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2013.06.01

破折歯接着保存法(割れた歯を接着再植して保存する方法)の一例

 ここ数日急に暖かくなり、今日は札幌も日中30℃となる
暑い1日となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
例年暖かくなると体の調子も上がってくるのですが、前号で
お話しした右肩甲骨痛から解放されたのもつかの間、今度は
シラカバ花粉症で悩まされています

今日は明日の千歳JALフルマラソンに備え2時間ほどゆっくり
ジョギングを行い、少し日焼けしました。
仕事に追われて例年通り(例年以上に?)あまり練習はしていない
のですが、パワージェルを本日5袋買い込んで(笑)、明日は体調に
だけは気をつけてできれば完走してきたいと思います 305520.gif
(自信はありませんが・・・  )

 本日は上の前歯の歯ぐきが腫れたということで、10年ぶりに
来院された患者Mさんのお話をさせていただきます。
現在日本人の歯を失う原因は、
第一位 歯周病
第二位 むし歯
第三位 破折    となっています。
Mさんも右上の前歯が割れていました。

初診時右上前歯
             初診時右上前歯

写真中央の、向って左の歯の歯ぐきが腫れており、
右写真では歯のひび割れ部分がわかるかと思います。

また精査したところ、右上奥にも割れている歯が見つかりました。

初診時右上奥
          初診時右上奥

左写真、白い冠の入っている歯の歯ぐきが腫れているのがわかります。

抜歯してブリッジ、抜歯してインプラントという治療の選択肢もありましたが、
患者さんはできればご自分の歯を残したいというご希望が強くありましたので、
破折歯接着保存法という治療を行いました。

この方法は2012年7月のなえぼほのぼのブログでもお伝えした通り、
私が所属するPDM札幌の顧問をされている真坂信夫先生が30年の
臨床実績を積み重ねてこられた治療法です。

割れている歯を一度脱臼させ、口腔外にてスーパーボンドで接着し
元のところに戻して生着させるという方法です。
上の前歯は歯根に付着している歯根膜の喪失がやや大きかったため、
エムドゲインという再生材料を使用しました。

接着再植後
再植後の上の前歯

再植1年後
    再植1年後
歯周病治療と再植後に矯正治療も行い、現在きれいな歯並びと
健康な歯周組織を維持されています 

同じく再植後の右上奥の現在です。

再植10ヵ月後
         再植10ヵ月後
左写真では、初診時見られた歯ぐきの腫れは消失し
健康な歯周組織を取り戻しています。

初診時の右写真では根の周りの割れているところ
(根の周囲の向って左側部分)で感染し、レントゲンで黒く骨の吸収像が
見られましたが、現在は改善しているのがわかるかと思います。 

今回治療した破折歯の土台部分はいずれも金属ではなく、
ファイバーの土台を使用しています。

米国在住の日本人で、当院にて集中治療を受けられた
患者さんからの情報によると、歯根破折の原因となり得る
金属の土台は、すでに米国では使用されていないとのことでした。
情報の真偽はわかりませんが  、さもありなんと
いったところです。

現在我々PDM札幌のメンバーで、「破折歯は抜歯」という歯科の常識は
必ずしも当てはまらない、「破折歯接着保存法」という治療を少しでも
多くの方に知っていただくため、8月31日(土)午後から、エルプラザ
にて市民フォ-ラム開催を準備しているところです。
詳しくは、後日あらためて「なえぼほのぼのブログ」にてご案内させて
いただきますが、ぜひ多くの方に聴きに来ていただければと思う次第です。

よみがえれ、歯! です 








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