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2018.03.17

40才で局所的に重度の歯周病に罹患していたHさんの16年後(フルブリッジケース)

 3月も後半に入りようやく雪も解け始め春もう少しと思っていたら、昨日今日の雪でまた一面雪の冬に逆戻り。
なかなか春遠い札幌ですが皆様はいかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

春と言えば移動の時期。
現在育休を取得している歯科衛生士のOさんがだんな様の突然の移動で4月から札幌を離れることになりました。
6月には復帰してくれると思っていましたので、唯々涙

昨年暮れに長男が生まれて家族が一人増え、母親として妻として札幌から遠く離れた道南の小さな町という慣れない
環境の中、いろいろ苦労もあるとは思いますが、だんな様と仲良く協力し合って楽しい家庭を築いていってほしいと思います。
いつかだんな様の転勤で再び札幌に戻り、一緒に仕事ができる日を待っています

さて本日は平成14年に当院の患者さんのご紹介で、歯周病の治療を希望して来院されたHさんのお話をさせていただきます。
主訴は上の左右の奥歯がグラグラし、歯ぐきが腫れているとのことでした。
レントゲン写真を撮らせていただいたところ、下は右下奥の親知らずとの間で歯周病が進行していましたが、14歯すべて
残っていて歯周病もそれ程進行しておらず、一方上はすでに14歯中5歯が抜歯となっており、更に〇印の3歯は根の先
まで骨がない状態でした。上のブリッジは2年前、近隣の歯科医院で入れたとのことでした。

平成14年初診時レントゲン

40才という年齢にもかかわらず歯周病が局所的にかなり進行しており、上の4番(犬歯の1本奥の歯)、7番(最後臼歯)
という噛む力の影響を受けやすい歯が喪失していることから歯ぎしりやくいしばり等の関与も疑われ、厳密なプラーク
コントロールと共に咬合力のコントロールが必要なケースと考えました。

〇印の3歯は自然挺出、根管治療を先行させできるだけ保存を試みましたが、歯周基本治療に反応せず、やむなく
右上の前歯と左の奥歯は抜歯させていただきました

左上奥(向かって右上奥)は大臼歯1歯しか残っておらず、しかもその歯の根分岐部病変は進行しており(Ⅲ度根分岐部病変)、
右上奥も保存の難しい4番を抜歯してしまうと1歯のみの残存となり、歯周病のみならず歯根破折のリスクも大きく固定性の
ブリッジは困難と考えました。

今なら右上奥にサイナースリフトによる骨造成を行い、2本インプラントを埋入することで右上奥の残存歯を守ろうと考えると
思いますが、当時サイナースリフトは考えていませんでした。
最終的に、右上4番は歯周再生療法を行って保存を試み、上顎のすべての歯を連結固定してブリッジで対応しました。

Hさんご自身による良好なブラッシングレベルの維持、メインテナンスの継続(1~3ヵ月毎)、また日中の噛みしめや
食事時の噛み方(強く噛み切らない)を常に意識していただきながら夜間はナイトガードの装着と、炎症のコントロールを
行うと共に咬合力のコントロールも医患協同で厳密に行いました。

治療終了から14年経過した現在のレントゲン写真です。

初診から16年後の現在

再生療法前には根尖まで骨の喪失を認めましたが、

右上4番再生療法前

15年後の現在は骨のボリュームもアップした状態で維持されており、14年間1歯も抜歯にならず上顎のフルブリッジも
しっかり維持されています。

Hさんには「当院に来るまでは治療の繰り返しで歯がなくなっていたが、多少の初期投資をしてでも長く自分の歯を失わずに
済む治療が受けられて本当に良かった」と言っていただけ嬉しい限りです。正直このケースの長期予後はなかなか難しいと
考えていましたので、当時の自分としては最善と思う治療を行って、メインテナンス中はプラークコントロールと力のコント
ロールを繰り返し訴え続けました。

左上奥(向かって右上奥)の大臼歯(根分岐部病変Ⅲ度)が現状維持できているのは、治療の質、メインテナンスの質のみ
ならず、患者さんご自身が当院を信頼して長くメインテナンスを継続されているということが何よりも大きいと思っています。
私と同世代のHさんですが、この先も60才、70才とできるだけ長く現状を維持していただけたらと願っています。




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2018.02.14

初診時中等度~重度歯周炎に罹患していたTさんの20年後

 皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
一昨日は注目の女子1500mスピードスケートの高木選手、ジャンプノーマルヒルの高梨選手、二人とも
金メダルはなりませんでしたが、良かったですね~。高木選手は先ほど1000mでも銅メダル獲得、
道内選手大活躍です!

高梨選手は大本命と言われていた4年前のソチでまさかの4位、高木選手は史上最年少15才で出場した
8年前のバンクーバーオリンピック出場後、当然出場と思われていた4年前のソチでまさかの落選、二人とも
過去のオリンピックでの悔しい思いを胸に、本番に向けて「自分に勝とう(自分の今のベストを尽くし切ろう)」
とする強い意志と集中力を感じました。今後の日本人選手の活躍にますます期待したいと思います!

さて本日は平成10年、今からちょうど20年前に「上の前歯がグラグラで全く噛めない」という主訴で当院に
来院されたTさんのお話をさせていただきます。写真に見られるように、初診時Tさんの右上の前歯(中央向かって左の歯)
の歯ぐきは赤黒く腫れており、奥歯の歯ぐきも全体に赤みがあり(発赤)、歯と歯の間にはプラークの付着を認めました。

平成10年初診時の口腔内

右上の前歯は根の先まですでに骨がなかったため、歯根面の処置よりも根管治療、自然挺出を先行させ
その後に歯根面をきれいに取り除く治療を行いました。2回歯根面の処置を徹底的に行ったのですが、
時すでに遅しで回復して来ず、やむなく抜歯させていただきました(抜歯した歯根面はきれいに歯石が
除去されていました)。

初診時の右上前歯の状態

右上1の歯根面の状態

平成10年初診時のレントゲン写真

奥歯を中心に全体に中等度から重度の歯周病に罹患していましたので(レントゲン上の数字は初診時の
歯周ポケットで、7mm以上(重度)の部位のみ記載)、歯周病治療、根管治療、冠の再製を行い1年かけて
治療は終了となりました。当時はブラッシング指導、モチベーション、スケーリング・ルートプレーニング等の
いわゆる歯周基本治療に力を入れており、Tさんの場合も歯周外科処置を行うことなく歯周基本治療のみで
改善しました。

初診から20年後の現在

その後概ねメインテナンスは継続されて現在に至っておりますが、レントゲンの赤丸の歯が平成25年に
急に痛み出して神経を取った(その際ブリッジも再製した)以外は、20年間1ヵ所も再治療なく経過しています。

唯一、平成26年から28年まで1年半ほどの未来院があり、その際やや歯周病が悪化していましたので、
右上奥と左上奥に歯周外科処置を行いました(写真左上奥(向かって右上)は歯周外科処置2ヵ月後のため、
まだ歯ぐきが落ちくぼんだ形になっていますが、それ以外の部位においては、初診時と比較し健康なうすいピンク色に
変化しているのがわかるかと思います)。

平成28年時の口腔内

旦那様、息子さんたちも当院に来られており、Tさんからは「先生のところに来るまでは毎年必ずどこかが腫れて
治療を繰り返していたが、先生の治療を受けてからは全くなくなった。歯の治療って、頻繁にやり直す必要が
あるものだと思っていたけれどそうではないということを知りました」と全幅の信頼をいただいており、心の中では
大変嬉しく思っている次第です

上の前歯がグラグラで全く噛めないと52才の時に来院されたTさんも現在72才となり、治療終了時の27歯
残存を20年近く維持されています。前回のブログの最後にも述べましたが、日本人は50才で24歯程度残存
しているのですが、75才になると一人平均10本くらい歯がなくなっています。

歳を取ったら歯はなくなっていくものでは決してありません。
40代、50代の時に受けた全顎治療の質とその後のメインテナンス治療の質が重要で、どの歯科医院に通うかで
自分の歯の運命が決まると言っても決して過言ではありません。

歯科医院さんのHPを見ますと、最先端の医療機器や最新の技術の謳い文句につい目がいってしまい、それが
その医院の実力と思いがちなのですが、それ以前の問題として、基本的なことがルーティンに丁寧にきちっと
されているかどうか、歯周治療においては歯周外科処置や再生療法ができるかどうかではなく(私も再生療法を
謳ってはいますが )、その前提となる歯周基本治療が実はとても大切だと言うことが、Tさんの20年の経過
からわかると思います。

70才を越えてもまだまだ元気なTさん。お互いこれから更に歳を取ってはいきますが、健康に気をつけて
これからも10年、15年と末永くご来院ください(むしろ私の方が健康に気をつけなければならないかも )。

2018 札幌雪祭り








2018.01.07

HP掲載症例Part3 : 重度歯周病患者 Mさん(治療例7)の初診から15年後の現在

 今日の札幌は天気も良く絶好のスキー日和ですが、ただ今病院で仕事の最中です(笑)。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。
6日(土)から一応三連休なのですが、今日は朝から毎年企業健診にきていただいているM社の企業健診
結果を作成していました。先ほど郵送し無事完了、今度はブログを書き始めています。

年末、年始、普段あまり動かしていなかった腰、肩の筋肉を酷使したため、腰、肩に張りと痛みを生じて
しまい、昨日は豊平にあるステラはり・灸整骨院さんに行きました。電気、針、マッサージを1時間ほど
受けて重かった腰がだいぶ軽くなりましたが、もう少し加療が必要とのことでしばらく治療を継続する予定です。
年末多忙でランニングもほとんどできていなかったので、あまり負担を掛け過ぎないよう注意しながら、
このブログを書き終えたら走り(歩きかな?)に行こうと思っています。

本日は昨年8月から継続している、当院HPの重度歯周病治療例(治療例1,2,7)の最後、Mさん(治療例7)
の初診から15年後の現在をお話させていただきます。
Mさんが当院にお見えになられたのは、平成15年4月ですので、もうすぐ15年になります。
当院で治療を終えメインテナンスされていた奥様のご紹介でした。

平成5年に全顎治療を行い、不定期ではあるものの検診を10年間行っていたかかりつけの歯科医院で、
右上ブリッジを1ヵ月前に装着したとのこと。その際、「今度ここにトラブルがあったら、この歯は抜歯になります」と
言われたそうです。その右上奥が一昨日からしみて全く噛めなくなったとのことでした。

検診を継続していたので、自分の歯の健康は維持されているものと思っていたのにそうではなかった。
10年間検診をしていたのは、単に歯石を取ったり、歯をクリー二ングしていただけだったのかとその時初めて
悟ったそうです。

奥様に比べるとブラッシング時間も短く、晩酌した後はそのまま寝てしまうことも多いとおっしゃられていました。
これが初診時の奥歯の状態です。

初診時

ほとんどすべての歯、特に奥歯は10本くらいがかなり重症で、このままでは歯が次々となくなってしまうことが
容易に想像される口腔内の状態でした。2年後、治療終了時の同部位です。

治療終了時

歯周病治療の結果、すべての歯を保存することができ(部分的な抜根あり)、さらに根の周りの骨が平らに
回復しているのがわかるかと思います。Mさんの歯周病治療は、歯の自然移動をうまく利用し、歯周外科処置を
1ヵ所も行うことなく治癒、安定させることができました。

また左下の一番奥(向かって右下の一番奥)の歯は、歯ぐきの処置中に支えの骨が極端に少ないためグラグラで
抜けてしまい、しかしながらこの歯を抜歯してしまうと手前の半分だけの根もダメになってしまうと考え、保存を試み
エムドゲインを使った再生再植を行いました。
初診から14年後、平成29年の状態です。

平成29年現在の状態

      初診から14年後(平成29年)の状態

一か所の再治療なく(当然1本の抜歯もなく)、15年近く現状を維持しています。歯ぐきの治療中に抜けて
再生再植を行った左下奥は正直保存も難しいと思っていましたが、こうやって長期に観察してみますと、
想像以上に長く持っているのがわかると思います。

ところでMさんは治療終了時からブラッシング上手でピカピカの歯ぐきであったかと言うと実はそうでもなく(笑)、
最初はブラッシングにも波があり、いつか進行してしまうのではないかと正直ヒヤヒヤしていました。
しかしながら波がありながらも3ヵ月のメインテナンスを継続された結果、3年、5年とトラブルなく経過したことで
ご自身の口腔健康に対するモチベーションも上がり、現在では多少のプラークではびくともしない、磨きこまれた
硬い歯ぐきへと変化しています。

 初診から14年後の現在

               平成29年現在の口腔内

初診時62才であったMさんも現在77才となりました。80才までまだ3年あるのですが、できるだけ長く
現状を維持していただき、ご自身の歯でしっかりと何でもおいしく食べることのできる健康な80才を迎えて
いただきたいと願っています 

ただ今奥様と沖縄にご旅行中で、暖かい沖縄を満喫しますます健康に磨きがかかっていることと思いますが、
口腔健康を通してMさんの幸せにささやかながら貢献できていることを大変嬉しく思っている次第です。

2017.09.21

HP掲載症例Part2 : 重度歯周病患者 I さん(治療例1)の初診から17年後の現在

 台風一過。ようやくここ札幌も朝から気持ちの良い秋晴れの空が広がっています。
皆様いかがお過ごしでしょうか、なえぼ駅前歯科の大村です。

10月1日はいよいよ札幌マラソンです。
一応ハーフにエントリーしているので、1ヶ月ぶりくらいになりますが先週からゆっくり走り始めました。
大会までまだ1ヶ月弱あるように思っていましたが(開催日は8日か9日だと思っていました)、残りはわずか2週間(笑)。
ランニング後、久しぶりの体重計、己が重さに(MAX?)愕然としてしまいました。
2~3kgは体重を落とし(もっと?? (^_^;))、少しでも軽くして本番に望まねばと思うところです。

さて本日は初診時20代で重度の歯周病に罹患していた I さん(当院HP重度歯周病治療例、治療例1)のお話を
させていただきます。

初診時レントゲン写真

           平成12年初診時レントゲン写真

初診時口腔内写真

I さんとの初診からの話の詳細は2013年5月25日の「なえぼほのぼのブログ」
http://naebohonobono.blog.fc2.com/blog-entry-41.html に掲載しておりますので、まずはぜひこちらのブログを
お読みください。

現在初診から17年経過し、40代になった I さんですが、遠く道北にお住まいということもあり、先月3年ぶりの
来院となりました。

1回のブラッシング時間は20分と長く、その磨き込まれ鍛え上げられた歯肉と共に、ほとんどプラークの付着していない
完璧に近いブラッシングレベルにより、今回3年ぶりにもかかわらず1箇所の悪化も見られませんでした。
まさに歯周病治療において患者さんが日々行うブラッシングの質と量が何よりも一番大切であることを私に教えてくれる
お手本となる患者さんだと思います(勿論、メインテナンス治療を含めた歯周病治療の質も大切ですが (^_^;))。

I さんが初診来院された当時は開業して3年目で、これまで勤務医時代には他院からのご紹介で同様の患者さんを
何人か見たことはありましたが、実際に担当するのは初めての経験でした。私が所属している日本臨床歯周病学会の
支部例会で、初診時10代の患者さんが20~25年くらいの長期経過の中で最後には総義歯になってしまったケース
プレも見たことがありました。

初診時すでに口腔内はきれいに清掃されており、1日4~5回、1回2~3分のブラッシングを行っているにもかかわらず
短期間でここまで急激に歯周病が進行してしまっているギャップの大きさに、また上顎前歯部は根尖近くまで骨吸収して
いるにもかかわらず見た目の歯肉はほとんど正常なそのギャップの大きさに、果たして I さんの歯周病を私の力で治す
ことができるのだろうかとも思いました。

初診から17年後の現在のレントゲン写真

          初診から17年後の現在のレントゲン写真 

初診から17年後の現在

            初診から17年後の現在の口腔内写真                

初診から17年経って今思うことは、I さんは数千人に1人と言われる「広汎性早期発症型歯周炎」(現在は年齢に
因らない「侵襲性歯周炎」という分類に変更されている)の患者で、歯周病原性の強いA.a.菌の感染を認めたため
除菌療法を行ってはいるものの、どのようなタイプの歯周病であっても、歯周病治療の基本はやはり「歯肉縁上、縁下の
プラークコントロールの徹底」に尽きるということです。

I さんの右上奥、右下奥は初診時の口腔内写真(青矢印)に見られるよう歯肉は大きく腫脹し、根分岐部病変(根と根の
股の部分の歯周病変)がかなり進行していたため、神経を取る治療が必要ではないかとか、上顎前歯や右下臼歯は
支える骨がかなり少ないので、歯を削って連結すべきではないかとか、あるいは審美的な観点からも、予後の難しい
上顎前歯2歯は抜歯し、6歯でブリッジにした方が良いのではないかというご意見、ご質問を、研究会、学会、講演会等
での発表時に聴講された先生方からいただきました。

どれも一理あるご意見だと思いましたが、I さんは年齢も若くこの先の人生、50年以上はこの歯とうまく付き合っていか
なければなりません。神経を取った歯は経年的に歯根破折というリスクを必ず抱えますし、根管治療も100%成功する
という保証はありません。歯は削って連結冠を装着すれば、それに伴う2次う蝕や脱離等のリスクは必ず生じてきますし、
抜歯すれば解決するわけではなく、歯列の連続性は途切れブリッジの支台となる隣接歯の負担は確実に増加します。

天然歯の保存に勝るものはなく、若いからこそ不可逆的な処置はより慎重にと経過観察した結果、初診から17年1歯も
抜歯になることなく、すべての歯の歯周組織は健康な状態で維持され、それらの処置を行う必要なく今に至っています。

今後加齢変化として少しずつ臼歯部の近心傾斜、前歯部の叢生が進み、そのことが歯周病の憎悪因子となるのでは
ないかと少し懸念していますが、現在遠く道北にお住まいで、また子育ての真っ最中ということもあり、矯正治療に関して
は今後も長期に経過観察していく中で必要が出てくれば治療のご提案を行うつもりです。

歯科医師として一番大切なことは、治療後も患者さんとの信頼関係を大切にしながら、生涯かかりつけ医として責任を
持ってメインテナンスし続けることではないかと考えています。
そのために歯の大切さを訴え続け、患者さんが自分の歯を守るためにメインテナンスに来てくださるよう、これからも
熱意を持って働きかけていくつもりです 
I さん、今後もお互い健康で末永くご来院くださいますことを心より願っております。

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2017.08.19

HP掲載症例Part1 : 重度歯周病患者Aさん(治療例2)の初診から15年後の現在

 こんにちは、今日の札幌はとても良い天気ですね。
皆様連休中はいかがお過ごしでしたか、なえぼ駅前歯科の大村です。

あっという間のお盆休みでしたが、私は家族としばしゆったりとした時間を過ごすことができました。
例年のようにお墓参りをし、おいしいものを食べ、また映画や温泉にも行き、家族皆健康で当たり前の日常を過ごせることに
あらためて感謝した日々でした。

さて前回のブログでお伝えしましたように、当院HPの重度歯周病治療例として平成20年に掲載した治療例1、2、7の
更に7年後の現在を、3回に渡ってアップしたいと思います。

本日第1回目として、治療例2(50代、男性)のAさんのお話をさせていただきます。
Aさんは平成14年に来院されましたので、現在初診から15年(治療終了から13年)経過しています。
下は初診時のレントゲン写真です。

初診時レントゲン

臼歯部の骨吸収が著しく、左上(向かって右上)、右下(同左下)、右上(同左上)の計8歯に、8~10mm以上の重度の歯周
ポケットと著明な動揺、進行した根分岐部病変を認めました。

初診時、Aさんは抜歯になってしまうくらい悪化している歯があるにもかかわらず、自分が進行した歯周病に罹っていると
いう自覚はありませんでした。歯周病は「静かなる病気(Silent disease)」と言われ、かなり重症化するまで自覚症状なく
進行します。また「糖尿病」「心筋梗塞」「脳梗塞」「誤嚥性肺炎」等とも関係しており、本当は怖い病気なのです。

右下奥はすでに2本歯がない上に残っている2本も重症で(赤矢印)、噛む力に対して支えが足りないことで、歯周病が更に
悪化していました。また左下奥も2本歯がない状態(赤矢印)でしたので、ますます右下奥に負担がかかっていました。
左上と右上の親知らず(青矢印)は歯周病に罹ってはいましたが、移植のドナー歯となり得るため、歯周病治療を進めて
いきながら、この2歯を右下、左下奥に有効活用できないかと考えました。

治療終了時のレントゲンと口腔内写真です。

治療終了時レントゲン

右下奥と左上奥の歯()は、エムドゲインを使った歯周組織再生療法により骨の再生が得られ、無事保存することが
できました。更に左上、右上の親知らずをそれぞれ右下、左下に移植し()、どちらもブリッジで対応しました。

下は初診時(上段)と治療終了時(下段)の左右上下臼歯部の口腔内写真です。

初診時歯周病が進行していた左下を除く3箇所は、いずれも炎症のある赤みの強い歯肉でしたが、治療終了時には
やや白みがかった薄いピンク色に変わっていることがわかるかと思います。

初診時、治療終了時口腔内写真

2年ぶりに再来された最近のレントゲンです。初診から15年、治療終了から13年経過しています。

平成29年現在
歯周ポケットは少し深くなっている部位もありましたが、53才から68才の現在まで1本の歯を失うことなくお入れしたブリッジも
長期に維持されています。

再来時の口腔内写真です。1回のブラッシングは10分というAさんの口腔内ですが、プラークが結構付着しています(赤矢印)。

再来時口腔内写真

時間のかけ方は変わっておらず、ご自身ではきちっとプラークを除去できているつもりでも、2年もメインテナンスが空いて
しまうとこういう状況になりがちです。幸い今回は今後の歯周病治療で回復できるレベルの悪化でしたが、再来院された時
には取り返しのつかない状況になっていることも珍しくありません。

当院で長期にメインテナンスしている患者さんは、歯周病で抜歯になることがほとんどありません。
しかしながら3ヶ月毎のメインテナンスが5ヶ月、6ヶ月と延びがちになったり、途中1年以上来院されない期間があると、
その間に残念ながら歯周病が進行してしまうことがあります。

歯周病治療(メインテナンス治療も含む)は、「歯肉縁上、縁下の徹底的なプラークコントロール」に尽きます。
これは医療側の技術や見立て、歯周病、歯周病治療に対する知識、理解の深さは勿論ですが、「一生自分の歯で生活して
いきたい」「1本たりとも自分の歯を失いたくない」という患者さんの強い思い、そのために日々時間をかけた丁寧なブラッシング
と医療側の適切なメインテナンス治療の継続が何より大切で、口腔健康の長期維持は文字通り医患の協同作業により達成
されるのです。

Aさんが今回2年もの長期間来院されなかったことは、決して患者さんが悪いのではなく、私自身が伝え切れていない、
まだまだ力不足であることの結果だと受け止めています。患者さんがHPやご紹介等で、多くの歯科医院の中から当院を
選んで来てくださることは、本当にご縁だと思います。このご縁を大切にし、当院の患者さんが長期に渡り1本の歯も失う
ことのないよう、健康な口腔内を維持できるよう、これからもスタッフと共に研鑽、努力していきたいと思います。

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次回は初診時20代で重度の歯周病に罹患していた I さん(当院HP重度歯周病治療例、治療例1)のお話をさせていただきます。
現在初診から17年経過し、40代になった I さんですが、遠く道北にお住まいということもあり、今回3年ぶりの来院となりました。
前述したAさんも元々ブラッシングレベルは高かったのですが、 I さんは1回のブラッシング時間が20分と長く、その磨き込まれ
鍛え上げられた歯肉と共に、ほとんどプラークの付着していない完璧に近いブラッシングレベルにより、3年ぶりにもかかわらず
1箇所の悪化も見られませんでした。
まさに歯周病治療において何が一番大切なのかを教えてくれるお手本となる患者さんです。
この続きは次回のブログであらためて