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2016.07.18

高度歯周病罹患歯に対して再生療法を行い、抜歯を回避した2症例

  九州から関東にかけてようやく梅雨も明け、本格的な夏の到来となりました。自宅でも本日朝の
ランニング後に、扇風機を車庫から出して組み立てました。普段仕事をしている病院内と違い、休みの
時は暑いのが玉に瑕です(^^;。 皆様は暑い夏をいかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

 5月から2ヶ月もブログを更新していない間にいろいろな出来事がありました。新しいところで先週末、
九州で行われた日本臨床歯周病学会に参加してきました。会場はアクロス福岡で宿泊は会場から
歩いて5分ほどの中洲のホテルにしました(早速「一蘭」本店でとんこつラーメンを食べ、おみやげも
Getしました(*´∀`*))。

 博多で行われる学会は会場まで福岡空港から地下鉄で10分と非常にアクセスがよく、今回は個人的に
オーラルやポスターの発表もなかったので、合間を縫って柳川か太宰府くらいは行ってくるかなと思って
いたのですが、7月の九州は、まあ予想はしていたのですがやはり暑かった(´Д`;)。 ランニングシューズを
持っていったので朝走ったのですが、北海道とは湿度が全然違う、汗のかき方が半端じゃない、1日に
5回くらいお風呂に入りました~(笑)。ということで、夜、近場で料理に舌鼓をしたくらいで、昼間は学会と
ホテルの往復に終始しました

 今年の学会のテーマは「歯周治療 成功の鍵」-再生療法 Step by Step-でした。近年歯科医療の
めざましい進歩により、エムドゲイン、GEM21、各種GTR膜や骨補填材などの再生材料が開発され、
少し以前であれば絶対に保存不可能と思われた高度歯周病罹患歯も条件によっては保存することが
可能になりました。

 学会特別講演はスイス、米国など海外から講師をお招きし、またシンポジウムは日本の再生療法の
第一人者による講演で、私自身はお昼のランチョンセミナーもバイオオス、バイオガイドを用いた再生
療法のセミナーを受講しました。講師の根本先生は症例数が60~70ケースと話されていたので、私と
同じくらいの症例数、臨床経験かなと思いながら聞いていました。

 歯科医師はこの歯は残せませんと抜歯してしまうことが仕事ではなく、また抜歯した後にインプラントを
入れることが仕事ではなく、保存の難しい歯を何とかうまく残せるよう技術を駆使して救済することが
本来の仕事だと、個人的には20年前に開業して以来ずっと変わらぬ想いで臨床に取り組んできました。
最終日、最後の講演者である白石和仁先生は、残せる歯も抜歯してインプラントという最近の風潮に
警鐘を鳴らすべく、「グローバルスタンダード(世界水準)」という言葉に惑わされるな!と私が以前のブログ
書いたことと全く同じ主旨の話をされていました。

 本日は歯周病のため保存は困難と前医で言われ、HPを見て当院に来院されたNさんのお話を最初に
させていただきます。医療系の職業に就かれている40代前半のNさんは、これまで全く歯周病の自覚が
なかったそうですが、昨年突然奥歯の痛みと動揺を自覚したため他院を受診したところ、この歯は残せないと
言われたとのことでした。同部のレントゲン撮影と歯周ポケット診査を行ったところ、右上一番奥の歯の
奥側において根尖(根の先)まで完全に骨が喪失しているのを認めました。

Nさんの右上奥(初診時)

少しずつ進行していた歯周病が根尖まで骨がなくなるに至り、突然痛みと大きな歯の動揺として症状が出現した
のだと想像できました。

常々このブログやHPでもお話しさせていただいておりますが、歯周病は「silent disease(静かなる病気)」と
言われており、かなり進行するまでほとんど自覚症状なく進行します。Nさんのこの歯はまさにsilent diseaseの
典型例だと思います。

 歯周病治療の基礎を勤務医時代に師匠から学び、札幌臨床歯科研究会で更に磨きをかけて25年になります
が、この歯の歯周病はあまりに進行しており、10年以上前の再生療法という治療のoptionを持たなかった
当時の私であれば、前医と同じように保存は難しいとNさんに告げていたかもしれません。

右上奥の術中

再生療法5ヶ月後

現在、再生療法後5ヶ月とまだ再生途上ではありますが、すでに歯周ポケットは浅くなっており(厳密にはまだ
測ってはいけないのですが、(^^;)、)、次回来院時に再生療法後8ヶ月となりますので再評価を行い、冠を装着する
予定です。

 もう一ケース、Tさん(50代)のケースもご紹介させていただきます。
私が担当した時点で、右下一番奥の歯には自費の冠がすでに装着されていましたが、大きな根尖病変と頬側
中央部には根尖に至る歯周ポケットを認めました。装着されているファイバーの土台は除去困難であるため、
まずは再植による外科的歯内療法(根管治療)を行いました。

Tさんの右下奥(初診時、再植後)

処置2ヶ月後、根尖部の骨吸収像には著明な改善を認めましたが、写真の右上の丸で囲んだ部分の歯根膜は
すでに喪失しているのではないかと予測した通り、同部の歯周ポケットは依然として10mm以上と全く改善しません
でした。

 そこで2回目の外科処置として、GTR膜と骨補填材(自家骨主体)による再生療法を行いました。

右下奥の再生療法時

再生療法後

再生療法後9ヶ月時の再評価とレントゲン所見で、大幅な歯周ポケットの減少(歯周組織の改善)を認め、
現在メインテナンス継続中です(*´∀`*) Tさんのこの歯は二つの外科処置のcombinationにより無事保存する
ことができました。
 
 歯を保存するための手立てはいろいろあります。どうやっても保存は難しいと判断せざるを得ないことも時には
ありますが、前医で抜歯宣告されて当院に来院される多くの患者様の歯のほとんどは実際には残っていきます。
10年後のメインテナンス時に、「あの時抜歯しなくて本当に良かったですね」と患者さんと喜びを共有することが、
私の歯科医師としての喜びであり使命であると思っています。
 
 Nさん、Tさん、これからもご自分の歯を大切にして、生涯に渡り1本でも歯を失うことのないよう、末永くメインテ
ナンスにご来院ください(*´∀`*)

美瑛のラベンダー畑

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