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2014.11.19

「よみがえれ、歯!Part6 破折歯接着保存術」

  いよいよ寒くなってきましたね、皆様いかがお過ごしでしょうか。
なえぼ駅前歯科の大村です。

今日は恵庭のハイテクノロジー専門学校の学生さんが一名見学にきていました。
来年卒業予定の歯科衛生士さんの卵です。なかなか好印象な学生さんでした。
歯科衛生士というと一般的には歯科医師のアシスタントという印象をお持ちの方が
多いかもしれませんが、れっきとした国家資格であり業務範囲も広く、業務内容も
しっかり勉強すると奥が深く、歯科医師でも治すことが難しい歯周病も衛生士さんの
腕一つで治ってしまいます。
患者さんにも感謝していただけるとてもやりがいのある仕事だと思います。
将来はぜひスーパーハイジニストを目指してほしいですネyjimage_20141119203706032.jpg

現在当院でも常勤歯科衛生士さんを募集中ですので、ぜひ一度見学にきてください!

本日の「よみがえれ、歯!Part6」は、昨年9月19日の「よみがえれ、歯!Part5」
以来のアップとなりました(さぼっていてスイマセン・・・ )。

先日、北大歯学部同窓会千歳支部の講演会でお話しさせていただいた
破折歯接着保存治療ケースの中から何ケースかをご紹介させていただきます。

(第一症例)
40才代 女性
1年位前に歯にひびが入っていると指摘され、歯周ポケット内を洗浄して
もらっていたが、腫れを繰り返し噛むと痛いため当院に来院されました。
金属の土台と冠が装着されていましたが、除去したところ完全に歯が割れた
状態になっていました。

症例1.初診時
初診時のレントゲン写真

接着前(完全破折)、 接着後

症例1. 治療終了後
               治療終了後

治療終了後、現在は何事もなかったかのようにしっかり噛めています
この患者さんは咬合力(噛む力:歯ぎしり、くいしばり、咀嚼などの力の総称)
が強く、破折歯の治療のみならず、咬合力のコントロール、ナイトガードの
作製も行っています。

(第二症例)
次の症例は60才代女性で、破折に起因する歯性上顎洞炎を疑うレントゲン所見
でした。普通なら保存はおろか抜歯でさえ、口腔外科で抜歯してもらわなければ
ならない状態かもしれません。
放置して上顎洞炎が悪化すると入院、手術になることもあります。

症例2. 初診時
上顎洞との交通が疑われる深い歯周ポケットと
上顎洞炎を疑うレントゲン像

2週間マクロライド系抗生剤を投与した後、抜歯再植を行いました。

症例2. 術中(破折線処置後)
術中(破折線処置後)
症例2.治療終了後
  治療終了(治癒)後

上顎洞の炎症は改善し、最終的には3歯を連結にし再度延長ブリッジにて対応しました。
割れている歯にまた延長ブリッジ???と思われるかもしれません。
インプラントができる骨の高さがあれば、勿論インプラントをご提案しました。
延長にせずこの歯で噛み合わせを止めてしまう(短縮歯列)と、この歯のリスク(再破折)
は減りますが、当然ながら反対側が噛みやすくなるため、今度は反対側(反対側残存歯は
すべて失活歯)に歯根破折を起こすことが予想されるからです。

余談ですが、この後まもなく私の予想通り?反対側小臼歯部に歯根破折が起こりました
(左上奥の処置をしている間、右偏咀嚼になっていたからです)。
現在はこちらの方も無事接着保存治療が終了しています。

(第三症例)
このケースは40才代の男性で、HPをご覧になられて岩見沢から来院されました。
1年前に抜歯してブリッジを装着したら、今度はその奥の歯が割れて抜歯宣告
されたとのことでした。
大臼歯の近心根は無事で、遠心根のみが破折し腫れていました(矢印部分)
(下顎大臼歯は手前(近心根)と奥(遠心根)の2根に分かれています)。

割れて腫れている状態(初診時)

接着再植のオペ時に、割れている遠心根を元の位置に戻さず中間に戻し、
ブリッジのスパン(長さ)を短くするとともに歯列の連続性(すべての歯が連続して
残っている状態)を確保しました。
その方が再破折のリスクが格段に減るからです。

第三症例. 治療終了時
治療終了後(3歯とも歯根破折防止のため、
i-TFCファイバーコアによる根築1回法で行っている)

この方も噛み合わせ(歯列不正)と夜間の歯ぎしりが破折の一因になっている
と考えており、現在行っている他部位の治療が終了した後、ナイトガードを
作製予定です。

噛む力、ナイトガードに関しては、2011.08.31 歯の寿命を左右する『噛む力』について
(右のブラキシズム(1))をご参考ください。

(第四症例)
本日最後のケースは40才代女性の方で、割れている歯はすでに1根は抜歯
されており、残る2根(上顎大臼歯は通常3根に分かれています)も割れて
虫歯の進行が深く、当院に来られた時にはすでに保存が難しい状態でした。

第四症例.初診時
向かって左は破折している左上大臼歯部のデンタルレントゲン写真、
右は同部位のCT画像(左が口蓋根、右が頬側根の前頭面断)

このケースはこの歯の奥に親知らず(完全埋伏、矢印部分)がありましたので、
歯牙移植で対応しました。
しかしながら移植床の骨の高さが3~5mm程度しかないため、
ソケットリフト(上顎洞底を上にあげる処置)を併用して行いました。

完全埋伏している親知らずの状態(CT)
親知らずのCT画像と口腔内(破折歯はすでに抜歯済、矢印部分の歯ぐきの中に親知らずが埋伏)
破折歯抜歯 2ヶ月後 (歯牙移植前)


歯牙移植後 現在
     治療終了時

無事治療は終了し、全く使っていなかったご自分の歯をうまく活用し、
そこに元々歯があったかのようによみがえりました。

当院ではあらゆるテクニックを駆使し、まず患者さんのその歯をできるだけ
うまく処置して保存することに全力を注いでいます。

しかしながらどうしても保存できない場合、このケースのように
有効活用できるご自身の歯を使います。やはり歯根膜を有する
自分の歯に勝るものはないと思うからです。
しかしながらそのようなドナー歯もない場合、残っている他の歯を
守るためにインプラントを使うこともあります。


ここにあげたケースはどれも普通は抜歯されてしまう歯ですが 
うまく治療してあげるとこのようによみがえって復活させることも可能です
(第四症例は別の歯でよみがえりましたが )。
まさに「よみがえれ!歯」です (^∀^σ)σフッカツダーッ☆.。.:*・゜

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2014.11.09

北海道大学歯学部同窓会千歳支部講演会、懇親会に参加して

  今日はポカポカ本当に良い天気ですね、晩秋の小春日和を皆様いかが
お過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
私は今、南幌帰りで、ファクトリーの近くのガソリンスタンドにてタイヤ交換を待っている間に
ブログを更新しています 

昨日は北海道大学歯学部同窓会千歳支部講演会にて
歯を保存することへのこだわり~「破折歯接着保存治療に取り組んで」という
タイトルでお話をさせていただきました。
学術講演会というと堅苦しく聞こえますが  千歳支部は千歳市、恵庭市、北広島市で
ほとんどが開業されている北大同窓の先生の会で、先輩、後輩分け隔てなく
とてもアットホームな雰囲気で、毎年懇親会も兼ねて南幌温泉一泊で行われているそうです。

大学の同門会の大先輩や学生時代、医局員時代にお世話になった先輩、顔見知りの先生も
いてとても楽しい一日でした

割れた歯を接着して保存する治療というのは、一般開業医ではルーチンに行われていない
治療ということもあり、多くの活発なご質問をいただきました。
皆さんの言葉の端々からは患者さんのために保存できる歯は残して差し上げたいという
想いが感じられ、今日の講演会がきっかけで、お一人でも多くの先生が破折歯の接着保存
治療に取り組まれ、結果1本でも多くの歯が救われたら嬉しいな~と思いました。

最近リハビリもストレッチも怠っていたため、一昨日あたりから頚椎ヘルニアが再発しており 
右肩甲骨~上腕~右手の小指の先に至るまで講演中もずっと痛みとしびれがあり DIMG0103.gif
懇親会後は1時間ほど全身のマッサージを受けました。
本来はマッサージの前後にゆっくり温泉に浸かり体を休める必要があり、施術者からも
アドバイスを受け私もそのつもりでいたのですが、千歳支部には昔何度かお手合せをした
雀豪のT先輩がおられまして(当時同期の中では勝ち頭であった私もT先生には一度も
勝った記憶がありません)、お声が掛かりマッサージが終わったと同時に麻雀 3962729.gif
となってしまいました(笑)。
何年ぶりか忘れてしまうくらい久しぶりに全自動でなく手積みの雀卓でしたyjimage.jpg

麻雀は勝負事ですので卓を囲んだ面子と真剣勝負をしつつも、いろいろな楽しいお話を
聞くことのできるコミュニケーションの場でもあります。
T先生は奥様も私の先輩で、私は学生時代直接指導を受け大変お世話になっており
近況などもお聞きすることができました。
囲碁もとても強く、昔は眼光鋭くビシっとした勝負師のイメージしかなかったT先生も
昨日は絶不調で「寂ち~!」とかつぶやきながら打っていて(笑)

スーパーズガン

まあお互い様ですが歳を取ったかなっと(笑)、でもそういうT先生の一面も私は好きです 
結局朝まで囲んでその後2時間ほど寝てから一風呂浴び、朝食をいただいた後は
三々五々となりました。

支部長の青山先生、今回お声を掛けていただき本当にありがとうございました。
私にとっては講演会という場を与えていただき、また千歳支部の先生方とお近づきになれた
有意義な時間であったと共に、懐かしい先生方と久し振りにお会いして旧交を温めることが
できたのは望外の喜びでした。

まあ、あの、講演会の謝礼をいただいた上に宿泊させていただき、さらに懇親会後の
麻雀までしっかり勝たせていただき(笑)、来年からは千歳支部会員外ということで
ぜひオブザーバー参加しますのでまた誘ってください 

最後になりましたが、北海道大学歯学部千歳支部同窓会会員の先生方の今後のご健勝と
ご活躍を心よりお祈り申し上げます。
ありがとうございました。

フリージア (感謝)




         

Posted at 12:42 | イベント | COM(0) | TB(0) |
2014.11.03

友人Kくんの来札と北大歯学部硬式テニス部祝勝会に参加して

 昨日の日中は風が強く寒かったのですが、夜は寒くなく比較的暖かでした。
もうしばらく小春日和が続いてほしいので、タイヤ交換もしばし待ちたいと思います。

昨日は長野で開業している大学の友人Kくんが来札し、私の実家に遊びにきました。
学生時代、私の実家は皆のたまり場でした。

特に硬式テニス部の同期は、常日頃あまり勉強をしていませんでしたので(笑)、
試験が近くなりますと皆お互いの進捗状況を探りに 汗アセ(あまり進んでいないことを確認 ほっ(安堵))、
あるいは情報収集のため、またその科目の得意な同期に効率よく教えてもらうため
集まったものです(湯の山温泉訪問記①、②に登場するAくん、Tくんもこのメンバーでした)。

部活仕込みの体力、気力に任せて、試験期間の1週間くらいは連日徹夜に近い状態で
勉強したのがとても懐かしく思い出されます。
私の父、母は面倒見の良い夫婦でしたので、よ~く同期が泊まりにきてはご飯を食べさせて
いました。
今でもこうやって札幌に来るとわざわざ立ち寄ってくれるのは嬉しいですネ、
Kくんありがとう

集合写真
             実家での集合写真

昨日の夜はすすきので、北大歯学部硬式テニス部創設以来初めての歯学体3位(男子)という
成績をOBでぜひお祝いしましょうということで祝勝会が催されました。
Kクン以外にも何人か道外から駆けつけ、同期では旭川で開業しているYくんも駆けつけ、
私も参加してきました。

学生時代はクラブ、バイトそして勉強と(あ、いや麻雀もよくやったな~)、
最初は不真面目な(いろいろやらかしました、笑)部員でしたが、徐々に真剣に打ち込む
ようになり、6年間の部活を通していろいろなことを学びました。

そして部活を通して縦、横のつながり、一生の人間関係を持つことができ、
また何事にもくじけずチャレンジしていく体力、気力、根性(笑)を培うことができました。
そういうことを昨日の祝勝会に参加し、OBと昔話に花を咲かせ、現役部員の生き生きした
姿をみて再認識しました 118178.gif

今日は休診日ですが、来週の北大同窓会千歳支部定例会に向けて「破折歯接着保存
治療」のプレゼン準備です。

講演会を通して、一人でも多くの歯科医師に破折歯を救う治療があることを知ってもらえるよう
頑張りたいと思います 


Posted at 12:56 | 日常 | COM(0) | TB(0) |