2015.02.15
札幌市内の歯科医院さんからのご紹介で来院されたTさんとの11年
雪祭りも終わりまだまだ雪深い札幌ですが、少しずつ春に向かって
暖かくなってきていると感じる今日この頃です。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
一昨日はS歯科クリニックの勉強会に参加、今日は歯科の臨床セミナー
参加と相変わらず仕事三昧ですが(^^;
私を信頼し、来院して下さる患者さんの期待にできるだけ応えられるよう、
プロとしての責任は果たさなければと思うのです┗(;^ω^)┛
また良い仕事をするためには、心と体の健康が大切ですので、5月の豊平川
マラソンに向けて少しずつ走り始めました。
昨年は途中リタイアしてしまった千歳JALマラソンも今年は完走したいと
思っています。
また来週は平日午後から区の体育館でスタッフとバトミントンで汗を流し、
その後は焼肉パーティーの予定です(*´∀`*)
本日は平成16年、札幌市内の歯科医院さんからのご紹介で来院された
Tさんのお話をさせていただきます。
Tさんとのお付き合いは11年目になりましたが、今月も定期検診で来院され、
いつもピカピカに磨き込まれた歯肉からは、Tさんの歯を大切にしたい
という想いがひしひしと感じられ、私も主治医として責任重大です。
平成16年当時の紹介状(抜粋)です。

他の医院さんで歯周外科処置まで行ったが改善していないこと、左上の前歯2本はおそらく抜歯と
Tさんに伝えていることが書かれていました。
左上の前歯2本(写真向かって右側矢印)は初診時グラグラで、1本は前に飛び出してしまっており、
もう1本は噛み合わせが反対で両隣の歯に挟み込まれているような状態でした。
両歯とも歯周ポケットが10mm近くある重度歯周病罹患歯でしたので、通常は抜歯されても
おかしくないケースと思われました。

仕事がお忙しく平日休みの日も出勤することが続き、途中治療が長く中断してしまったり、
高血圧や更年期障害?思われるような息苦しさ、体調不良を訴え、精神安定剤を服用していた
時期もあってなかなか治療が進みませんでしたが、平成21年にようやく治療を終了し
現在はメインテナンスとなっています。

平成21年治療終了時
上顎の前歯は歯周病治療と矯正治療によりすべて保存し、ブリッジにより連結固定としました。

左上奥歯2本はいずれも骨の支えが少なく、特に左上4(左下矢印)はkey tooth(この歯の保存、
維持が、口腔内全体において特に重要とされるキーとなる歯)と考えていましたが、
平成24年の暮れ、年末年始の飲み会続きでブラッシングがおろそかになってしまい、
心配ということで来院された際に、平成17年に抜歯とした左上5と同様、根尖に至る歯周ポケット
を認めました。
前述したようにこの歯は上顎ブリッジのkey toothであるため、何とか保存したいと考え、
歯根端切除術+再生療法を行いました。


今から10年前、平成16年当時の私であればこの歯は保存困難で、抜歯もやむなし
と考えたと思いますが、現在は高度歯周病罹患歯に対する再生療法の経過においても
手応えを感じてきており、本ケースも現在のところ深い歯周ポケットは消失し、
良好に経過しています。
歯周病は細菌(歯周病原性細菌)と免疫(細菌に対する生体の抵抗性)の相互関係を
リスク因子(ex.タバコ)が修飾する多因子性の細菌感染症と言われています。
歯周病治療の基本は、あくまで歯肉縁上、縁下のプラークコントロールの徹底ですが、
多くの重度歯周病患者さんの治療と長期経過をみていますと、その中のごく一部の
患者さんにおいてはプラークコントロールをかなり徹底しても、その他大多数の
歯周病患者さんとは生体の反応が少し違うなという臨床実感を持つ患者さんが
おられます。
Tさんの場合も初診から11年臨床観察を行ってきた結果として、白血球の機能であるとか
体質という局所の免疫の問題があるかもしれないなという臨床実感を、ある時期からずっと
私自身が持ち続けている患者さんです。
現在はこれらのことを踏まえた上で、プラークコントロールを徹底することを基本に医患協同で
できるだけ厳密にメインテナンスを継続しています。

Tさんはご自分の歯をこれ以上1歯も失わないために、日々ピカピカにブラッシングされ
私に全幅の信頼を寄せて来院してくださっていますので、かかりつけ医としてTさんの期待に応えられる
よう、最初の話に戻りますが(^^; 患者さんの想いに応えられる歯科医になるため日々研鑽を積み、
お互い長く健康で過ごせるように、私自身、自分の健康管理をしっかり行わなければと思うのです
暖かくなってきていると感じる今日この頃です。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
一昨日はS歯科クリニックの勉強会に参加、今日は歯科の臨床セミナー
参加と相変わらず仕事三昧ですが(^^;
私を信頼し、来院して下さる患者さんの期待にできるだけ応えられるよう、
プロとしての責任は果たさなければと思うのです┗(;^ω^)┛
また良い仕事をするためには、心と体の健康が大切ですので、5月の豊平川
マラソンに向けて少しずつ走り始めました。
昨年は途中リタイアしてしまった千歳JALマラソンも今年は完走したいと
思っています。
また来週は平日午後から区の体育館でスタッフとバトミントンで汗を流し、
その後は焼肉パーティーの予定です(*´∀`*)
本日は平成16年、札幌市内の歯科医院さんからのご紹介で来院された
Tさんのお話をさせていただきます。
Tさんとのお付き合いは11年目になりましたが、今月も定期検診で来院され、
いつもピカピカに磨き込まれた歯肉からは、Tさんの歯を大切にしたい
という想いがひしひしと感じられ、私も主治医として責任重大です。
平成16年当時の紹介状(抜粋)です。

他の医院さんで歯周外科処置まで行ったが改善していないこと、左上の前歯2本はおそらく抜歯と
Tさんに伝えていることが書かれていました。
左上の前歯2本(写真向かって右側矢印)は初診時グラグラで、1本は前に飛び出してしまっており、
もう1本は噛み合わせが反対で両隣の歯に挟み込まれているような状態でした。
両歯とも歯周ポケットが10mm近くある重度歯周病罹患歯でしたので、通常は抜歯されても
おかしくないケースと思われました。

仕事がお忙しく平日休みの日も出勤することが続き、途中治療が長く中断してしまったり、
高血圧や更年期障害?思われるような息苦しさ、体調不良を訴え、精神安定剤を服用していた
時期もあってなかなか治療が進みませんでしたが、平成21年にようやく治療を終了し
現在はメインテナンスとなっています。

平成21年治療終了時
上顎の前歯は歯周病治療と矯正治療によりすべて保存し、ブリッジにより連結固定としました。

左上奥歯2本はいずれも骨の支えが少なく、特に左上4(左下矢印)はkey tooth(この歯の保存、
維持が、口腔内全体において特に重要とされるキーとなる歯)と考えていましたが、
平成24年の暮れ、年末年始の飲み会続きでブラッシングがおろそかになってしまい、
心配ということで来院された際に、平成17年に抜歯とした左上5と同様、根尖に至る歯周ポケット
を認めました。
前述したようにこの歯は上顎ブリッジのkey toothであるため、何とか保存したいと考え、
歯根端切除術+再生療法を行いました。


今から10年前、平成16年当時の私であればこの歯は保存困難で、抜歯もやむなし
と考えたと思いますが、現在は高度歯周病罹患歯に対する再生療法の経過においても
手応えを感じてきており、本ケースも現在のところ深い歯周ポケットは消失し、
良好に経過しています。
歯周病は細菌(歯周病原性細菌)と免疫(細菌に対する生体の抵抗性)の相互関係を
リスク因子(ex.タバコ)が修飾する多因子性の細菌感染症と言われています。
歯周病治療の基本は、あくまで歯肉縁上、縁下のプラークコントロールの徹底ですが、
多くの重度歯周病患者さんの治療と長期経過をみていますと、その中のごく一部の
患者さんにおいてはプラークコントロールをかなり徹底しても、その他大多数の
歯周病患者さんとは生体の反応が少し違うなという臨床実感を持つ患者さんが
おられます。
Tさんの場合も初診から11年臨床観察を行ってきた結果として、白血球の機能であるとか
体質という局所の免疫の問題があるかもしれないなという臨床実感を、ある時期からずっと
私自身が持ち続けている患者さんです。
現在はこれらのことを踏まえた上で、プラークコントロールを徹底することを基本に医患協同で
できるだけ厳密にメインテナンスを継続しています。

Tさんはご自分の歯をこれ以上1歯も失わないために、日々ピカピカにブラッシングされ
私に全幅の信頼を寄せて来院してくださっていますので、かかりつけ医としてTさんの期待に応えられる
よう、最初の話に戻りますが(^^; 患者さんの想いに応えられる歯科医になるため日々研鑽を積み、
お互い長く健康で過ごせるように、私自身、自分の健康管理をしっかり行わなければと思うのです

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2015.02.01
歯牙再植、歯牙移植、インプラントで対応したHさんのケース
毎日雪、雪、
で大変ですね、なえぼ駅前歯科の大村です。
道幅が狭く道路事情も悪く、運転にも細心の注意が必要です。
何を隠そう私も、今朝発寒の「おかめや」にパンを買いに行こうと(*´∀`*)
自宅を出た途端、轍にはまって身動きがとれなくなり
牽引してもらいました・・・。
年末年始は思いもよらないいろいろな事が降りかかってきましたが、
私自身は「泰然自若」です。
今年もこれまで同様、当院に来て下さった患者さんの歯を1本でも多く残せるよう、
長年培ってきた臨床経験、技術、知識を活かし、スタッフ共々、患者さんのために
研鑽努力していきたいと思います。
今年もよろしくお願いします( ´▽`)
今年初めてのブログということで、今回は平成24年に来院され、現在は治療を終了し
メインテナンスに入っているHさん(50代前半、女性)のお話をさせていただきます。
Hさんは左下奥の歯肉の腫れを主訴に、当院HPをご覧になられて来院されました。
初診時、治療に対するご希望の一つとして、まずは最善の治療を提案してほしいという
希望がありました。
初診時、治療終了時のレントゲン写真と口腔内写真です。
治療終了時、すべての歯周ポケットは3mm以内と歯周組織は健康です。

初診時レントゲン写真の矢印部分は特に問題があったところです。


Hさんにご提案した治療は、
① 保存が困難な右上前歯の保存治療(歯牙再植)(*)
初診時口蓋側歯肉に腫脹を認め、前医では持たせるだけ持たせましょうと言われたとのことでした。

② 歯のない欠損部分に対しては、上顎左右の智歯(親知らず)を有効利用
下の左右奥歯への歯牙移植(○)
下の写真は右下奥に歯牙移植を行った時のもの

* 左下奥(レントゲン上では向かって右下奥の○部)への歯牙移植は、移植側の骨の高さも幅も足りず、
2根に分岐したドナー歯の根分岐部が骨縁上に露出したため、自家骨、骨補填材を用い分岐部を
完全に閉鎖しています(術後の歯周ポケットは全周3mm以下)。
③ ②で対応できない 左下小臼歯部(向かって右下)欠損部分に対しては、インプラント( ↑)
としました。
①~③の治療方法を選択することの利点は
1.ブリッジを避けることで両隣接歯に負担をかけずに済む
2.ブリッジを避けることで天然歯を削らずに温存することができる(ブリッジで行うと
健全な天然歯を6歯も削る治療になってしまう)
3.歯根膜を有するご自身の歯を移植のドナー歯として有効活用することでインプラント(人工物)の
本数を少なくすることができる
ということがあげられます。
Hさんは今後長期に渡りご自分の歯を失わない最善の治療をというご希望もあり、自由診療にて
治療を行いました。
治療にかかる初期投資は確かにかかってはいますが、この先20年、30年と大切に使っていかなければ
ならないご自分の歯です。
20年、30年とメインテナンスしていった結果、歯を失わず入れ歯にもならず、生涯に渡りご自分の歯で
しっかり噛める生活を送ることができれば、最初にかけた費用は決して高くないのではないかな~と思う
のです
それくらい歯は人が健康に生きていく上でとても大切なものであり、その治療は皆さんが思っている
以上に難しく、生涯ご自身の歯を維持していくには質の高い歯科医療が必要だからです。

現在日本人の平均残存歯は、残念ながら26本(45才)→23本(55才)→18本(65才)
→10本(75才)と、再治療を繰り返しながら年齢と共にどんどん歯はなくなっています。
気づけば自分以外の周りの友人は皆入れ歯という話は、当院に長くメインテナンスに来られている
患者さんから何度もお聞きしています。
スウェーデンなどの歯科医療の先進国では、80才で平均25本の歯が残存しているにも
かかわらず、日本の現状はこうなのです。
40代、50代は歯を失っていく年代です。
できれば歯を失っていく前に信頼できる先生の下で、上記の日本人のデータが示すように
安い保険診療でできる治療には当然限界がありますので(今回、Hさんの治療で行った歯牙再植、
歯牙移植、インプラント、ファイバーコア、アライナー矯正治療はすべて保険給付外治療です)、
ある程度必要な初期投資は覚悟して、十分ご相談、ご納得の上で、ご自分の歯の治療を
しっかり行ってください。
そしてこれは大事なことですが、歯周治療に精通した歯科医院にてその後のメインテナンスを
継続して下さい。そうすればそう簡単に再治療も抜歯になることもないはずです。
皆様の大切な歯を生涯に渡ってしっかり守ってくれる優秀な歯科医師、スタッフのいる歯科医院に、
皆様が巡り会えますことを祈念いたします。
尚、当院ではセカンドオピニオンも行っていますので、お気軽に相談していただければと
思います。その患者さんにとってどういう治療が最善なのか、患者さんの身になって一緒に
考えたいといつも思っています

で大変ですね、なえぼ駅前歯科の大村です。
道幅が狭く道路事情も悪く、運転にも細心の注意が必要です。
何を隠そう私も、今朝発寒の「おかめや」にパンを買いに行こうと(*´∀`*)
自宅を出た途端、轍にはまって身動きがとれなくなり

牽引してもらいました・・・。
年末年始は思いもよらないいろいろな事が降りかかってきましたが、
私自身は「泰然自若」です。
今年もこれまで同様、当院に来て下さった患者さんの歯を1本でも多く残せるよう、
長年培ってきた臨床経験、技術、知識を活かし、スタッフ共々、患者さんのために
研鑽努力していきたいと思います。
今年もよろしくお願いします( ´▽`)
今年初めてのブログということで、今回は平成24年に来院され、現在は治療を終了し
メインテナンスに入っているHさん(50代前半、女性)のお話をさせていただきます。
Hさんは左下奥の歯肉の腫れを主訴に、当院HPをご覧になられて来院されました。
初診時、治療に対するご希望の一つとして、まずは最善の治療を提案してほしいという
希望がありました。
初診時、治療終了時のレントゲン写真と口腔内写真です。
治療終了時、すべての歯周ポケットは3mm以内と歯周組織は健康です。

初診時レントゲン写真の矢印部分は特に問題があったところです。


Hさんにご提案した治療は、
① 保存が困難な右上前歯の保存治療(歯牙再植)(*)
初診時口蓋側歯肉に腫脹を認め、前医では持たせるだけ持たせましょうと言われたとのことでした。

② 歯のない欠損部分に対しては、上顎左右の智歯(親知らず)を有効利用
下の左右奥歯への歯牙移植(○)
下の写真は右下奥に歯牙移植を行った時のもの

* 左下奥(レントゲン上では向かって右下奥の○部)への歯牙移植は、移植側の骨の高さも幅も足りず、
2根に分岐したドナー歯の根分岐部が骨縁上に露出したため、自家骨、骨補填材を用い分岐部を
完全に閉鎖しています(術後の歯周ポケットは全周3mm以下)。
③ ②で対応できない 左下小臼歯部(向かって右下)欠損部分に対しては、インプラント( ↑)
としました。
①~③の治療方法を選択することの利点は
1.ブリッジを避けることで両隣接歯に負担をかけずに済む
2.ブリッジを避けることで天然歯を削らずに温存することができる(ブリッジで行うと
健全な天然歯を6歯も削る治療になってしまう)
3.歯根膜を有するご自身の歯を移植のドナー歯として有効活用することでインプラント(人工物)の
本数を少なくすることができる
ということがあげられます。
Hさんは今後長期に渡りご自分の歯を失わない最善の治療をというご希望もあり、自由診療にて
治療を行いました。
治療にかかる初期投資は確かにかかってはいますが、この先20年、30年と大切に使っていかなければ
ならないご自分の歯です。
20年、30年とメインテナンスしていった結果、歯を失わず入れ歯にもならず、生涯に渡りご自分の歯で
しっかり噛める生活を送ることができれば、最初にかけた費用は決して高くないのではないかな~と思う
のです

それくらい歯は人が健康に生きていく上でとても大切なものであり、その治療は皆さんが思っている
以上に難しく、生涯ご自身の歯を維持していくには質の高い歯科医療が必要だからです。

現在日本人の平均残存歯は、残念ながら26本(45才)→23本(55才)→18本(65才)
→10本(75才)と、再治療を繰り返しながら年齢と共にどんどん歯はなくなっています。
気づけば自分以外の周りの友人は皆入れ歯という話は、当院に長くメインテナンスに来られている
患者さんから何度もお聞きしています。
スウェーデンなどの歯科医療の先進国では、80才で平均25本の歯が残存しているにも
かかわらず、日本の現状はこうなのです。
40代、50代は歯を失っていく年代です。
できれば歯を失っていく前に信頼できる先生の下で、上記の日本人のデータが示すように
安い保険診療でできる治療には当然限界がありますので(今回、Hさんの治療で行った歯牙再植、
歯牙移植、インプラント、ファイバーコア、アライナー矯正治療はすべて保険給付外治療です)、
ある程度必要な初期投資は覚悟して、十分ご相談、ご納得の上で、ご自分の歯の治療を
しっかり行ってください。
そしてこれは大事なことですが、歯周治療に精通した歯科医院にてその後のメインテナンスを
継続して下さい。そうすればそう簡単に再治療も抜歯になることもないはずです。
皆様の大切な歯を生涯に渡ってしっかり守ってくれる優秀な歯科医師、スタッフのいる歯科医院に、
皆様が巡り会えますことを祈念いたします。
尚、当院ではセカンドオピニオンも行っていますので、お気軽に相談していただければと
思います。その患者さんにとってどういう治療が最善なのか、患者さんの身になって一緒に
考えたいといつも思っています

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