
歯の割れ(破折)を矯正的挺出により改善したSさんのケース
9月に入りまだまだ残暑が続いていますが、朝晩は少しずつ秋の気配を感じさせる今日この頃です。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
リオオリンピックが無事終了し、日本選手の活躍で多くの日本人が勇気と感動をもらったことと思います。
開会式前には果たして準備が間に合うのか、治安は大丈夫なのか、ジカ熱、テロ対策など、いろいろ
話題になりました。パラリンピックも8日から始まりますので、最後まで何事もなく無事終了し4年後の
東京オリンピックにつなげてほしいと思います。
それにしても桐生選手からケンブリッジ飛鳥選手にバトンが渡った一瞬、一位になったシーンは
テレビで見ていて本当に信じられませんでした。感動してその後何十回もYouTubeの動画を見て
しまいました(笑)
また先々週の日曜日には暑い中、北海道マラソンが行われました。私は昨年初めて走ったのですが
今年はPDM札幌主催の「破折歯接着治療実習セミナー」の方にお手伝いとして参加することにしました。
講師はPDM札幌の顧問をされている眞坂信夫先生で、御年76才になられるのですが
本当にバイタリティーに溢れており、毎年講演会を聴講する度にその大きなビジョンや志に元気と勇気を
いただいています。
9月には医歯薬出版社から「i-TFC根築1回法による歯根破折歯の診断と治療」という書籍が上梓される
運びとなっており、来月23日に行われる出版記念パーティー(於明治記念館)には私も出席する予定で
います。
前置きが長くなりましたが、本日は昨年HPを見て当院に来院されたSさんのお話をさせていただきます。
Sさんは当院に来院される前、他院で診察を受けられ、その際右上犬歯は割れている可能性が高く
骨を再生する治療を勧められたそうですが、その後様子をみてダメなら抜歯と言われたそうです。
診させていただいたところ歯ぐきは陥没し(図1青矢印)、レントゲン(図2)で同部に8mmの深い
歯周ポケットを認めました。

図1.右上犬歯の初診時口腔内

図2.右上犬歯の初診時
Sさんは当院にてこの歯の治療を希望されたため、長い金属の土台を除去したところ歯がすでに
割れて無い状態となっていました(図3)。

図3.金属コア(土台)除去時
この状態で再生療法を行っても骨が再生するはずもなく
、結局は抜歯されてしまうのかな~
と思ってしまいました。
私の見立て(処置方針)は、「ゆっくり骨ごと歯ぐきごと下に4~5mm歯を引っ張る(矯正的挺出)」でした。
図4.はi-TFCファイバーコアを装着した後、矯正治療を行っている状態です。

図4.矯正治療時
7ヶ月かけてゆっくりと4mmほど挺出させ、8mmあった歯周ポケットは最終的に4mmまで浅くなりました(図5)。
セラミック冠が装着された治療終了時、図6のレントゲン写真において、割れて骨が吸収していたところは
周囲の骨の高さにほぼ一致してきているのがわかるかと思います。

図5.矯正治療前後

図6.右上犬歯の治療終了時
図7は矯正治療を終了し、セラミック冠が装着された状態です。

図7. 右上犬歯の治療終了時口腔内
初診時(図1)の陥没した歯ぐきと比べて自然な形に改善されています。
犬歯の左側(1本奥)のセラミックは最初に入っていたセラミックのままですので、そこだけ見ても
歯ぐきがかなり回復しているのがよくわかるかと思います
挺出(extrusion)にはslow extrusionとrapid extrusionがあり、power chainなどの矯正用ゴムで
早く挺出させてしまうと骨も歯ぐきもついて来ず、図7のような歯ぐきのボリュームアップは望めません。
ブラケットの位置を少しずつ変えながらゆっくりと挺出させました。
治療終了時、初診時Sさんにご説明した通りの自然な歯ぐきに改善させることができました。
今後は今回得られた健康な歯周組織を長期に維持していくために、長くメインテナンスにご来院
いただけたらと思います。
Sさん、次回12月のメインテナンスでまたお待ちしています(*´∀`*)

皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
リオオリンピックが無事終了し、日本選手の活躍で多くの日本人が勇気と感動をもらったことと思います。
開会式前には果たして準備が間に合うのか、治安は大丈夫なのか、ジカ熱、テロ対策など、いろいろ
話題になりました。パラリンピックも8日から始まりますので、最後まで何事もなく無事終了し4年後の
東京オリンピックにつなげてほしいと思います。
それにしても桐生選手からケンブリッジ飛鳥選手にバトンが渡った一瞬、一位になったシーンは
テレビで見ていて本当に信じられませんでした。感動してその後何十回もYouTubeの動画を見て
しまいました(笑)
また先々週の日曜日には暑い中、北海道マラソンが行われました。私は昨年初めて走ったのですが
今年はPDM札幌主催の「破折歯接着治療実習セミナー」の方にお手伝いとして参加することにしました。
講師はPDM札幌の顧問をされている眞坂信夫先生で、御年76才になられるのですが
本当にバイタリティーに溢れており、毎年講演会を聴講する度にその大きなビジョンや志に元気と勇気を
いただいています。
9月には医歯薬出版社から「i-TFC根築1回法による歯根破折歯の診断と治療」という書籍が上梓される
運びとなっており、来月23日に行われる出版記念パーティー(於明治記念館)には私も出席する予定で
います。
前置きが長くなりましたが、本日は昨年HPを見て当院に来院されたSさんのお話をさせていただきます。
Sさんは当院に来院される前、他院で診察を受けられ、その際右上犬歯は割れている可能性が高く
骨を再生する治療を勧められたそうですが、その後様子をみてダメなら抜歯と言われたそうです。
診させていただいたところ歯ぐきは陥没し(図1青矢印)、レントゲン(図2)で同部に8mmの深い
歯周ポケットを認めました。

図1.右上犬歯の初診時口腔内

図2.右上犬歯の初診時
Sさんは当院にてこの歯の治療を希望されたため、長い金属の土台を除去したところ歯がすでに
割れて無い状態となっていました(図3)。

図3.金属コア(土台)除去時
この状態で再生療法を行っても骨が再生するはずもなく

と思ってしまいました。
私の見立て(処置方針)は、「ゆっくり骨ごと歯ぐきごと下に4~5mm歯を引っ張る(矯正的挺出)」でした。
図4.はi-TFCファイバーコアを装着した後、矯正治療を行っている状態です。

図4.矯正治療時
7ヶ月かけてゆっくりと4mmほど挺出させ、8mmあった歯周ポケットは最終的に4mmまで浅くなりました(図5)。
セラミック冠が装着された治療終了時、図6のレントゲン写真において、割れて骨が吸収していたところは
周囲の骨の高さにほぼ一致してきているのがわかるかと思います。

図5.矯正治療前後

図6.右上犬歯の治療終了時
図7は矯正治療を終了し、セラミック冠が装着された状態です。

図7. 右上犬歯の治療終了時口腔内
初診時(図1)の陥没した歯ぐきと比べて自然な形に改善されています。
犬歯の左側(1本奥)のセラミックは最初に入っていたセラミックのままですので、そこだけ見ても
歯ぐきがかなり回復しているのがよくわかるかと思います

挺出(extrusion)にはslow extrusionとrapid extrusionがあり、power chainなどの矯正用ゴムで
早く挺出させてしまうと骨も歯ぐきもついて来ず、図7のような歯ぐきのボリュームアップは望めません。
ブラケットの位置を少しずつ変えながらゆっくりと挺出させました。
治療終了時、初診時Sさんにご説明した通りの自然な歯ぐきに改善させることができました。
今後は今回得られた健康な歯周組織を長期に維持していくために、長くメインテナンスにご来院
いただけたらと思います。
Sさん、次回12月のメインテナンスでまたお待ちしています(*´∀`*)

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