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2016.12.19

歯根破折を主訴に来院された患者さんに対し、矯正治療で対応したケース

 今日は晴れの良い天気ですね。
すっかり根雪になってしまった札幌ですが、年も押し迫り皆様におかれましては
いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

昨日は日本臨床歯周病学会の理事会と選挙があり、前日土曜日から東京でした。
土曜日は13時過ぎまで南区の歯科医院さんでインプラントのオペを行い、
そのまま急ぎ車で千歳に向かったのですが、12月この時期の土曜日、
三井アウトレットモールの近くは大渋滞(OД○;)ナァ~ニィィ?!

結局、北広島の高速インターまで1時間半近くかかってしまい(^^;、
幸い新千歳空港の駐車場で待ち時間がなかったこと、フライトは16時半でしたので
何とか間に合いましたが、冬の北海道、やっぱり車での移動は時間が読めないな~と
痛感しました。

本日は右下奥の歯が割れてぐらつくということで、西区の歯医者さんからのご紹介で
来院されたHさんのケースをお話しさせていただきます。

Hさんは苫小牧からの来院で、当初右下奥の割れている歯の治療を期待されていたと思うのですが、
レントゲンと歯周ポケットの検査から、割れの周囲の歯根膜、歯槽骨の喪失が大きく、接着保存治療
では改善が困難な状態でした(図1)。

図1

                                図1

そのため今後の治療としてブリッジは避けたいとの希望がありましたので、
1.矯正治療
2.インプラント治療  の二つの方法をご提案させていただきました。

Hさんは時間がかかっても、できるだけ自分の歯を使った治療を希望されており、割れている歯根のみを
抜歯させていただき(半分の根は保存)、矯正治療で対応することになりました。
治療期間は1年とお話しさせていただきました。

矯正治療の経過です(図2)。

図2

                                図2

写真1の✖の歯根を抜根し、もう一方の歯根をまずは奥(向かって左側)に移動させ、
(写真2の←、金属冠は白い仮歯に変わっている)、次に内側に大きく倒れている小臼歯を起こすために
ミニインプラントを植立。これをアンカー(固定源)として徐々に外側に起こしていく矯正移動を行いました。

また内側に大きく倒れていた小臼歯の上の歯は、写真3にありますように両隣接歯に比べて
挺出しており(下に出ている)、下の歯を外側に起こしてくる際にぶつかってしまうため、
併せて上の歯も少し圧下(上へ移動)させました。
矯正治療後、保存した歯根にセラミックを入れた状態が写真4で、写真1から4まで初診時に
お話ししていた通り、1年で治療終了となりました。

図3は初診時、治療終了時の口腔内写真とレントゲンです。

図3

                                  図3

矯正後の後戻りを防止するため、リテーナーを装着していただき現在メインテナンス中です(*´∀`*)

時間はかかりましたが、ご自分の歯をできるだけ残し、また矯正治療により内側に倒れて
噛み合わせに参加していなかった小臼歯をうまく利用し、右下奥の治療を終了することができました。

遠方から1年間(通院回数は20回)通ってくださったHさん、本当にお疲れ様でした。

来年雪が溶けたらあらためて今度は虫歯の治療で通院したいとのこと、遠方恐縮ですが本当に嬉しい限りです。
今後も長期に渡り口腔健康を維持できるよう、スタッフ一同しっかり対応させていただきますので、末永く
メインテナンスにご来院くださいますよう、よろしくお願いします(*´∀`*)















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2015.12.18

ブラケットとワイヤーを使用しないマウスピース矯正

  今年も残すところあと僅かとなりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
雪の少ない過ごしやすい12月でしたが、昨日からの降雪でここ札幌も朝は30cmほど
雪が積もっていました(*´∀`*)いよいよ本格的な冬の到来ですね。
一年の疲れもだいぶ溜まってきている上に、寒いとついつい運動不足になりがちです。
私自身も来年のマラソンシーズンに向けて、冬のうちから少しずつ体を作っていかなけ
ればと思っているところ(実際にはなかなか ^^; )です。

本日は矯正治療を希望して、と言っても当院は矯正専門ではないのですが、ネットで検索
され、ブラケット矯正ではなくマウスピースタイプの矯正治療を希望して来院された
Aさんのお話をさせていただきます。
Aさんの主訴は「前歯の歯並びをきれいにしたい」でした。

初診時口元

上の前歯の前突(出っ歯)感が強く、口元も締まりにくい状態でした。
上下顎ともきれいに歯を並べるためには顎のスペースが不足しており、叢生(歯が互い違いに
並んでいる状態)となっていました。
前歯だけでなく左上奥歯もスペース不足でしたが、どこかでスペースを確保しながら
上の前歯の前突感も改善しなければなりません。

初診時上顎
初診時下顎
         初診時上下顎歯列

全歯列の矯正治療はやや難しいと判断し、全顎矯正を希望される場合は信頼できる矯正専門医を
ご紹介しますとお話しした上で、前歯のみの矯正治療でどのくらいAさんのご希望に応えられるか、
矯正治療後をシュミレーションした歯列模型(フィニッシュ模型)を作製して矯正治療前後の状態を
見ていただいたところ、当院でのマウスピース矯正(アライナー矯正)をご希望されたため治療に着手しました。

セットアップ模型
     矯正治療後のフィニッシュ模型

矯正治療期間は当初は1年と考えていたのですが、もともと顎位が少し右側に偏位していたため
(右側の口角が左側に比べて上がっている)、下顎の歯並びとしては左右対称であっても、
上顎あるいは顔面正中から見ると左右対称ではなく、口元からの見え方にも左右差が出てしまい
(口元自体がそもそも左右対称でない)、その修正に更に半年以上かかってしまいました。
しかしながら最終的にはAさんにも満足いただき、先日矯正治療が無事終了しました。

矯正治療前、後

今回使用したマウスピースタイプのアライナー矯正には、利点も多いのですが欠点もあります
(HPにも掲載しています(*´∀`*))。
  
利点                                      
1.透明で目立たない
  人に気づかれにくく、職場や学校で目立つことなく矯正をすることが可能です。
  歯並びは治したいが、今更矯正の装置を付けるのは・・・という方には最適です。

アライナー矯正装置と装着時

2.矯正装置が取り外せる
  はずしたい時にはご自分で取り外しが可能です。人前で話をしたり、大切な会合で会話を楽しみ
  たい時、また普段食事や歯磨きの時にも取り外すことができます。

3.違和感が少ない
  ワイヤーやブラケットのような装置自体の異物感が少ない。

4.歯科治療と並行しながら行うことが可能
  アライナーはそのつど型を取って作り直しますので、歯科治療と並行しながら矯正治療を進める
  ことが可能です。

欠点
1.適応症が限られている
  奥歯の咬み合せに問題のない前歯部の叢生(乱ぐい歯)、矯正治療後の後戻りケース、すきっ歯
  のスペースの閉鎖などが主な適応症です。抜歯が必要なケースや上下顎の大きな不調和、
  歯の平行移動などには不向きです。

2.細かな修正が難しい
  装置を噛みしめる力が歯を動かす矯正力となるため、ブラケット矯正のように術者主導で
  矯正力をコントロールすることが難しい。

本格的な矯正治療はやはり信頼できる矯正専門医にお願いするのが一番ですが、歯科治療を
受けながら同じ歯科医院さんで、人知れず歯並びも治したいという方にはお勧めです。
ちなみにアライナーの装置で同時に歯のホワイトニングを行うこともできます!
ご興味のある方はぜひ当院まで(*´∀`*)