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2019.05.07

咬合性外傷を伴う重度歯周炎に罹患していたNさんの治療例

 今日から連休明けの仕事始めですね。
連休後半は天気も良く絶好の行楽日和でしたが、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。
私も5月5日の豊平川マラソン、何とか (;^_^A ゴールしました。
まあ、ゴールしたと言っても15km過ぎから歩いてしまったので、これまでの自己最低記録を塗り替えてしまいましたが  
練習不足と歳にはやはり勝てません。無理せずゴールしました。
春の暖かい日差しの中、2時間半走ったり歩いたりして少し日焼けしただけで十分健康的でしたが、6月の千歳JALマラソン
に向けてもう少し走れるようにしたいと思います。

話は変わりますが、これまでもブログで度々書いている通り、当院では各月でランチ会を行っています。
今回4月はホテルマイステイズプレミア札幌パーク1階(中央区南9条西2丁目) にあるFarm To Table TERRAで行いました。
室内なのにアウトドアのようなスタイルの地産地消の自然派レストランとして1年前リニューアルされたTERRAは、
スタッフが以前から気になっていたお店だったようです。

店内は高い天井が吹き抜けになっており、広い窓からは自然光も差しています。また通路以外のところには土や石が
敷き詰められてその間を小さな川も流れており、開放感があって静かで落ち着いた森林浴気分を味わえるお店でした。

店内内観

                      店内内観

ランチメニューはメイン料理(10種類くらいから選べます)にサラダバーとドリンクバーがセットになっており(下はビーフの
コロダッチグリル玉ねぎソース)、これに食後のデザートを頼みました。

料理と店内の様子
オーガニックな料理は味も色合いもボリュームもとても良かったですし、こういう開放的な雰囲気を楽しめるお店もなかなか
ないと思いますので、皆様、お時間がある時にぜひ一度行ってみてください。
ちなみに次回6月のランチ会はお休みし、その代わり7月にスタッフ全員でトマム一泊の医局旅行に行くことになりました。
医局旅行の様子は追々またこのブログでご報告させていただきます  

さて本題の令和元年最初の「なえぼほのぼのブログ」の治療例は、奥歯が全体にグラグラする、歯ぐきが腫れるとのことで、
平成27年に歯周病治療を希望して来院されたNさん(50代、男性)のお話をさせていただきます。
Nさんは3年くらい前から歯のぐらつきを自覚するようになり、前医で1本また1本と抜歯され、このままではどんどん歯が
なくなっていくのではないかと危機感を持って来院されました。

また歯ぎしりや噛みしめの自覚があり、上下顎大臼歯部において垂直性骨吸収と根分岐部病変の進行が著しく、ブラキシズム
が歯周病の進行における増悪因子となっていることが想像されました。

下が初診時のレントゲン写真です(歯周病の進行が著しい大臼歯部のみ歯周ポケットの深さを記載)

初診時レントゲン写真

左上(向かって右上)の一番奥の歯(左上7)はすべて10mm以上と完全に根尖まで骨がなく保存は不可能な状態でした。
また右上奥、右下奥の歯も一部の歯根で根尖まで骨がありませんでしたが、まずは根管治療を先行させました。
歯周基本治療、根管治療終了時の状態です。

歯周基本治療終了時

ここから歯周外科処置を行っていきました。
左上奥は冠を外したところ、6 は失活(神経が死んでいる状態)しており、また5 は冠の中で虫歯が進行していたため
いずれも根管治療が必要となりました。

左上5、6の状態

右上奥、左上奥のブリッジセット前の歯周ポケットの状態とブリッジセット後の口腔内です。
プロービング値はすべて3mm以内に収まっています。

上顎左右臼歯部の歯周外科処置後

次に下顎大臼歯の治療経過ですが、右下奥(8)は近心根のみならず遠心根も根尖に至る歯周ポケットが改善されないため
抜歯させていただきました。その空いたスペースを利用して本来あった位置に7 を起こし(アップライト)、手前の歯も一歯ずつ
手前に送っていきました。
元々欠損していた6部のスペースを確保した後、同部にインプラントを埋入しました。7 はブリッジ支台としては骨支持が少なく、
インプラントによる支持の増員が必要と判断しました。

右下臼歯部の治療経過

最後に左下奥ですが、5、6 欠損で骨支持の少ない7、8 が大きく近心傾斜した状態で残りました。

 左下7、8の状態(歯牙移植前)

右下臼歯部のように7、8をアップライトさせつつ順次手前に送っていく矯正治療は、固定源もなく時間も非常にかかる上に
2歯とも骨支持が少なく予知性も低いことから現実的ではなく、最初から抜歯して5、6 部にインプラントも考えましたが、
インプラントは対合歯の加圧要素となり得ること、7、8 を有効利用できないかと考え、8 近心根を5 部に90℃回転させて
歯牙移植、抜根して空いたスペースを利用して7 を遠心にアップライト、アップライトさせることでできたスペースに可能なら
8 遠心根を歯牙移植できないかと考えました(最終的には3からの連結固定)。

CTで3次元的な骨の状態を確認した上で、8近心根をまず5 部に移植しました。
歯牙移植はこれまで50ケースくらいは行っており、20年を超えるケースも持っていますが、このケースは抜歯したところ
術前CTで残存骨量を確認していたにもかかわらず健全な歯根膜がないと感じられ、これまで術中にこういう話を患者さんに
した経験はないのですが、「この歯は思っていたより健全な歯根膜がなく、もしかしたら生着しない可能性もありますので
術後の経過をみていく必要があります」とNさんにお話しした上で、歯牙移植を終えました。

術直後と移植2ヵ月の状態です。嫌な予感は的中しました。やはり健全な歯根膜がほとんどなかったようで生着しませんでした
(術前の歯周ポケットは浅く根尖付近の付着はありましたが、あらためて術前CTを見直してみますと、歯根周囲の骨はやや
透過性を増しており健全な状態ではないようにも見えます)。
CT所見で8の遠心根は近心根より更に条件が悪かったため、結局7、8は有効利用することができず、残念ながら抜歯となり
5、6部にインプラント埋入となりました。

左下臼歯部の治療経過
治療終了時と現在の状態です。
初診時リーマー(根管治療の器具)が破折していた左上犬歯(3)の根尖病変は、その後悪化して症状が出たため
補綴処置後に歯根端切除術を行っています。
現在まだ根尖部に若干の透過像を認めますが、術後6ヵ月でかなり改善してきています。

治療終了時の口腔内写真①

治療終了時の口腔内写真②

現在のレントゲン写真

初診時と比べると歯肉の状態はかなり改善していますが、数ヵ所に5mmの歯周ポケットが残存しており、また舌側からの
口腔内写真をみますと歯頚部にうっすらプラークの付着も認めたため、引き続きブラッシングの徹底に努めているところです。
またナイトガードを使用していただくと共に、咬合力のコントロールに関しても引き続きアプローチしていく予定でいます。

Nさんのようなブラキシズムによると思われる咬合性外傷を伴う臼歯部の重度歯周炎は、咬合力のコントロールは勿論必要
なのですが、歯周病の原因はあくまでプラークであることから(咬合性外傷は修飾因子)、歯肉縁上、縁下のプラークコントロール
を長期に渡り医患協同で徹底していくことが何より大切です。

治療経過の中で、残念ながら下顎左右の親知らず(8)と左下7は保存、有効利用できず抜歯を余儀なくされましたが、残った
22歯の残存歯が今後長期に守られていくよう、私たち医療側は温かく、さりげなく、大きな責任を持って見守っていかなければ
なりません。10年後、20年後、当院にきて本当に良かったとNさんに言っていただけるよう、スタッフ一同、協力し合いながら
研鑽していきたいと思います
















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Posted at 08:12 | 歯周治療 | COM(0) | TB(0) |
2019.02.18

中等度~重度歯周炎に罹患していたYさんとの20年(後編)(歯根外部吸収)

 皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

2月12日、競泳の池江璃花子選手が白血病であることを公表し、世界中に衝撃が走りました。私自身も東京オリンピック
を大いに期待され、健康を絵に書いたようなあの池江選手が白血病って・・・、と本当に驚きました。

些か身内の話になるのですが、今から50年前、充(たかし)伯父様(長兄)が41才の若さで、急性白血病で亡くなりました。
当時、東大理学部の助教授をしており、原子分子物理の研究で、東海村の原子力研究所や東大原子核研究所の大型装置を
使って実験を重ねていたそうです。現在、次兄の平(ひとし)伯父貴以下、父方の兄弟4人は皆健在で、年齢も85才を越えて
きましたので、当時、実験中の被爆であるとか、何かあったのではないかな~と、今なら助かっていたのではないか、そして
日本の物理学会に大きな業績を残されたのではないかと甥として大変残念な思いです。

50年前は不治の病と言われ手の施しようがなかった白血病ですが、その後医学は発達し、近年の急速な治療法の進歩
により、現在、若い世代の白血病は7割以上が治っているとの報告も聞きます。

俳優の渡辺謙さんも1989年、急性骨髄性白血病を発症し、再起はおろか生命も危ぶまれたことがありました。1年間の
闘病生活の後、治療を続けながら復帰され、定期的に入院治療を続けながら経過も良好に見えたのですが、5年後の
1994年に再発。しかしながら、再び俳優として復帰し、その後「ラストサムライ」(2003年)でハリウッドスターの仲間入り
をされ、現在、最初の発病から30年になりますが、お元気でご活躍されています。

池江選手もまずはしっかり治療に専念し、日本の最高の医療スタッフチームの元、一日も早く元気な姿を見せてくれること
を祈っております。そして病気を克服した暁には、やはり競泳選手として復帰し、オリンピックで活躍する姿を見せていただけ
たらな~と切に願っています。

さて本日は、「中等度~重度歯周炎に罹患していたYさんとの20年(後編)(歯根外部吸収)」ということで前回の続きを
お話しさせていただきます。

Yさんは今から20年前の1999年(当時49才)に初診来院され、歯根外部吸収を認めた右上奥の治療を行いました。
「将来的に外部吸収が進んでくると7番は保存できなくなりますが、下に8番がありますので、この歯をうまく利用することが
できます」とお伝えした上で、翌月ブリッジを装着しました。

1999年初診時のレントゲン写真

その後、2015年(65才)までの16年間、前回のブログでお話ししたとおり、その間、何度か歯周病の現状と治療の
必要性をお伝えしたのですが、歯周治療を行わないまま経過してしまい、奥歯でしっかり噛めなくなるまでに重症化して
しまいました。

2015年再来時レントゲン写真

右下最後臼歯(向かって左下の一番奥の歯)と左上最後臼歯は噛むと垂直的にかなり動揺しており、全体に9~10mmと
深い歯周ポケットを認めました。また左上の奥2歯はぐるっとⅢ度の根分岐部病変を認め、この3歯は保存が危ぶまれる
状態でした。

またYさんは関節リウマチの治療を受けており、主治医に照会したところ、できるだけ休薬は避けてほしいとの要請があり
ましたので、臼歯部は重度の歯周炎でしたが、歯周外科処置は行わず、歯周基本治療のみにて対応していこうと考えました。

16年前にセットした右上奥のブリッジは、49才から65才までの16年間維持されていましたが、7番の外部吸収は進み、
8番(親知らず)は写真にありますように外側に歯冠を出しておりました。

右上奥、ブリッジセット16年後

平成27年(2015年)9月から、歯周治療を開始しました。
歯周治療の成功とは、健康な歯周組織を長期に維持することだと考えていますので、そのための大切なポイントが
あります。
① 患者さんご自身による良好なプラークコントロール
   歯と歯の間、歯と歯ぐきの間のプラーク(歯垢)を日々きれいに除去すること
   私は特に「ブラッシング時間を長く」ということを必ず最初にお話ししています (おおよその目安は1日1回は15分以上)
   時間をかけて磨き込まれた歯ぐきは経年的に硬い抵抗性のある歯ぐきへと変化していきます
   磨き込まれた硬い歯ぐきはちょっとやそっとのプラークくらいではビクともしません
② 患者さんご自身によるメインテナンスの継続
   これも最初のモチベーション時に必ずお話しし、治療中の節目、メインテナンス中にも何度も繰り返し
   お話しします
   大切な話は最初にできるだけシンプルに伝える、大切な話は繰り返し伝えるということが重要だと
   考えているからです  
③ 医療側による歯肉縁下の起炎物質の徹底除去
  患者さんがどんなにブラッシングを頑張っても、またメインテナンスを継続しても、ここが徹底除去されないと
   メインテナンスに通いながら歯周病で歯がなくなっていくということになってしまいます(メインテナンスを継続
   したからここまで持ったというのは詭弁です)
④ 医療側による質の高いメインテナンス治療
  10年くらいは全く再治療なく経過する患者さんも少なくないのですが、何らかのご事情でメインテナンスの空白期が
  生じたり、ブラッシングレベルも皆ピカピカというわけではありませんので、経過の中で歯、歯周組織に悪化が見られた
  時(どこが悪化しやすいかという予測と悪化に早く気づくことが大切)、適切な対応によりリカバリーさせなければ
  なりません。そこに医療側のレベルの差がはっきり出ます。
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歯周病は歳を取ったらなるものではありませんし(白髪になったり、髪が薄くなったりするような加齢変化ではない)、
歳を取ったら歯はなくなっていくものでも決してありません。歯周病は治癒、安定、維持が可能な病気なのです。

1999年の初診来院から2015年までの経過の中で、何度か歯周治療の必要性をご説明してもなかなか歯周治療に
踏み切らなかったYさんでしたが、担当歯科衛生士 I さんの指導の下、まずは時間をかけたブラッシングに励まれ、
その後、I さんによる歯肉縁下の起炎物質(歯石、プラーク、感染セメント質)の除去がなされていったことで、
再来時、歯肉辺縁に見られた赤み(赤いところは歯ぐきに炎症の見られるところです)は少しずつ改善していきました。

2015年再来時の口腔内写真

                  2015年再来時の口腔内

あらためて口腔内写真を見てみますと、再来時、Yさんはまずまずのブラッシングであったことがわかります
(プラークはそれ程付いていません)。これまでの歯周治療におけるモチベーション(働きかけ)の効果があったのかも
しれません。しかしながら歯周病は進行し深い歯周ポケットが見られたのは、歯肉縁下の起炎物質が原因と思われます。

Yさんのような進行した歯周病、特に臼歯部の複雑な根分岐部内の徹底除去は、歯周基本治療のみでは困難であるため、
再評価後、確定処置として当院では歯周外科処置を行っています。
しかしながらYさんは前述したように歯周外科処置ができませんでしたので、より時間をかけた丁寧な歯周基本治療を
心掛け、8ヵ月後メインテナンスに移行しました。
2016年5月メインテナンス移行時には、まだ13歯に5~6mmの歯周ポケットが残存していました。

歯周病の進行が著しかった右下奥と左上奥、歯根外部吸収を起こしていた右上奥の治療経過です。

右下、左上奥の治療経過

右上奥の治療経過

右上奥の矯正的挺出(矯正力で引っぱる処置)は、固定源を同側の手前の歯に持っていくことも考えたのですが、
時間がかかりそうでしたので、対側にアンカースクリューを入れそこを固定源にして挺出させ、おおよそ2ヵ月で手前に少し
寄せながら歯軸を修正しました。その後、7ヵ月間固定を行った後、ブリッジとしました。

ブラケット除去時、歯根周囲の骨は心もとない状態に見えますが、1年8ヵ月後のレントゲンでわかりますように
歯根膜の存在するところまできれいに回復しています。

現在のレントゲン写真です。

2019年現在の状態

残念ながら口腔内写真が撮影されておらず 、次回3月来院時に撮らせていただいたらアップしたいと思います。

メインテナンスの経過の中で、適時、担当衛生士の I さんが歯肉縁下の起炎物質の徹底除去に努めた結果、Yさんの
ブラッシングと相俟って、現在左上奥に2ヵ所、5mmの歯周ポケットを認めるのみとなりました。
またⅢ度の根分岐部病変に罹患していた左上奥2歯は、抜根せず良好に維持されています。

world standard(世界水準、この言葉は私は嫌いなのですが  )において、上顎大臼歯部のⅢ度根分岐部病変は
抜歯してインプラントもしくは保存する場合においても、支えの少ない歯根の抜根(部分的に歯根を抜歯する処置)なのですが、
Yさんの場合は抜根せずそのままメインテナンスできる状態にまで改善しました(そもそも抜根する場合には、再度内科で
休薬しないと処置ができないのですが)。

その理由としては、① 根分岐部内の処置( I さんが行っています)が徹底されていること ②根分岐部における骨欠損
の形(水平的な骨欠損に近いこと、但しYさんの場合は9~10mmの歯周ポケットがありましたので、必ずしも水平的とは
言えないのですが) ③患者さんのブラッシングレベルとメインテナンスの頻度(質も関係) ④歯肉の質(線維性の厚い
歯肉は歯周基本治療に反応が悪く、歯周ポケットが浅くなりにくい)が考えられ、これらの条件が重なった結果と考えています。

1999年、右上奥の歯はかなり歯根外部吸収を起こしていましたので、その時点で抜歯し、矯正治療を提案される先生も
おられるかと思います(抜歯して終わりの場合がほとんどかな )。
しかしながらその後2015年まで16年間この歯が持ったこと、その間歯周治療はされなかったこと(もしかしたらかなり
歯周病が進行してしまっていたかも)、右上奥のブリッジは結果として65才からの装着となりましたので、ここからの15年、
20年維持できると考えますと、寿命を全うできる可能性も十分あると思います。

この歯は文字通り、持つところまで持たせる歯ではありましたが、Yさんの49才から65才までの16年間、機能してくれました
(結局、20年間で抜歯はこの歯だけです)。

今後もご自身の歯を大切にしながら、勿論お体具合にも十分留意され(歯の健康維持の前提として、お体の健康がしっかり
維持されなければなりませんし、「歯周病は万病の元」と言われるように、あらゆる病気との関連性が示唆されていますので、
歯の健康維持は全身の健康維持にも少なからず貢献するものと思っています)、今後も末永く健康な状態でメインテナンス
にご来院いただけることを願っております。

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Posted at 14:12 | 歯周治療 | COM(0) | TB(0) |
2019.02.11

中等度~重度歯周炎に罹患していたYさんとの20年(前編)(歯根外部吸収)

 こんにちは、毎日寒いですね、なえぼ駅前歯科の大村です。
本日は三連休の最終日、朝からニュースでやっていましたが、最強寒波により関東の至る所で雪が降っており、
交通機関にも障害が出ているようです。
皆さん、くれぐれも滑ってけがをしないよう、足元には細心の注意を払って外出してくださいネ

北海道でも先日9日の早朝、十勝(足寄郡)の陸別町で-31.8℃を記録しましたし、札幌も8日には1日中-10℃を
下回るという40年ぶりの寒さとなっており、さっぽろ雪まつりで海外や本州から訪れた観光客も、きっと北海道の寒さを
実感されているのではないかと思います。本日いよいよ最終日。

昨日は、先日6/2(日)に開催される千歳JAL国際マラソンハーフにエントリーしましたので、早速スポーツジムにて
最近さぼっていたランニング&筋トレを行いました。

50才まではあまり衰えを感じなかった筋力も、50才を過ぎてから少しずつ衰えを感じるようになりました。
昔は10kgの米袋も左右の肩にそれぞれひょいひょいっと持ち上げて運んだものでしたが、最近は10kgでも重く感じる
ようになりました。年始には23才になる三男と久しぶりに腕相撲をしたところはじめて負けてしまいました 
 (尤も私は左利きですが)。

やはり常日頃から、ストレッチをする、筋トレをする、階段の上り下りをする(平地にくらべると登れなくなってきました~ )、
そしてジムや外で走ることを心掛けないと、これから10年以上先、健康な70才を迎えられないな~と思います。
今年は(今年こそ?)体をしっかり絞って走り込み、40代の頃のようにハーフを2時間くらいで走れるようにしたいと思います。

さて本日お話させていただく患者Yさん(初診時49才、女性)は、今から20年前、右上奥のブリッジが外れたとのことで
来院されました。
初診時のレントゲン写真です。

1999年初診時のレントゲン写真

右上奥の歯(7番)の下から親知らず(8番)が頭を出しそうになっており、7番の遠心頬側根の根尖(赤矢印)はすでに外部
吸収による歯根吸収を生じていました。

「将来的に外部吸収が進んでくると7番は保存できなくなりますが、下に8番がありますので、この歯をうまく利用することが
できます」とお伝えした上で、翌月ブリッジを装着しました。その時はここだけの治療を希望されていましたので、歯肉に
腫脹を認めた左上臼歯部だけレントゲン写真を撮影し、歯周病の現状を伝えました。

それから2年後。

2001年再来時

今度は左上の前歯が取れたとのことで来院、取れたのは2回目とのこと。根管内には虫歯を認め、金属ポストの適合も
ルーズでしたので再製を勧めました。
またその際、歯周ポケットの深い左右下奥のレントゲン写真も撮影し、再び歯周病の現状を説明しましたが、自覚症状も
なかったため上の前歯の治療のみで治療は終了してしまいました。

その後はしばらく来院がありませんでしたが、2010年、前回来院から10年ぶりに左上奥の歯ぐきが腫れて痛いとの
ことで来院されました。

2010年再来時レントゲン写真

全顎レントゲン撮影を行ったところ、臼歯部を中心に中等度以上の歯周炎を認めましたので、現状と歯周治療の
必要性をお伝えしましたが、その時も1回のみでの来院で中断となってしまいました。

そこから更に5年後の2015年の来院時には、奥歯でしっかりものが噛めなくなるまでに歯周病は進行しており、
ご自身の歯の将来に不安を感じて歯周治療を希望されました。
下が再来時のレントゲン写真と歯周ポケット検査7mm以上(歯周病が重度)の部位です。

2015年再来時レントゲン写真

初診から16年が経過し、49才であったYさんは65才となり、歯周病もかなり進行していました。
右下最後臼歯(向かって左下の一番奥の歯)と左上最後臼歯は噛むと垂直的にかなり動揺しており、全体に9~10mm
と深い歯周ポケットを認めました。また左上の奥2歯はぐるっとⅢ度の根分岐部病変を認め、この3歯は保存が危ぶまれる
状態でした。

またYさんは関節リウマチの治療を受けており、主治医に照会したところ、できるだけ休薬は避けてほしいとの要請が
ありましたので、臼歯部は重度の歯周炎でしたが、歯周外科処置は行わず、歯周基本治療のみにて対応していこうと
考えました。

16年前にセットした右上奥のブリッジは、49才から65才までの16年間維持されていましたが、7番の外部吸収は進み、
8番(親知らず)は写真にありますように挺出し、外側に歯が出てきておりました。

右上奥、ブリッジセット16年後

さてその後どのように治療が行われ、初診から20年後の現在、Yさんの口腔内はどのようになっているのか。
この続きはまた次回にさせていただきたいと思います。

本日の札幌は久しぶりに穏やかな冬晴れの天気ですので、これから午後はぶらっ~と出かけようと思っています
(いつも仕事に追われているので  、仕事が溜まっていないのは久し振りかな~)。
あ、今日は北海道歯科医師会館で北海道歯科産業さんのデンタルショーがある日でした
常日頃お世話になっている営業の I さんも1日仕事で出ていると言っていたので、まずは顔を出さなければ(笑)。


Posted at 11:05 | 歯周治療 | COM(0) | TB(0) |
2019.02.07

歯周治療を希望して来院されたNさんとの10年

 毎日本当に雪が降りますね。
皆様いかがお過ごしですか、なえぼ駅前歯科の大村です。
今週4日(月)からさっぽろ雪まつりが開催されていますが、今年は記念すべき第70回ということで、1950年の第1回
(当時第1回とは言いませんでした)、地元の中、高校生が雪像を大通公園に設置したことをきっかけとして始まった
ということがニュースでも紹介されていました。

1955年から自衛隊が参加して大規模な雪像作りとなり、1960年くらいからは本州の観光客も増えて、札幌の雪まつりは
日本の雪まつりへと発展していったそうです(さっぽろ雪まつり公式サイト「さっぽろ雪まつりの歴史」から一部引用)。

私が生まれたのもちょうどこの頃で、自衛官であった父(東京出身)が富士学校からの最初の赴任地として北海道を希望
した理由の一つが「雪まつりの雪像を作りたかったから」??というのを聞いたこともあり、当時札幌の雪まつりで雪像を
作るというのは、本州の自衛官にとっては憧れであったようです(ちなみに父は札幌には赴任できず名寄となり(笑)、
私は名寄で出生しました)。

大坂なおみ選手の雪像

      大坂なおみ選手の雪像

話は変わりますが、先日、今年初めての「ランチ会」を行いました。
今回の場所は手堅く?、JRタワー35階のスカイレストラン「丹頂」で、和食の二段弁当をいただいてきました~。
以前にもこのブログで度々ご紹介していますが、当院では2ヵ月に1回「ランチ会」を行っており、当日は朝9:30から
2時間だけ診療を行った後、皆で食事に出かけ、病院に帰ってからは17:00までお休みタイムとしています
(尤も私はこの時間、普段から溜まりがちな仕事を一気にやっていますが、笑)。

恒例となった自撮り写真(前回はスタッフの I さんが自前の自撮り棒を持参していました、笑)、お品書きと実際に
いただいた料理です。

2月のランチ会

現在糖質オフを心掛けている私ですが、ヘルシーなメニューにもかかわらず、お代わり自由な牛蒡の炊き込みご飯を
追加で食べてしまいました 次回は4月の予定で、今度はどのようなお店を探してくるのか密かに楽しみにしています。

今年は(近場でも良いので)社員旅行に行きたいな~とスタッフのFさんが言っておりますので(笑)、6月22日(土)、23(日)の
日本臨床歯周病学会年次大会(於札幌コンベンションセンター)後の反省会も兼ねて 、計画できたらと思っているところです。

さて本日は歯ぐきが弱く、歯周病治療を希望とのことで、2009年1月に来院されたNさんのお話をさせていただきます。
これまで通院していた歯科医院もあったそうですが、娘婿さんの「ここがお勧め」という当院の評判を聞いて来たとのことでした。

Nさんの初診時のレントゲンと口腔内写真です。

初診時レントゲン

初診時口腔内

口腔内はプラークの付着もほとんどなく、1日2回、1回15分くらいブラッシングを行っているとのことでしたが、
右上、左上、左下の奥歯はかなり歯周病が進行しており、右下奥も延長ブリッジの支台歯である奥の歯(5番)に垂直性の
骨吸収を認めました。

右上、左上、左下奥の初診時と治療終了時の状態です。

初診時と治療終了時の状態

右下奥の延長ブリッジは5番にかかる負担が大きいと判断し、6部はインプラントで対応しました。
また前歯部は右下1番が唇側に出ていて、右上2①(失活歯)を突き上げていましたので、 矯正治療により前歯部のバランス
を整え、歯間部の隙間を閉鎖させました。

初診から10年後(治療終了から9年後)の現在です。

初診から10年後の現在

現在の口腔内

現在の口腔内(臼歯部舌側)

補綴処置は一部初診時のままのところもありますが、再治療なく経過しています。
初診時歯周病が重度であった右上、左上、左下の奥歯は、77才という年齢によるブラッシングレベルの低下や唾液の量、
質の変化により、初診時と比べるとややプラークの付着を認めますが、概ねメインテナンスを継続されたことで、現在は
健康な歯周組織を維持しています。
メインテナンス期間中の9年間には、体調が不良の時期やそれに伴いブラッシング時間が短くなったり、メインテナンスの
空白期もあって歯周病が悪化した時期もあり、最終的には再度歯周外科処置も行い歯肉縁下のプラークコントロールの
徹底に努めました。
矯正治療を行った前歯部は1年程リテーナーを装着していましたが、現在少し後戻りが見られます。

前回のメインテナンス時、初診から10年問題なく経過していることをお話ししたところ、思いがけずNさんから「先生の
ところに来て良かった。歯がしっかり残っているのが嬉しい」とお褒めの言葉をいただきましたが、私の方こそいろいろ
大変な時期にずっと私を信頼して通ってくださり、本当に感謝しております。

ご旅行が大変お好きなNさんですので、旅先での四季折々の美しい景色を眺めながら、地元の美味しい食材をご自分の
歯でしっかり食べ歩いていただき、いつまでもお元気に来院して下さることを願っております。

Nさんの治療は一見すると地味な治療で、歯周治療も臼歯部はⅢ度の根分岐部病変を抱えてはいたものの、普通に歯周
外科処置にて対応したケースですが、予後の難しい歯を保存して10年トラブルなく維持(まだ治療終了から10年経っては
いませんが ) というのは私のまず最初の目標でもあります。

そこから先、15年、20年という長期の維持は、単に見立てや治療技術だけでなく、治療終了後の炎症と力の適切な
コントロールの継続(そこには患者さん自身の個体差も勿論あると思います)、そしてその継続は医患双方が健康で
互いの信頼関係が続いていかないと成立しません。

最終的にはそこに歯科医療の本質があり、やりがいがあって、「患者さんと長くかかわる歯科医療の実践」というのは
私の最終目標と言えるかもしれませんし、究極の目標は親子二代で診るということになるのかもしれません

最後はとりとめのない話になってしまいましたが、次回は引き続き、中等度~重度の歯周炎患者さんのケースをお話
させていただく予定ですので、またよろしくお付き合いください。













Posted at 23:13 | 歯周治療 | COM(0) | TB(0) |
2018.12.17

治療方針に悩んだ重度慢性歯周炎患者さんの治療例(再生療法、歯牙移植)

 札幌もすっかり寒くなりましたね。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
12月8、9日の両日は仕事で東京に行っておりました。
9日(日)には東京に住む長男たちと丸の内ビルでランチを予定していたのですが、待ち合わせ時間まで1時間以上
時間があったので、皇居を散策してきました。ちょうど皇居敷地内の乾通りが一般開放されており、多くの人が皇居を
訪れていました。当日は10℃と東京としては寒かったようなのですが、札幌と比べると別世界!札幌の10月上旬の
気候でまだ紅葉が見られました。

乾門と乾通りの紅葉

京橋、日本橋、銀座方面はたまに仕事で行くことがあり八重洲口は利用するのですが、東京駅の顔とも言うべき丸の内側は
2012年10月の保存・復原工事が完了してからは初めてでした。一番下の娘がくまモンの大ファンで(笑)、いつも銀座の
くまモン館でお土産を買うのが我が家の恒例となっており、時間があれば上野美術館のフェルメール展や湯島天神にも
行きたかったのですが今回はお預けとなりました 

今年も残すところあと2週間。新年をきれいな歯で迎えていただくため、年末いつも以上に忙しくしていますが
(加えて週末は忘年会のはしごですが、笑)、本日は2016年に冠が外れたとのことで来院されたNさんのお話をさせて
いただきます。

下はNさんの初診時の状態です。

患者Nさんの初診時の状態
                          Nさんの初診時の状態

詳しく診査を行った結果、右下奥(向かって左下奥)のブリッジが外れているだけではなく、上の左右5番の歯(いずれも延長
ブリッジの支台歯)が歯根破折、左下奥のインプラントが重度のインプラント周囲炎に罹患していました。更に右上奥(6番)も
ブリッジを外してみると3つの根がバラバラに割れてしまっており、一部の根には破折線も認めました。

Nさんは固定性のブリッジを希望していましたが、上の支えが足りないためインプラントによる増員を考えました。

上顎のブリッジの設計は?
インプラントによるブリッジ設計①です(〇、△のところがインプラント予定部位)。インプラントは左右臼歯部に4本埋入。

インプラントによるブリッジ設計第一案
次にインプラントによるブリッジ設計②を考えてみました。この案だとインプラントは右上奥の2本で済みます。

インプラントによるブリッジ設計第二案
しかしながら前歯部だけのブリッジだと、いずれの場合も右上犬歯(3番)の負担が大きいと思われ、万一この歯が
歯根破折で抜歯となった場合、2番も抜歯となって更に2~3本(計4~5本のインプラント)の追加が必要になりますが、
そのインプラント自体が前歯の骨の幅がかなりないため埋入が難しく、万一の時の次の一手はインプラントでリカバリー
が困難という事態が想像されました。

私も歯を守るため欠損部分にインプラント治療を勧めることがありますが、Nさんの場合はインプラントをうまく活用する
ことが難しいケースと判断しました。

右上6の治療経過

左下5の治療経過

現在初診から2年経過し、治療は終了しています。
初診時重度であった歯周炎もきれいに改善し、健康な歯周組織を取り戻しています。

治療終了時レントゲン写真

                      治療終了時レントゲン写真

結局、インプラントを使って上の受け止める側を増員するのではなく、歯牙移植を応用し、上下左右で受け止める側の
バランスを整え、上顎はすべての残存歯を連結固定しました。

治療終了時口腔内

                      治療終了時口腔内写真

また受け止める側を強化するだけでなく、加える側、咬合力のコントロールも併せて行っています。
Nさんの歯周病原性細菌に関しては、前回、前々回のブログでお話ししたPCR細菌検査を行った結果、
Aa菌、Pg菌とも感染しておらず、他のred complex(Pg菌に次ぐ歯周病原性の強い細菌と位置付けられている菌)
2菌種も數が少なく、結局除菌療法は行いませんでした。

これまで歯周病治療を受けたことがないとは言っても、プラークに対する感受性が高くなければ50代でここまで
歯周病は進行しません。仮に細菌に問題がないとすれば、体質とか遺伝によるものなのか、上顎は欠損歯列である
ため咬合性外傷の影響を受けて進行が早かったのか、疑問は尽きませんが、今後も注意深くメインテナンスを継続
していかなければならないことを再認識しました。

炎症と咬合力のコントロールを地道に継続し、Nさんには10年、15年とトラブルなく、良い状態を維持していって
ほしいと願っています。Nさん、今後も末永く当院に来院してくださいね 





  

  

  

 



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