FC2ブログ
2013.05.25

20代で重度の歯周病に罹患していたⅠさんの13年後の今

 札幌もようやく桜が開花しましたが、相変わらずの肌寒い日が続く
今日この頃です。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

先月、朝起きたら突然右肩甲骨に強い痛みが・・・。
2年前にも全く同じ症状が出て、人間ドックで調べてもらったのですが
異常なしとのことで、その時は痛みが1ヵ月くらい続きました。

湿布を貼ったり、ストレッチをしたり、温泉、マッサージに行ったり、
またヨガをされている患者Yさんから「足首を回すと良いよ」と
嬉しいアドバイスを受け 、夜な夜な足首をぐるぐる回して
リハビリに励みました。
2~3週間でようやく痛みは治まりましたが、現在もまだ右腕から
右小指にかけてのしびれは完全に消えてはいません。

歯科医という仕事は長時間座って細かい作業をする仕事であり、時には
見えないところを中腰で屈み込んだりするので結構腰に負担がかかります。
年齢と共に腰も丸くなり、スタッフにも時々注意されます(笑)。
できるだけ自分の健康を考え、こまめに運動をしなければと思う次第です305520.gif

 冒頭話がそれてしまいましたが、本日は患者 I さんのお話をさせて
いただきます。 Ⅰさんは平成12年、今から13年前当院に来院されました。
当時20代で、主訴は歯ぐきが腫れるということでした。

見ための歯ぐきも普通で最初は一見して歯肉炎かな?(歯を支えている
骨には影響が出ていない歯周病の初期段階)と思われたのですが、
お口の中を精査させていただいたところ、第一大臼歯を中心に著しい
歯肉の腫れが見られました。

初診時前歯部
初診時右上下臼歯部

ブラッシングはすでに1日4~5回、1回2~3分行っており、
清掃状態の良いきれいなお口の中でした。
全顎のレントゲン写真を撮らせていただいたところ、一見問題なさそうに
見えた前歯は重度、その他の歯にもかなりの骨吸収が見られました。

平成12年初診

                    平成12年 初診時

「次回現状説明を行います」と予告しその日は終了としました。
私は開業前、4年半ほど歯周病治療に長けた師匠に師事していた
ため、他院からのご紹介等で何人か同様の患者さんを実際に見たことは
ありましたが、I さんはいわゆる広汎性早期発症型歯周炎(現在は
広汎型侵襲性歯周炎と改名)の患者さんでした。

当時開業して3年半、勿論20代でここまで重度の患者さんの
歯周病治療は初めてでした。通常の治療に反応するのかという
一抹の不安と共に、I さんはまだ20代でしたので次回どう現状を
ご説明するかずいぶん悩みました。さんざん悩んだ挙句、結局ありの
ままを伝えることにしました。

現状説明後、うすうす歯周病ではないかという自覚症状はあったと
いうもののご自身の現状を知り、おそらく内心はかなり落胆されていた
のではないかと思います。
しかしながら I さんは「わかりました。歯磨きは一生懸命頑張ります」
と努めて冷静にはっきりとした口調で言われました。治療に対して
前向きに取り組もうとする彼女の気持ちを察し、私自身も現在
持てる技術、知識のすべてを使ってべストを尽くそうと思いました。

すみれ

 当時、日本のBML社でようやく歯周病原性細菌のPCR細菌検査が
出来るようになった頃でしたので、治療と並行して歯周病の細菌検査も
行いました。

I さんのように20代で重度の患者さんは、歯周病原性の強い細菌、
特にA.a.菌(アクチノバチルス・アクチノマイセテムコミタンス)の感染
が歯周病の進行に強く関与していることが疑われます。
検査の結果、I さんもA.a.菌の保菌者だということがわかりましたので、
歯肉縁上、縁下のプラークコントロールを徹底すると共に、除菌療法を
行いました。

初診から12年後、メインテナンス時のレントゲン写真です。

13年後現在

               平成24年 メインテナンス時 

初診から13年後の現在まで、1歯も抜歯になることなく健康な状態を
維持しています。現在は遠く道北から年に数回、メインテナンスに来院
されています。
当時30代だった私は50才を越え、 I さんも20代から40才と
お互い歳は少し取りましたが 、こうやって I さんの主治医として
長く関わらせて頂き、「先生に歯を救ってもらった」と言ってもらえる
ことは歯科医師として本当に嬉しいことです。

I さんほど重症ではなくても、20代、30代で歯周炎に罹患し、そのまま
適切な治療がなされず歯がなくなっていく患者さんは結構多いのです。
歯がなくなっても良いと思っている患者さんはあまりいないと思いますので、
ある年齢まではご自分がそういう患者であるとか、そういう患者の予備軍
であるということを強く自覚していない(あるいは知らされていない)だけ
かもしれません。歯はなくなってからでは遅いのです。

13年前の当時から比べると、私自身臨床経験や知識もレベルアップし
現在は再生療法を駆使することでさらに高度な歯周病罹患歯も
残せるようになっています。

歯周病で歯を失いたくないと願っている多くの患者さんのために、
歯周病治療に特化した歯科医師として力になって差し上げたい、
このブログを書きながらあらためてそう思うのでありました 

スポンサーサイト