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2013.06.20

「よみがえれ、歯! Part 3」

 すっかり日も長くなり、暖かな気持ちの良い天気が続きますね。          
なえぼ駅前歯科の大村です。 
                     
6月15日(土)、16日(日)の両日、札幌コンベンションセンターにて
日本臨床歯周病学会本学会が開催され参加してきました。
今大会のテーマは「ぺリオドンティスト(歯周病専門医)が歯を守る
(We save teeth)」でした。歯周病専門医に限らず、歯科医師はやはり
「患者さんの歯を守る、歯を救う」技術を磨くことが本来の仕事だと
あらためて感じた有意義な学会でした。 

本日は、前々回の破折歯接着保存法(割れた歯を接着再植して
保存する方法)に引き続き、2012.9.2にアップした「よみがえれ、
歯!Part2」の第三弾をお届したいと思います。

Part2の患者さん(治療終了になった第二、三症例の二名)のその後と
再植以外の破折歯接着保存法で歯の割れを接着修復したケースを今回は
お話しし、近いうちに第四弾、第五弾、「こんな歯も残るんだ~」という治療を
随時お話しさせていただきます。

(症例1)
手稲から来院されている患者さんで、上の左右奥歯は共に治療を終了
して現在メインテナンス中です(「よみがえれ、歯!Part2」参考)。

右上奥の方(前回は途中経過まででした)は外科処置時に完全に根の先
まで骨がなく、根の先の反対側の根面と骨面をしっかりきれいにした後、
エムドゲインと骨の補填材を填入しています。

再生療法後約1年経過した現在、初診時と比較し根の周囲に骨の再生が
得られています 

歯周外科処置と言うとどんな大がかりな処置かと思うかもしれませんが
処置時間は1時間~1時間半、術後に腫れたり痛みが出たりすることも
あまりありませんのでご安心下さい。

症例2 右上7
   初診時     根管治療後2ヶ月
             (再生療法後1カ月)

     再生療法後1年
       再生療法後1年

(症例2)
厚別から来院されている患者さんで、破折歯接着再生再植、破折歯の接着再植
処置に症例1のような再生療法を応用したケースです。破折している部分の
歯根膜のダメージが大きく骨も大きく吸収していたため、エムドゲインという
再生材料+自家骨、その他の骨補填材に加え、再生膜も応用しています。

左下奥
  再生再植前            再生再植後1年

割れて保存不可能と思われた歯もしっかり救ってよみがえらせることができました。
20年以上歯科医療に携わってきて、近年の再生医療の進歩はすばらしいなと
こういうケースを見るとあらためて実感させられます。

Hさんとは初診から12年のお付き合いになりますが、かかりつけ医として
これまで1歯も抜歯することなく(厳密には一度(再植時に)抜歯しています
が・・・  )、歯を守っています。

いつも健康に留意され、毎日のウォーキングも欠かさず、趣味で山にも登られ
ているHさんは70才になられても本当にお元気で若々しい!
日々不節制になりがちな私にとって良いお手本だといつも思っています。
歯の健康維持は任されていますので責任重大ですが、「先生に診てもらって
いると安心」と言っていただけるのは何よりです

(症例3)
患者Mさんは2006年左下奥が浮いた感じがして強く噛めないとのことで
来院されました。精査したところ奥の根の神経が死んでいることが判明、
その後同部位に亀裂があることがわかりました。

当時は割れが極力広がらないようスーパーボンドという強力な接着材で
土台をお付けし、負担が大きくかからないよう定期的なメインテナンス
において、適時お入れした冠の噛み合わせを調整していきましょうと
お話ししました。

2006年来院時

しかしながらお約束した定期検診が不定期であったこともあり 
割れが入っていた部分の歯周ポケットは2006年5mm、2009年8mm、
2012年10mm以上と確実に深くなっていきました。

破折歯接着修復オペ前
2012年破折歯接着保存処置前
破折部は10mm以上に拡がる

ここに至っては抜歯の可能性も出てきたため、Mさんに現状と破折歯接着保存法
という治療をご説明したところ、歯をできるだけ長く残していきたいという
お気持ちが強く治療を希望されました。

Mさんの場合は破折がまだ根長の1/2を越えた程度であったこと、大臼歯で骨植も
強固であったことから、再植を行わない歯周外科処置による破折歯接着保存法
(口腔内接着法)にて行うことにしました。

冠装着時
冠装着時の現在、歯周ポケットは3mm

結果、治療はうまくいき経過も良好です

患者Mさんとは私が勤務医であった30代前半から20年お付き合いを
させていただいています。気に入ってこのように長くきていただけると
いうことは、歯科医師として本当に嬉しくありがたいことだと思います。

Mさんの期待にしっかり応えられるよう、今までもそしてこれからも1歯も
抜歯になることなく全ての歯をしっかり守っていきたいと思います 




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2013.06.03

第33回千歳JAL国際マラソン

 ここ札幌もようやく新緑香るすがすがしい6月になってきましたね。
なえぼ駅前歯科の大村です。

昨日は千歳JAL国際マラソンのフルマラソンに参加してきました。
当日朝はいつも通り温かいそばを食べ、6:30に札幌を出発。
高速で1時間かからず千歳に到着、インターを降りてすぐの駐車場に止めて
スタート地点である青葉公園に向いました。

エントリーを済ませ、ゼッケンとランナーズチップをそれぞれ上着と靴に付け
スポーツドリンクを飲みながら大会プログラムの出場者を見ていました。
フルマラソンは10:20スタートなのですが、当日受付が8:30まで
ですので、2時間くらいの余裕があります。

そうしているうちに、玉木先生からいつものように嬉しいお電話が。
4年前私にマラソンを勧めて下さり、その後も私をいつも励まし、元気づけて
くれる私の歯学部の先輩です。
2階の更衣室から玉木先生のおられる体育館の観客席へと移動し、
しばし歓談。話に花が咲いているとあっという間にスタ―ト時間が近づき、
急ぎトイレタイムと貴重品を預け、スタート地点へと向かいました。

千歳マラソンはタイム順にスタートということがないため、できるだけ前の
方へ進み(どうせ置いていかれるのですが )、奥様に
玉木先生との記念写真を撮っていただき、準備運動を済ませて
いよいよ出発!

スタート前 玉木先生とツーショット

         スタート前   玉木先生とツーショット

5月の豊平川マラソン(ハーフ)を体調不良で欠場したため、今年初めての
マラソンがフルであり、昨年に比べても明らかに練習不足でしたので
完走することだけを目標に、まずは折り返しの22.5キロまでの
登りを1キロ8分くらいのペースでゆっくり走ろうと作戦を立てました。

作戦通りのペースを刻み、折り返し地点では制限時間まで30分くらいの
余裕があったのですが、このあたりで早くも練習不足のつけが出てしまい
折り返しからの下りで全く足が出なくなってしまいました・・・。

28キロ地点で早くも歩き始め、残り14キロも残して1キロ10分の
早歩きでも制限時間をクリアーできるのに、今年は完走できるのかな?と
ちょっと弱気になりました。
途中エアーサロンパスを何度もひざと大腿部に吹き付け、時折屈伸をしつつ、
給水所ではしっかり給水し、バナナをゆっくりいただいて(そう言えば
去年はケーキがあったのにな~)、生気を養いつつ無理せず時間を見ながら
6時間を何とか切るタイムでゴールすることができました 

完走後の記念ショット

    完走後の記念ショット(何とか加わることができました 

途中苦しい時には自分の苦しかった4年前を思い出し、ここであきらめて
なるものか!と自分を奮い立たせ、無事完走することができた結果を
自分自身の人生と重ね合わせてしまうのでした。

沿道では多くの方が「頑張れ!」と応援してくれ、ゴール後は
ボランティアでお手伝いして下さったスタッフの方々とハイタッチ、
帰りは痛い足を引きずって歩いていると、何人かの方が「お疲れ様!」と声を
かけてくれました。こういう温かい言葉や行動は嬉しいですネ。

今年も健康で無事に完走することができました
感謝感謝です。

その日は戦利品の完走Tシャツを着て、夜9時前には爆睡。
今日も朝から仕事に支障をきたしそうなくらい全身ずたぼろでしたが、
1日も早く復調して今度は7月の豊平マラソンのフルに向け、また精一杯
頑張ろうと思うのでありました 
Posted at 23:40 | スポーツ | COM(0) | TB(0) |
2013.06.01

破折歯接着保存法(割れた歯を接着再植して保存する方法)の一例

 ここ数日急に暖かくなり、今日は札幌も日中30℃となる
暑い1日となりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
例年暖かくなると体の調子も上がってくるのですが、前号で
お話しした右肩甲骨痛から解放されたのもつかの間、今度は
シラカバ花粉症で悩まされています

今日は明日の千歳JALフルマラソンに備え2時間ほどゆっくり
ジョギングを行い、少し日焼けしました。
仕事に追われて例年通り(例年以上に?)あまり練習はしていない
のですが、パワージェルを本日5袋買い込んで(笑)、明日は体調に
だけは気をつけてできれば完走してきたいと思います 305520.gif
(自信はありませんが・・・  )

 本日は上の前歯の歯ぐきが腫れたということで、10年ぶりに
来院された患者Mさんのお話をさせていただきます。
現在日本人の歯を失う原因は、
第一位 歯周病
第二位 むし歯
第三位 破折    となっています。
Mさんも右上の前歯が割れていました。

初診時右上前歯
             初診時右上前歯

写真中央の、向って左の歯の歯ぐきが腫れており、
右写真では歯のひび割れ部分がわかるかと思います。

また精査したところ、右上奥にも割れている歯が見つかりました。

初診時右上奥
          初診時右上奥

左写真、白い冠の入っている歯の歯ぐきが腫れているのがわかります。

抜歯してブリッジ、抜歯してインプラントという治療の選択肢もありましたが、
患者さんはできればご自分の歯を残したいというご希望が強くありましたので、
破折歯接着保存法という治療を行いました。

この方法は2012年7月のなえぼほのぼのブログでもお伝えした通り、
私が所属するPDM札幌の顧問をされている真坂信夫先生が30年の
臨床実績を積み重ねてこられた治療法です。

割れている歯を一度脱臼させ、口腔外にてスーパーボンドで接着し
元のところに戻して生着させるという方法です。
上の前歯は歯根に付着している歯根膜の喪失がやや大きかったため、
エムドゲインという再生材料を使用しました。

接着再植後
再植後の上の前歯

再植1年後
    再植1年後
歯周病治療と再植後に矯正治療も行い、現在きれいな歯並びと
健康な歯周組織を維持されています 

同じく再植後の右上奥の現在です。

再植10ヵ月後
         再植10ヵ月後
左写真では、初診時見られた歯ぐきの腫れは消失し
健康な歯周組織を取り戻しています。

初診時の右写真では根の周りの割れているところ
(根の周囲の向って左側部分)で感染し、レントゲンで黒く骨の吸収像が
見られましたが、現在は改善しているのがわかるかと思います。 

今回治療した破折歯の土台部分はいずれも金属ではなく、
ファイバーの土台を使用しています。

米国在住の日本人で、当院にて集中治療を受けられた
患者さんからの情報によると、歯根破折の原因となり得る
金属の土台は、すでに米国では使用されていないとのことでした。
情報の真偽はわかりませんが  、さもありなんと
いったところです。

現在我々PDM札幌のメンバーで、「破折歯は抜歯」という歯科の常識は
必ずしも当てはまらない、「破折歯接着保存法」という治療を少しでも
多くの方に知っていただくため、8月31日(土)午後から、エルプラザ
にて市民フォ-ラム開催を準備しているところです。
詳しくは、後日あらためて「なえぼほのぼのブログ」にてご案内させて
いただきますが、ぜひ多くの方に聴きに来ていただければと思う次第です。

よみがえれ、歯! です